落ち着きのなかった1月の相場は土砂降りと期待感が入り混じる神経質な展開となりました。その長く続いたひどい雨も一旦止み、ふとソファに深く腰掛け、深呼吸をして窓の外を見ると外の景色は春が近づいている高揚感溢れる心地よさを感じます。しかし、私の心はどうも晴れないのです。「この先、まだ茨の道がありそうだな」と。

トランプ大統領と高市首相 首相官邸HPより 2026年10月28日
2025年という年はある意味、人々の高揚がピークに達した時なのかもしれません。コロナから解放され、生活のみならず、ビジネスや投資も平常化し、人々は在宅から出社に戻り、街には人が溢れたのです。が、先日お話ししたエキストリームな世界は更にレベルを上げてきました。それが踊り場に差し掛かってきた、これが今、私が陰鬱になる理由かもしれません。
その横綱はトランプ大統領で間違いないでしょう。彼は改革者であり、開拓者であり、過去の常識にとらわれない指導者としてサプライズをこれでもか、これでもか、と打ち出してきました。アメリカ人は大なり小なりチャレンジャーが多いのでトランプ氏の姿勢は否定しないけれど、その向かう矛先に関しては世論が騒がしいというのが私の理解です。11月の中間選挙はどうなのか、といえば今の段階で何か言うのは時期尚早ですが、共和党が有利だとは言えません。ただし、民主党の声もあまり聞こえない、つまりアメリカの政治離れ、そんな状況ではないでしょうか?
政治が埋没しているのはカナダでも同じ。私もBC州の政治家とは一時よくつるんだのですが、最近は距離を置いています。理由は政治の方向性が不明瞭なこと。それは連邦政府も同じです。カーニー氏は、トランプ氏がカナダ嫌いであり、個人的感情が強い間は何を言ってもダメだと悟っています。問題解決には時間がかかると発言もしています。7月に向けてUSMCAの交渉がありますが、相当難航するとみられています。
では欧州はどうでしょうか?これまた政治も経済も安全保障もどこに向かっているのかわからなくなっています。昨年、欧州首脳は中国とは距離を置くと言っていたのに今年に入り盛んに習近平詣にいそしんでいます。欧州経済はアメリカとの関税問題が暗い影を落とすも、明るい材料は欧州がインド、及び南米主要5か国が加盟するメルコスルとのFTAを1月に結んだことがあります。インドとは2007年から、メルコスルとは1999年からの交渉スタートでしたので超長期にわたる交渉がほぼ同時に結実したということになります。
中国も不安材料の一つです。経済が引き続き冴えず、GDPが5%に届かない状態になれば国内全般が十分に潤う前に低成長時代を迎えたと言えます。韓国は人口が少なかったのでかつての高度成長を通じて全体のかさ上げがある程度でき、一人当たりのGDPは大きく改善しました。一方、中国は巨漢ゆえに現状の経済低迷では先行きは非常に厳しいと言わざるを得ません。また習氏の政治運営は「裸の王様型」ですが、取り巻く環境を考えると習氏の野望は満たされないまま終わるとみています。それは政治的には良いですが、世界経済のエンジン役としては不都合というものです。
このよう時、私の考えは「周りの雑音に振り回されるな」であります。エキストリームは続かない、これが大前提です。とすればカナダのカーニー氏が対米政策で長めの冬眠をするのは悪くないのかもしれません。日本では選挙も終わり、地に足をつけて政治を再開するにあたりもっとも大事にすべきことは「過度な動きを封印し、5年、10年と着実に安定的に上に向かう道筋をつけよ」であります。それぐらい今日の政治はブレやすく、振り回されやすいとも言えます。
もう一つ、経済も不安定です。個人的には株価は日米とも2026年はうねるかもしれないとみています。夏に向けて下げる、そして年末に向けて回復するというシナリオです。理由です。1つはトランプ氏とベッセント氏に最近微妙に温度差が見えてきた点です。ビットコインに興味のあるトランプ氏とないベッセント氏、ドル安を気にしないトランプ氏と相反のベッセント氏。この辺りの不協和音は必ずどこかでひずみが出るものです。
次いで実体経済については2025年の第一次AIブームは終わった感が強く、AI投資残高が高いところに経営の圧迫が生まれるとみています。それとアンソロピックショックがこれからソフトウェアの会社にボディブローのように効いてくるため、悪材料が重なれば株価全体を押し下げるに十分なエネルギーとなります。一方で経済を引き上げる新たな分野がない、これが今の市場の動きです。
こう見ると政治と経済が雲の中に入る、これが私の見る2026年の序盤を踏まえた見方です。
私は2026年はより保守的に身構えるつもりにしています。しかし、植えた種は必ず芽をだすのでそれを丹念に育てることに専念したいと思います。私、時として思い出すことがあるのです。バブル経済の頃、あるゼネコンの元社長(前田建設工業だったと記憶しています。)が2000年初頭ごろ、「弊社は不動産開発に全く手を出さず、建設業だけに集中してきたので影響はなかった」と豪語したのがグサッと心に刺さったのです。正に私が勤めたゼネコンが倒れた頃でした。踊りすぎるとダメ、エキストリームも続かないのです。ただ全く同社のように傍観していたことが正解だったとも思えず、結局地味な特徴のない会社として留まったと思います。
バランス感覚をしっかりもってチャンスを虎視眈々と狙う、そいういうスタンスで行きたいですね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年2月10日の記事より転載させていただきました。





