グリーンランドは大国の地政学的な最前線

米国とデンマーク、そしてグリーンランドの3者の間で世界最大の「島」グリーンランドの領有問題で激しい交渉が展開している。トランプ米政権は軍事力行使も辞さない強硬姿勢をチラつかせている。一方、デンマークが加盟している北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)はその対応に苦慮している。そこで人工知能(AI)にグリーンランドの現状とその未来について予測してもらった。

デンマーク自治領グリーンランドのイェンス・ニールセン首相(政府議長)、グリーンランド自治領政府公式サイトから

【質問】
グリーンランドの今後の動向について、あなたの予測を聞かせてください。

【回答】
2026年1月現在の情勢に基づくと、グリーンランドは「北極圏の地政学的な最前線」として、かつてない緊張と変化の時代を迎えると予測される。

今後の動向について、以下の3つの観点から予測する。

1.外交・安全保障:米国による「獲得」圧力の激化

トランプ政権(第2次)は、グリーンランドを単なる同盟国の一部ではなく、米国の直接的な影響力(あるいは主権)の下に置くべき「戦略的資産」と位置づけている。
予測:米国はデンマークに対し、防衛予算の負担増を迫るのと並行して、グリーンランドの「購入」や「永久貸与」に向けた具体的な交渉を強硬に提案し続けるだろう。
リスク:デンマークおよびグリーンランド自治政府がこれを拒絶し続けた場合、米国による関税措置や、北極圏での軍事プレゼンスの一方的な強化(基地の拡張など)により、デンマークとの同盟関係に亀裂が入る可能性がある。

2.経済・資源:重要鉱物の「脱中国」拠点化

世界的な脱炭素化の流れと、対中国サプライチェーンの切り離し(デカップリング)により、グリーンランドの資源価値は極限まで高まっている。
予測:米国や欧州の資本が、中国資本を排除する形でグリーンランドのレアアースや重要鉱物プロジェクト(クアネルスイト鉱山など)へ大規模な投資を行う「資源争奪戦」が加速する。
自立への動き:資源収益が増加すれば、グリーンランドの「デンマークからの完全独立」を求める声が再び強まる。しかし、それは同時に、デンマークからの補助金停止を意味するため、経済的自立を急ぐあまり、環境保護規制が緩和されるかどうかが焦点となる。

3.環境とインフラ:氷床融解による「新航路」の現実化

気候変動による氷床の融解は、悲劇的な側面だけでなく、物流の劇的な変化をもたらしている。
予測:北極海航路の利用可能性が高まるにつれ、グリーンランドは「北大西洋のシンガポール」のようなハブ港としての価値を持つようになる。
インフラ整備:米国やNATOは、中国による投資を阻止するために、空港や深水港の建設に多額の資金を投入するだろう。これにより、長年停滞していた島内のインフラ整備が急速に進む可能性が出てくる。

<結論としての予測>
短期的には、「米国・デンマーク・グリーンランド」の三者間での激しい外交摩擦が避けられない。グリーンランドは、自国の豊かな資源を「独立への切符」にするのか、あるいは「大国間の衝突を招く火種」にしてしまうのか、極めて難しい舵取りを迫られる。2026年を通じて、グリーンランドは単なる「北極の島」から、「世界のエネルギー・防衛戦略の鍵を握る最も重要な地域の一つ」へと完全に変貌を遂げると予測される。

<グリーンランド問題の背景について>

①グリーンランドには、レアアース、レアメタル(亜鉛、銅、金など)、鉄鉱石、ウラン、石油・天然ガスといった豊富な鉱物資源があり、温暖化による氷床融解で開発が加速している。また、水産資源(エビ、タラなど)も主要な産業であり、観光業や農業(牧羊、トナカイ飼育)も成長しており、天然資源の宝庫として注目されている。温暖化の影響:氷床の後退により、これまでアクセスできなかった鉱物資源へのアクセスが容易になり、開発が進んでいる。ただし、環境問題:放射性物質(ウランなど)の随伴や環境規制が開発の障壁となる場合があり、政治的な議論も活発だ(例:ウランゼロポリシー)。

②米国の国家安全保障問題
トランプ氏がグリーンランドの確保を「米国の国家安全保障に直結する」と主張している背景には、2026年現在、北極圏を巡る軍事的な対立と資源のサプライチェーン確保という2つの深刻な懸念がある。

A.ロシアと中国の北極圏への進出

トランプ氏は、グリーンランド周辺が「ロシアや中国の船舶で埋め尽くされている」と述べ、北極圏における両国の影響力拡大を警戒している。
北極圏の要衝:地理的にロシアと米国を結ぶ最短ルート(大圏コース)に位置するため、ミサイル防衛において極めて重要だ。
早期警戒システム:グリーンランドには米宇宙軍が運用する「ピトゥフィク宇宙基地(旧チューレ空軍基地)」があり、ロシアや中国からの弾道ミサイルを監視するレーダー網の要となっている。
トランプ氏の見解:デンマーク一国では、中露の軍事的・経済的圧力からグリーンランドを守りきれないと主張している。

B.レアアースなどの戦略的資源の独占阻止

グリーンランドは、EVや防衛兵器、ハイテク産業に不可欠なレアアース(希土類)の宝庫。
中国依存からの脱却:米国はレアアース供給を中国に強く依存しており、中国が輸出規制を強める中で、グリーンランドの資源を直接コントロール下に置くことは「経済安全保障」上の最優先事項となっている。
重要鉱物の宝庫:リチウム、コバルト、グラファイトなど、現代の軍事・産業技術に欠かせない34の重要原材料のうち25種類が確認されている。

C.ミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」

トランプ政権が掲げる、米国全土をミサイル攻撃から守るための多層防御システム「ゴールデン・ドーム」構想において、グリーンランドは迎撃ミサイルやレーダーを配備する「盾」としての価値が高まっている。

D.中ロの動向

ロシアや中国の北極圏における活動は、トランプ氏の最初の任期中(2017~2021年)から活発化しており、特にロシアは北極圏の軍事能力を再構築し、中国は「極地のシルクロード」構想を掲げて経済的進出を図っている。米国の安全保障専門家は、政権を問わず、中国によるグリーンランドのインフラ投資が将来的に軍事転用される可能性を懸念してきた。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年1月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。