「行動力がすごい人」ほど実はよく考えている

黒坂岳央です。

世の中には、驚異的なスピードで物事を進める「行動力がエグい人」が存在する。一方で、やりたいことはあるが体が動かない、いわゆる「慎重派」も多い。

筆者は前者のタイプで、昔から興味があることはかたっぱしからやってみないと気がすまない質だった。今でも人から「この旅行先、すごくよかったよ」と聞いたら、その日の夜に航空券と宿を予約してしまうこともある。

世間的には「行動力がすごい人は考えない人、そういう性格なんだ」と言われがちだ。本当だろうか?自分は違うと思っている。行動力は作るものだ。

筆者は2つのタイプに大別できると思っている。

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タイプ1. 何も考えない

多くの人が考える通り、すさまじい行動力がある人は、何も考えない人もいる。

実際、筆者は最初は「あれこれ考えると疲れてやらなくなるから、まず動いてから考える」というタイプだった。そのせいで騙されてお金を失ったり、いやな経験をしたりと嫌な目にもあってきた。だが、同時に思わぬ素晴らしい人との出会いで目が開ける経験をしたり、楽しい思いをしたこともある。

筆者はド田舎に住んでいるので、近所はサラリーマン比率があまり高くない。農家、酪農家、店舗経営など、自営業者も多い。彼らと会話すると「とにかく好きだから子供の頃からこの道しかないと思ってた」という話だ。

親が牛を育てる姿を見て育った。東京の大学へ行くが結局サラリーマンが合わずに数年後に地元で酪農をやる、という感じである。正直、キャリアプランや市場ニーズを何年も熟考した結果、というより自分の気持ちや情熱に正直に仕事を選んだという印象がある。

自営業者とは数え切れないほど出会ってきたが、綿密に稼ぎや将来性を計算して…という人はあまり見たことがない。あれこれ考える前に独立し、そして今その仕事をしているという感覚が強い。

タイプ2. 最悪を想定する

そしてもう1つのタイプは、逆によく考えるからこそ行動力がすごい人だ。

行動できない人の大半は、「なんとなく怖い」という漠然とした不安に足を止められている。対して、行動力が極めて高い人間は、まず「最悪の事態」を徹底的に言語化する。

コストは?時間は?労力は?

こうしたリスクをテーブルに並べたら、「別に大した事ないな」と確信出来たら後は全力でアクセルを踏める。そう、行動力がないのは、最悪を想定しないから「どれだけ損をするか計り知れない」とリスク自体に過剰にリスクを感じているだけなのだ。

そしてもう1つは、「小さく始める」というスキルである。たとえば興味があるビジネスがあっても多くの人がやらないのは「怖い」という理由も大きい。いきなり会社を辞めて起業する、大金を投じて店を出す。こうした「不可逆な大勝負」を挑もうとするから、脳がブレーキをかける。

新しい挑戦は「小さく始める」

だが、行動力がある人は小さく始めるのがうまい。大きなアクションを「小さく実験」するのだ。

例えば「起業」という未知の領域に踏み出す際、いきなり会社をやめて、オフィスを借りるような真似はしない。まずは「メルカリで不用品を売る」といった、低リスク体験から始める。だがこの小さなステップには、商売の真髄が詰まっている。

  • どうすれば商品が魅力的に見えるか(集客・マーケティング)
  • いくらなら売れるか(値付け・相場観)
  • 売れない時にどう改善するか(PDCA)

これらは失敗しても「売れなかった」というデータが残るだけで、損失はゼロである。「時間と労力がいるではないか」とツッコミがありそうだが、そんな事を言いだしたら、リスクテイクの範疇に入らない行動にもそのくらいのネガティブ要素はある。こんなもの、ビジネスの世界ではリスクですらない。

筆者も考えてみれば、始めての副業は家にあるゲームや書籍をヤフーオークションで売るところからだった。想定より高く売れたら飛び上がるほど嬉しかった。これが後の独立につながる「小さな実験」になったかもしれない。

タイプ1が進化して2になる

これまで述べた2つのタイプ、筆者は1が2に進化するプロセスを経ると思っている。これは自己体験からもそう言える。

20歳になった直後、突然家電に知らない女性から電話が入った。「きれいな宝石を見てほしいから梅田に来て」と。よくわからないままに呼ばれていったが、簡単に言うと雑居ビルに軟禁されてしまった。「買うまで返さない」と何時間も閉じ込められ、最後は自力で脱出する、という愚かな体験である。

こういう痛い目を見ても、何回も似たようなバカをやらかし続けた。おそらく、普通の人が経験する何倍も痛い目にあってきた。考えなしに行動していたからである。

しかし、人生経験を経て「リスクは先に見よう」という感覚になっていく。そうするようになって気付いた。逆にこれをすると思い切り行動できるのだと。先に最悪を想定しているのでうまくいかなくてもノーダメージ。でもうまくいけば人生が大きく開いていく。そんな割のいいギャンブルならやるしかない。

そして最悪を想定し、小さな実験という感覚なのでうまくいかなかった時は「失敗」ではなく「データ」という感覚になる。メルカリで不用品が売れなかったら「写真を明るくした方がいい?」など創意工夫をすることになる。

このような試行錯誤をゲームのように楽しめるなら、その分野に資質がある。逆に、「これならコンビニバイトを副業したほうが稼げる」と考えるなら、もしかしたら起業そのものか、そのビジネスモデルが向いていない。

「自分に向いているか?」を机の上で悩むのは時間の無駄である。「ノーリスクで試せる環境」を自ら作り、自分の脳がどう反応するかを観察する。 これが、最も効率的で失敗のないフロンティアの歩き方である。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。