現金ではなく「ポイント給付」という東京都の賢明さ

東京都が15歳以上の住民全員を対象に11,000ポイントの配布を開始しています。このポイントには実質的に11,000円の価値があり、手続きさえすれば対象者は誰でももらえます。

ただ、現金給付ではなくポイントによる配布になっているのがミソです。受け取るにはスマートフォンなどを使った手続きが必要になります。

具体的には、東京アプリ(写真)と呼ばれるアプリのダウンロードを行い、デジタル認証アプリを使って本人確認を行った上で、マイナンバーカードの読み取りによって手続きを完了させます。

マイナンバーカードが必須となりますので持っていない人はポイントを受け取ることができません。

このようなデジタル対応による住民サポートは、現金給付とは異なり、スマートフォンなどを利用していない高齢者の切り捨てになるのではないかとの批判もあります。でも私はポジティブに捉えています。

まず、ポイント給付の仕組みなので現金に換えることはできず貯蓄に回ることがありません。消費に使わなければ無効になってしまうので現金給付よりも消費刺激効果は大きくなります。

またマイナンバーカードを作れば11,000円相当が全員もらえる仕組みのため、今までマイナンバーカードを保有していなかった人がこれをきっかけに作成する強いインセンティブになります。

東京都の公式アプリである東京アプリをダウンロードしてもらえば、将来の行政手続きの効率化や災害時の情報配信などに活用することができます。

コロナ禍で行われたような給付金の振り込みのようなアナログな行政による経済的サポートは、莫大な事務コストがかかり職員に対する負担も甚大です。また、2重振り込みなどの事故が発生すれば、鬼の首を取ったようにメディアで大々的に報道されてしまいます。

私も早速ポイント申請手続きを行いました。確かにわかりにくいことも多く、高齢者はスマートフォンを持っていても手続きに伴う人が多いのではないかと思いました。

高齢者でマイナンバーカードを持っていない人や、スマートフォンを持っていない人は、子供や孫などにサポートしてもらって手続きを行うしかありません。

私の母親も、そのようなデジタルデバイドされた高齢者の1人です。しかし、だからといって現金給付をすべきとは思いません。家族のサポートで何とかポイント取得できるようにすればよいのです。

これをきっかけに行政手続きのデジタル化が加速されていくことを期待しています。

小池百合子東京都知事 東京都HPより


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。