
(前回:佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う①:なぜこの計画は「評価不能」なのか)
佐倉ふるさと広場拡張整備事業の中核に据えられている数値が、「拡張後の年間来場者数 47万人」である。
この数字は、事業規模、施設配置、交通対策、指定管理者制度、さらには20億円超の市民負担を正当化する根拠として用いられている。したがって、この数値の算出方法こそ、本来、最も厳密に検証されるべき出発点である。
現在の来場者数「28万人」は実測ではない
令和7年12月4日の私の一般質問で、現在の来場者数「約28万人」の算出方法が明らかになった。
都市部長の答弁によれば、この28万人は入場者カウントではない。
ふるさと広場内売店「佐蘭花(さらんか)」の購買率を20%と仮定し、商品購入者数から逆算した推計値である。
5万6,000人(年間購買者数) ÷ 0.2(購買率20%)= 28万人
つまり、現在の来場者数は実測ではなく、仮定に依存した推計値である。
しかも、購買率20%という前提は市が恣意的に設定できるため、
購買率15%なら37万人
購買率10%なら56万人
と、来場者数は行政判断だけで大きく変動する。
この時点で、現在値28万人そのものが統計的に極めて不安定な数字であることが分かる。
現地観察の実感から見ても、来場者の20%が購買しているとは考えにくく、この仮定の妥当性には重大な疑問が残る。
「47万人」の正体——需要予測とは呼べない数字のつくられ方
市は拡張後の年間来場者数を「約47万人」と見込んでいる。この数字は議会答弁でも繰り返し用いられてきた。
その算出式は、同じく令和7年12月4日の私への答弁で明らかになった。
来場者数 = 交通量 × 立ち寄り率10% × 1.7人 + イベント来場者数
極めて単純な仮定の積み重ねである。
市が示す「検証できないロジック」
市は、先に示した「47万人」の算出に際し、7月のひまわり開花期・休日の交通量調査を基礎に、平日・休日の利用者数を推計し、さらに将来増加分としてイベント来場者数を加算している。
「一応のロジック」は示されている。しかし問題は、その中身である。
47万人算出式に欠落している5つの要素
この算出式には、需要予測として不可欠な検証項目が決定的に欠けている。
① 季節ピークに偏った交通量データ
最も混雑する7月休日のイベント時のデータを基準にしており、日常利用への補正方法が示されていない。
② 平日・休日補正の不明確さ
曜日変動・季節変動の補正計算が一切公開されていない。
③ 立ち寄り率10%の根拠欠如
道の駅等、観光施設の立ち寄り率は一般に5%程度とされることが多く、10%は極めて高い仮定である。
④ 乗車人数1.7人の根拠不明
この数値の根拠が示されず、設定次第で結果は大きく変わる。ちなみに、観光地を前提にすると、乗車人数は通常1.3〜1.6 人とする場合が多い。
⑤ イベント来場者の二重計上リスク
日常来場者とイベント来場者の重複排除が一切検証されていない。
結論:これは需要予測ではない
47万人という数字は、
- 根拠不明の仮定を掛け合わせ
- 検証不能の補正を行い
- 重複排除もせずに
- 最後にイベント来場者を足し込んで作られた数字
である。
これは需要予測ではない。
数字の作文であり、政策誘導型に作られた数字である。
次章予告
以上見てきたように、47万人という来場者数は、実測ではなく、根拠の示されない仮定を積み重ねて作られた数字にすぎない。
しかもその不確かな数字が、市民負担20億円超、総額30億円を超える公共投資の規模と内容を事実上決定している。
では、この数字は、どのような観光戦略や利用者像と結びついているのか。
誰をターゲットとし、どの層をどれだけ獲得する想定なのか。
本来、需要予測の背後にはマーケティング戦略が存在するはずである。
ところが、次章で見るように、佐倉市の来場者予測には、そのマーケティングの視点そのものが欠落している。
47万人という数字は、戦略から導かれたものではなく、先に数字だけが置かれ、そこに計画が従わされているのである。
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