北海道室蘭市が、市立室蘭総合病院を2027年度をめどに閉院する方針を正式表明した。人口減少と患者数減少、人件費高騰による赤字拡大が続き、市財政への影響が限界に達したと判断したものだ。歴史ある公立病院の閉院は道内でも極めて異例であり、地方医療の持続性をめぐる議論が活発になっている。
- 青山剛市長は25日の市議会議員協議会で、2027年度をめどに市立室蘭総合病院を閉院する方針を正式に表明した。背景には患者数減少と人件費増加による経営悪化がある。
- 2024年度末の負債は約85億円に達し、2025年度の資金不足は約24億円と見込まれている。当初見込みの19億8,000万円からさらに悪化した。
- 市はこれまで一般会計から累計約50億円を繰り出して支援してきたが、このまま赤字補填を続ければ、市全体が財政再生団体に転落する恐れがあると判断した。
- 閉院後は、脳神経外科などの高度急性期医療や救急機能の一部を製鉄記念室蘭病院へ統合する方向で調整している。ただし、不採算部門や救急体制がどこまで維持されるかは不透明だ。
- 2025年度の入院・外来患者数は延べ約25万人と推計されており、閉院により医療アクセスが低下する可能性がある。地域医療体制の再構築が急務となっている。
- 最も大きな影響を受けるのは職員で、常勤職員約540人の多くが組織改廃に伴う「分限免職」となり、公務員の身分を失う見通しだ。会計年度任用職員約200人を含めると、最大約1,000人規模の雇用に影響が及ぶ可能性がある。
- 職員組合は経営改善のため給与9%削減に合意していたが、その後の閉院決定に動揺が広がっている。市は再就職支援に向けて意向確認を進めるとしているが、具体策はこれからだ。
- 「何も悪くない職員が分限免職になるのは理不尽だ」との声や、医療従事者の将来不安を訴える声も広がった。
- 一方で、赤字が拡大する中での統合判断はやむを得ないとの意見もあり、財政健全化と地域医療維持の両立をどう図るかが問われている。
市立室蘭総合病院の閉院決定は、単なる一自治体の経営問題にとどまらない。人口減少と高齢化が進む地方都市において、公立病院の役割と財政負担をどう両立させるのかという全国共通の課題を浮き彫りにした。医療体制の再編と公務員の雇用問題への対応が、今後の大きな焦点となる。

市立室蘭総合病院HPより







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