
年末、昨年最後の旅行をしに滋賀県長浜市の木之本に来ました。木之本は滋賀県の北部にある町で、かつては独立した町でしたが平成の大合併で長浜市の一部となりました。ちなみに町の名前は「木之本」ですが、駅名は「木ノ本」。理由ははっきりしないようです。
ここを走る北陸本線は全国の鉄道の中でもかなり古い時代に開通した路線で、開業した明治15年から駅があり当時の駅名のつけ方があいまいであったことが窺えます。
わたしが木之本に来たのは、このチャレンジをしたため。

滋賀のヒーロー西川貴教さんを見ずに滋賀旅行をすることに失敗したため、禊のサラダパンを求めてこの町にやってきたのです。滋賀県民なら知らない人はいない郷土食であるサラダパンの生みの親「つるやパン」さんの本店はここにあるのです。


が、残念ながらつるやパンはお休み。通常は日曜日も開いているのですが、私が訪ねたのは12月28日で年末年始休み開始の日でした。

つるやパンは閉まっていましたが、これも何かの縁なので木之本の町を少し歩いて見ることにしました。かつて木之本は近畿地方と北陸地方を結ぶ旧北国街道の宿場町として栄えていました。街道沿いにはその繁栄を偲ぶ建物がいくつか残されています。

かつての薬屋にはこんな年季の入った看板が残されています。ここ、旧竹内邸は江戸時代には本陣として使われていた建物。明治時代に薬屋を営むようになり日本の薬剤師第一号を取得した名誉ある薬屋です。

冨田酒造は明治天皇が北陸に御巡幸された際に岩倉具視が宿泊した施設でもあります。軒下に馬つなぎ金具があって、かつて馬継ぎ問屋としての役割を務めていたことをうかがわせます。

街道の面影が残る北国街道沿いの古い建物たち。

北国街道を離れ、駅前まで戻って来ました。実は駅前にもひときわ目を引く古い建物があります。これは江北図書館。明治35年に隣の余呉町の弁護士が設立した杉野文庫に端を発し、明治39年に誕生した私設図書館です。120年の時を経てなお図書館として営業を続けています。国の登録文化財に指定される由緒正しい図書館です。

この図書館、外観だけではなく中に入るとまるでタイムスリップしたかのような世界が広がっています。柱時計に右から始まる江北図書館の掛看板。もう入り口からこれでもかというくらいエモい世界。

下駄箱も年季が入っています。靴箱といわず敢えて下駄箱といわせてもらいましょう。

年代物の版の「シェークスピヤ全集」。ここにある本は全部借りることができます。

2階の畳スペースは本を広げてじっくりと読むことができるスペースが設けられています。畳も新しいものに交換せずに敢えて古いものを残していてこれがまた時代を感じさせてくれます。いろんなものが新しいものに変えられていく昨今、まだこんな古きよきものをそのまま残している施設があったんだと感銘を受けます。

こんなところで本を読んで育った子は本好きにならないわけがないな。
いつまでも、というわけにはいかないかもしれませんが、できる限り長くこのまま維持を続けてもらいたいものだと思います。

木之本散歩の最後は江北図書館の前にあるカフェ。ここでいったんあきらめていた「サラダパン」を使ったホットドッグを食べることができることが判明。

たくあんが入り、ポリポリと独特の食感があるサラダパンをおいしくいただきました。サラダパンを提供するカフェがある。さすが本場は違います。

1時間に1本ほどしかこない電車のダイヤに合わせての短い時間の散歩になりましたが、情報量の多い散歩になったと思います。インバウンドの観光客もいない静かな町ですがそれだけにゆっくり街歩きをすることができます。ふらっと途中下車して北国街道の息吹が残る木之本を歩いて見るのも楽しいと思います。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年1月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。






