票読みがいつもと違って容易くない解散総選挙

プルデンシャル生命の営業社員106人が合計31億円だまし取るとは驚きのニュースでありますが、長年それが続いていたようで構造的体質だった可能性があります。日本の大手生保に食い込むべく男性の営業社員主体で攻める同社は生保レディ軍との違いを出そうとしました。生保は多少なりとも顧客の懐具合が見えてしまうビジネスです。同社は厳しいノルマと成功報酬、営業経費が一切出ない代わりに高額報酬がうたい文句でしたが、顧客の懐具合が逆利用されてズルいことをしてしまったようです。私の友人の生保レディは毎日きちんとルート営業を積み重ね真面目にコツコツやっています。男は一発逆転を狙ったのでしょうか?男女を比べちゃいけないけれど、実に残念なケースです。

では今週のつぶやきをお送りします。

株式市場は胸突き八丁か?

チャートを見るとダウが49600、ナスダックが24000、そして日経平均は54500円が壁になっています。特にダウの49600㌦の壁は何度もトライしていますが、抜けられません。ハイテクが多いナスダックではGAFAMの元気がなく、株価を主導出来ていません。多くが高値から1-2割下げており、AIやデータセンターにはどうも抵抗感すら出てきており、次のネタがない状況になっています。一方、資源、特に金銀銅は引き続き堅調で特にゴールドマンサックスが金の目標値を5400㌦へ大きく引き上げたことも手伝い、買いを煽っています。ただ、金価格が5000㌦タッチ寸前、銀は100㌦を超えたので節目到来となり、ここは一旦、慎重に見たほうが良いでしょう。

私の見立ては投資家が「腹一杯」状態に見えるのです。つまり含み利益が十分にあり、今無理して高値で何かを買いに行くスタンスにないのです。よって何かテーマができればそこに乗っていく、そのために血眼になってニュースを拾う、そんな感じかと思います。インテルの業績見通しが悪く、暴落したのも逆に含み益があるうちに処分という動きだったのでしょう。胸突き八丁のもう一つの意味は富士山の8合目だそうで、そこからの急な登りにどう耐えるか、ということであれば耐えるだけのエネルギー補給が必要だとも言えそうです。

ところでこれを書いているNY時間金曜日午後、円ドルが動きました。円が吹き上げており、何らかの行為があったとみています。この10時間前の日本時間夕方は当局が「レートチェック」をして2円ほど動き、1円戻したところで金曜日の午後の薄商いの中での今回の動きですので当局が動いたのはほぼ間違いないと思います。植田総裁が政策決定会合後、利上げバイアスを示唆もタイミングの暗示がなく円が売られたところでしたので図ったようなタイミングだと言えます。政府は160円を絶対攻防ラインと考えている節があります。個人的には評価していますが効果がいかほどかは選挙次第ともいえます。

さぁ選挙

短期決戦の選挙戦と言われていますが、どうも中身が単純ではなさそうで票読みもいつもと違って容易くない気がします。私は読売の報道が出た翌日に自民と維新は微増、国民民主大幅増、立民公明が減らし、共産は存続感ぎりぎりライン、新興政党は微増と予想しました。その時には中道改革連合の話はなかったわけです。また山本太郎氏が議員を降りて、公明党と立憲の代表が変わり、大阪がダブル選挙と選挙ネタは豊富です。自民のパンフは高市氏の顔写真オンパレードで「高市党」状態ですが、自民党の盛り上がりや声があまり聞こえず、自民の重鎮らの心の内がさっぱりわからないのであります。

もう1つのエレメントは公約が似たり寄ったりで究極の違いは何?と言われると誰も答えられないような状態にも見えます。国民泣かせの選挙、私はそう位置づけています。解散前に自民は260議席という報告書をみた高市氏が「今のうちに」と背中を押されたともされますが、今、その260議席の報告書を真面目に信じる人もいないと思います。

国民が選挙で投票先を変えるのは ①現状不満 ②よほど魅力的な党の誕生 ③特定議員や政党の風評や支持バロメーターによるところが大きいかと思います。概ね誰でも基本の信条はあり、「まぁこの党かな」という気持ちはお持ちでしょう。支持先が変わるにはこの選挙戦にみられる政党や人事の激変の影響は大で真の意味で「気が変わる」ので浮動票には要注意だと思います。気になるのは高市氏の人気が高すぎるので下げるベクトルの中にあるとみられ、自民が全力で戦わないと落とし穴があるかもしれません。今回の選挙予想はあまりメディアを鵜呑みにせず、皆さんご自分で予想を立てると楽しいと思います。

立憲民主・野田佳彦代表 高市早苗首相 公明・斉藤鉄夫代表 各党HP・首相官邸HPより

グリーンランドディールはトランプ氏の勝ち

ダボス会議の横でグリーンランドを巡る攻防がトランプ氏とNATOのルッテ事務総長の間で行われましたがあっさりと大枠決着がつきました。詳細が明らかにされなかったのでメディアはアメリカと欧州の一部の関税合戦をしないこと、力によるグリーランド取得をしないことが報じらえていました。ディールの内容は漏れています。基本的には1951年のアメリカとデンマークの協定が基本で、アメリカが望むだけの部隊を派遣できるという部分を強化すること。アメリカ指揮下でNATO司令部をグリーンランドに設置、アメリカによるグリーンランドでの鉱山開発権の協議、ロシア中国の排他的措置になります。

これらは何一つ確定したものではなく、大枠同意でこれから細かいところを詰めることになります。トランプ氏はここからは国務長官以下に託すのでトランプ氏は次の仕事に取り掛かることになるでしょう。グリーンランドを買うという話は大きく後退していますが、トランプ氏は全領土を取得せずしてアメリカがおいしいところだけを取れるディールとなったので大いに満足しているはずです。つまり領土第一主義だったデンマークと領土の上にある利権(軍事と資源)が欲しかったアメリカとの落としどころが決まったということでしょう。

トランプ氏は次に何をするのでしょうか?多分、ダボスで結成した「平和評議会」の展開ではないかと思います。もともとはガザの暫定統治を目的とした仕組みでしたが、トランプ氏は応用範囲は多いと述べています。多分、ウクライナの戦後を見ているのだろうと察しています。ただ参加国は小国が主体です。理由は国連とガチンコ勝負になるためで日本をはじめ欧州の主要国は参加を見送っています。機能不全となっている国連より実行力をもって動くことによる構造的変化をもたらす可能性については私は評価できると思いますが、さてさてどうなることやら。

後記
当地の大手銀行主催の無料のオンラインワークショップ、「老後を迎えるために」は900人が参加したイベントでした。銀行が老後の生活に向けた公的年金や老齢年金をどう活用するかという基本線を示してくれて非常に有益でした。例えば何歳から年金をもらうべきか、を論理的に説明し、夫婦の税金をどう節約するかといったミニテクニック等は部分部分では知っていても体系化されたものは多くの人が持ち合わせていません。日本の銀行もこういうクライアントサービスをなぜやらないのか、不思議ですねぇ。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月24日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。