安倍元首相は自由主義諸国による価値観同盟を提唱したが、もはやトランプ政権の米国は民主主義諸国と価値観を共有しない国になってしまった。そこで、世界各国の首脳は問題は少々あるが、米国よりは相対的にましだと中国にゴマすり競争で先を争って北京詣でに勤しむ。その問題の火付け役のトランプ大統領も春に訪中、秋には習近平が国賓として訪米してG2でグレート・ディールをするつもりらしい。
そのひどいトランプ政権にすら馬鹿にされ呆れられて叱責を受けて右往左往しているのが日本の高市政権だ。

第105代内閣総理大臣の指名された高市首相 首相官邸HPより
ベッセント米財務長官は、片山さつき財務相と非公式に会談し「高市首相はこのままではトラスになるか、メイになってしまうのではないか」と警告し、サナエノミクスの暴走から世界経済をまもるために円防衛のために市場介入したという。
高市首相は、台湾有事についての軍事介入の可能性を匂わす軽率な発言で、トランプ大統領から中国を無用に刺激しないようにお叱りを受けた。台湾問題の淵源は中国内戦で米国が国際法に違反して第七艦隊を配備して国家統一を阻止したことにある。
その後、台湾が民主的に地域を運営しているのは事実でその状態を中国が武力で解消するのは好ましくないが、内政問題だという中国の主張にも一理があり、問題をあいまいにして現状維持を図るのが好ましい知恵なのに、パンドラの箱を開けてしまった感があり賢いやり方で無かったし、だからこそ、トランプ大統領から過激な発言をしないように注意されることになった。これについて、詳しくは『国家の興亡史からわかる現代地政学――西欧の衰退』(さくら舎)で解説している。
また、トランプ政権の関税政策を違憲だとした裁判を担当した連邦最高裁のゴーサッチ判事は、付帯意見の中で、「連邦議会を回避したいという誘惑に駆られることもあるだろう。しかし、立法過程の熟議的な性質こそが、その設計における核心であった。その過程を通じて、国家は単一の派閥や個人の知恵だけでなく、国民から選出された代表者の結集された知恵を活用することができる。そこでは、熟議が衝動を和らげ、妥協が不一致を叩き直して実行可能な解決策へと導くのである」といっている。
日本では、慌ただしく国会での議論から逃げての解散総選挙で公約の中に目立たぬように書いていただけの公約を国民の同意を選挙の勝利で得たのであるから、国会での熟議は必要ないとか、予算は40日だけの審議で上げろとか高市不良応援団は騒いでいる。
たしかに、郵政解散のように国会で十分に議論されたワンイシューについて賛否を問うというなら、原則論としては国民の同意を得たとして審議するのもありだが、それでも詳細についての熟議は必要だ。
和田秀樹さんは「高市さんの場合、自分からはっきり言論封殺するんじゃなくて、いつものパターンとしてかわいそうに見えるかたちに見せて、『批判する奴が悪い』というように持っていくという『新型言論封殺』だ」と言っているがその通りだ。岡田克也前代議士が、高市首相から軽率な答弁を引き出したことをもって国賊扱いされたが憲政史上前代未聞だ。
あるいは、高市首相に反対するとただちに中国だとかディープ・ステートの工作員だといわれ、スパイ防止法はそういう言論をする人を逮捕するために立法すべきだという輩までいる。(「高市政権で日本は戦争突入確定か?八幡和郎氏が危惧する「スパイ防止法」と沖縄の危機」)
この人達は民主主義について12歳以下どころか未熟児のようで、どんな教育を受けてきたのだろうかとため息が出る。
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コメント
ベッセント米財務長官の財政拡大に警鐘を鳴らしたと報じられ、確かに、高市政権の大規模な減税・財政政策への警戒も理解できなくはないです。しかし、マクロデータを見るとですね、米国の国民一人あたり政府債務は2014年と2024年の数字を見るとほぼ倍増しており、まさに「雪だるま式」に膨れ上がっています。日本の国民一人あたり債務はむしろ減少傾向にあります
2014年:米国 約57100ドル/日本 約86600ドル
2024年:米国 約97600ドル/日本 約74600ドル
これを見ると「木造の家が2軒並んでいて、ベッセント氏が『日本家が火事になったらアメリカ家まで延焼するから、火事には気を付けろよ』と言っているのに、アメリカ家は火事で燃えている」という状況ではないでしょうか。米国こそ国の借金が「雪だるま式」で増えている状態なんですから。
自国の財政がすでにボウボウと燃え上がっているアメリカ高官のポジショントークを権威付けに利用するのは違和感を感じます。こないだサブプライムローンで大破綻したばっかりの国なのに。
まあ日本も過去に大蔵省が出した不動産融資の「総量規制」と日銀の公定歩合引上げでバブル崩壊しましたけど。