米軍をメキシコ領内に入れたいトランプ大統領
ニューヨーク・タイムズ紙は先月15日、トランプ大統領がメキシコのシェインバウム大統領に対し、麻薬組織(カルテル)撲滅のために米軍を派遣したいと伝えていたことを明らかにした(1月15日付「エル・フィナンシエロ」から引用)。
この要望は1年前にすでに打診されていたが、その後うやむやになっていた。ところが、ベネズエラのマドゥロ大統領を逮捕し米国へ送還したのを皮切りに、米国は本格的にカルテル撲滅に動きたいようだ。
同紙によると、作戦の指揮はメキシコ軍が執り、米軍はその指揮下に入って後方支援と情報提供を行いたいとメキシコ政府に伝えているという。
メキシコ軍に麻薬組織を撲滅する力はない
これまでシェインバウム大統領は国家の尊厳が侵されることを理由にこれを拒否してきた。しかし、メキシコ軍ではカルテルを撲滅できないのは明白である。さらに問題なのは、シェインバウム大統領を支える政党「国民再生運動」自体がカルテルと深く癒着していることだ。彼女の師匠的存在であるロペス・オブラドール前大統領は、歴代大統領の中で最もカルテルとの癒着が強かったと米国政府は認識している。
そのため米国政府は、表向きは「メキシコ軍の指揮下に米軍が入る」としているが、実際には米軍がメキシコ軍を監視しながらカルテルを攻撃していくというのが実態に近いだろう。メキシコ軍の一部はカルテルと癒着しており、米軍が提供する情報がカルテルに筒抜けになる可能性が高いからである。
米国政府にとって重要なのは、とにかくメキシコ領土内に米軍を踏み込ませることだ。一度メキシコ領内に入れば、米軍は独自の作戦を秘密裏に展開できる。米軍は根本的にメキシコ軍を信頼していない。
合成麻薬の撲滅が目的
トランプ政権にとって最大の目的は合成麻薬の撲滅である。その原材料は主に中国から供給されており、製造はカルテル・シナロアとカルテル・デ・ヌエバ・ヘネラシオンの2大カルテルがほぼ独占している。合成麻薬は製造過程での化学成分の発散が少ないため、製造拠点(工房)の特定が難しいという問題がある。
メキシコ政府は米国からの要請を長期間拒み続けることはできない。なぜなら、米国・カナダ・メキシコの3か国による貿易協定(USMCA)に悪影響が及ぶ可能性があるからである。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより







