賃上げが続くにもかかわらず「パワーカップル」が減少するという現象は、一見すると統計の揺らぎのようにも見える。しかし実態は、日本企業の賃金配分と人材活用の歪みが表面化したものであり、構造的な問題と捉えるべきである。とりわけ、役員・管理職層の報酬抑制という慣行が、その中核にある。
パワーカップルは「2人とも健康で、2人ともフルで働き続け、2人とも管理職を維持する」という条件が全部揃い続けないと成立しないから、砂上の楼閣だと思う。要は2人とも限界まで働いている夫婦だからね。 https://t.co/SfkZ4OPgvP
— やうゆ (@yauyuism) March 18, 2026
【参照リンク】パワーカップル、「夫婦とも1000万円以上」は減少 管理職に異変か 日本経済新聞
- 2025年、夫婦とも年収1000万円以上の世帯は約10万世帯と前年比約9%減少し、4年ぶりに減少へ転じたが、同時に年収700万円以上の共働き世帯は約9%増加しており、「中間層は拡大する一方で上位層が縮小する」という賃金構造が鮮明になった。
- 春闘の賃上げ率は2年連続で5%超と高水準であったにもかかわらず、企業は外部環境の不透明さを理由に、役員・管理職層の報酬引き上げには極めて慎重な姿勢を維持し、結果としてこの世代の労働分配率は低下し、利益が中核人材に十分還元されていない。
- 年収1000万円以上は主に課長級以上の管理職ポストが前提となるが、その実態は長時間労働・高い責任・限定的な報酬上昇という構造にあり、昇進による経済的メリットが乏しく、合理的に見て「引き受けるインセンティブが弱い職位」になっている。
- 出産後のキャリア停滞を意味する「マミートラック」や、女性の就業率が出産期に低下する「L字カーブ」が依然として解消されておらず、高所得共働き世帯の形成を阻害しているという指摘もある。
- さらに、年間約10万人規模とされる介護離職が、40〜50代の高所得層を直撃し、世帯年収を押し下げる構造的な要因となっているとも言われている。
- その結果、高所得層の購買力は鈍化し、首都圏の新築マンション契約率が70%を下回るなど住宅市場に影響が及び、さらにサービス消費の伸び悩みを通じて物価全体にも波及し始めている。
- 一方で、この現象は現役世代の現実的な対応の結果だという前向きな指摘もある。
高学歴層の20代での早婚がここ数年トレンドになり年収1000万になる前に出産してるってだけ。非常に喜ばしい現象。
7、8年前のJTCは30代後半〜40前後で年収1000万になってからやっとリミット意識して不妊治療し授かるみたいなのが多かった。あれは不健全だった。 https://t.co/RuYn566j8b
— あずさ🛋️🌃🎄 (@azzzzzzusa) March 18, 2026
要するに、この問題は「働き方の問題」として語られることが多いが、実態は単純な分配の問題の面が大きい。企業が最も価値を生む層への報酬を抑制し続ける限り、優秀な人材は管理職を避けるか、あるいは外部へ流出する。その背後にあるのは、日本企業が依然として「誰に報いるべきか」という根本的な問いに答えられていないという事実である。この構造を認識しない限り、同様の傾向は今後も変わらないだろう。
同じ世帯年収2000万円のパワーカップルでも夫婦とも残業を厭わずバリバリ働いて1000万×2を目指すと家庭が壊滅的になるので、片方は仕事優先で1200万、もう片方は家族優先の800万でバランスをとった方が幸福度は高いよねという話を最近よくする。唯一の問題点として、そんな調整は不可能なんだけど。
— 窓際三等兵 (@nekogal21) March 18, 2026








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