大統領には質問できて首相に質問できない記者クラブ

トランプ氏が真珠湾攻撃に言及、日本の高市首相との会談で

トランプ氏が真珠湾攻撃に言及、日本の高市首相との会談で - BBCニュース
日本の高市早苗首相は20日、アメリカのドナルド・トランプ米大統領と直接会談した。この公式訪問で注目を集めたのは、トランプ氏のある発言だった。日米が共有する歴史的出来事である、第2次世界大戦中の真珠湾攻撃に言及したのだ。

「不意打ちのことは、日本が一番よく知っているだろう? どうして日本は真珠湾のことを私に知らせなかったんだ」と、トランプ氏は答えた。隣に座っていた高市氏は、目を大きく見開き、深呼吸をしているように見えた。

まあいかにもトランプらしい発言です。歴史を語るならメイン事件、トンキン湾事件、イラク戦争、湾岸危機、コソボ空爆、シリア内線介入など、米国は常に嘘をついて戦争を始めてきました。つまりアメリカに正義はなく卑怯でアンフェアな国である。それは昔から現在まで変わらない。我々は同盟国がこういう国であると認知しておくべきです。

今回のイラクに対する戦争はおおむね合意するところまで、進んでいたのに交渉相手を暗殺したわけですから、真珠湾攻撃よりもはるかに悪質だし、何しろ今は21世紀ですよ。

更に申せば帝国海軍航空隊は真珠湾攻撃で、学校を空襲するようなことはしませんでした。きちんと軍事目標だけを攻撃した。対してこれだけ情報技術が発達した21世紀に学校誤爆して100人を超える少女たちを殺したわけです。まあトランプに何言っても無駄ですが。

日米首脳会談2026年3月20日 トランプ大統領と高市首相 首相官邸HPより (2)

今後米国と対立した国は今回の件で「テロで米国を攻撃する権利」を得たといってよいでしょう。9.11のような民間をターゲットにした大規模テロまで容認れることになるでしょう。少なくもそのように主張することは可能です。イランがやるかどうかは別ですが。

まあ、その質問をした記者に対してネトウヨが批判しているわけですが、記者がどういう質問するのかとか、忖度しないのはけしからんというのはジャーナリズムを知らない人間のたわごとです。そう思うなら北朝鮮に移住すればいい。そうすれば心安らかに暮らせると思います。

しかも元駐米大使がおなじようなことを言っている。政権と米帝に忖度しないと死んでしまう病気なかのもしれませんが、ではなぜ英国やドイツは事前通告を受けていたのか、記者は日米同盟は英仏より劣るのか、と聞くべきでした。

この質問をした記者はテレビ朝日の政治部官邸キャップ・千々岩森生記者です。

トランプ大統領、真珠湾攻撃に言及 質問した記者「私みたいな日本から来た記者を小バカにしてやろうと思ったのだと思います」…「ワイド!スクランブル」

トランプ大統領、真珠湾攻撃に言及 質問した記者「私みたいな日本から来た記者を小バカにしてやろうと思ったのだと思います」…「ワイド!スクランブル」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
テレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」(月~金曜・午前10時25分)は20日、日米首脳会談について報じた。 高市早苗首相は19日に渡米。日本時間20日未明にトランプ大統領と首脳会談が行わ

両首脳の会見では千々岩記者がトランプ大統領に日本などの同盟国にイランへの軍事攻撃をなぜ事前に知らせなかったのか質問。これにトランプ大統領が「奇襲について日本ほどよく知っている国があるだろうか。なぜ真珠湾攻撃のことを教えてくれなかったのか」と答えたことが伝えられた。

千々岩記者は「これはですね、日本でもやはりなんでアメリカが勝手に始めた戦争に我々が巻き込まれなければいけないんだと、アメリカが勝手に始めたものに支援を求められなければいけないんだと、しかも軍事も含めてですね、そういう違和感、もやもやは我々は持っているわけですからそこに対する疑問をぶつけようと思いまして投げかけたんです」と説明。そして「そうしますとトランプ大統領は真珠湾攻撃を言いながら切り返してきたということで、非常に私は違和感を持ちましたし、そもそもトランプ大統領のようなタイプの方は真珠湾攻撃というのに批判的な気持ちを持ってきたはずなんですけれども、それをだしにイラン攻撃の話をそちらにすり替えるというのは違和感を持ちました。私みたいな日本から来た記者を小バカにしてやろうと思ったのだと思いますけれども、語るに落ちたという気はしました」と語った。

まあ威勢のいい正論です。それを否定するつもりはない。

ですがあなた方、特に記者クラブの政治部の記者が同じような質問を日本の首相会見でしていますか?という話ですよ。

少なくとも我が国では首相や大臣の会見では特に政治部記者は首相や大臣に対して忖度して、厳しい質問しませんよね。記者が事前に質問を提出して、官僚がそれに対して回答を書いて大臣はそれを読み上げるだけ。それは他国では記者会見とはいいません。

千々岩記者に聞きたいのですが、ホワイトハウスでそれを要求されたあなたは憤るんですかね?
それとも外国にいくとジャーナリストのふりをするんですか?

であれば、それは二重基準ですよ。

以前ぼくはNHKの政治部キャップだった鈴木徹也記者に防衛省大臣会見でいやがらせを受けました。「個人的な質問をするな」と。

これは別に個人的な質問でなく、単に具体例として取り上げて特定機密保護法について質問をしただけです。

筆者の質問のキモは防衛省の情報開示が民主国家として異常なほど過度の秘密主義である。現状で特定機密保護法が成立すれば、より事態が悪化することは無いかということだ。この手も問題で抽象論をいっても抽象的な答えしか返ってこない。それでは質問する意味が無い。だから顕著な例として陸幕装備部が作成した拙著の「正誤表」を実例としてあげた。

キヨタニに詰め寄られて脱兎のごとく逃げを打ったNHK防衛記者クラブキャップ、鈴木哲也記者(当時)の勇姿。

実はその後鈴木徹也がぼくの事務所に押しかけてきて、その後スタバで散々わびた音声も持っています。いつか公開したろ。

要は大臣や防衛省が困るような質問をして、防衛省と記者クラブが営々として築いてきた「癒着体制」を壊すな、ということでしょう。そのくせ、記者クラブ会員の共同通信の石井暁あたりが、の自己陶酔型の質問に名を借りた自分語りは放置してきたんですがね。

外国に行ったときはジャーナリストとしての権利を要求するが、国内では記者クラブ会員以外のジャーナリストを取材機会から排除して、国民の知る権利から当局を守る防波堤の役割をしていることは二重基準です。

こういうことをやっていて恥じないのが記者クラブ、特に政治部記者たちです。

■本日の市ヶ谷の噂■
イージスアショアは防衛省抜きで国家安全保障局の髙橋憲一元防衛事務次官が無理やり導入を進め、地元の説得もまたずにお手付きでSPY7レーダーは2基発注してその後アショア配備が中止となった大失態を演じ、メンツがつぶれるからと陸上用を無理やり海自に押し付けてイージスシステム搭載艦に搭載させることに成功。
その後2隻だけでは運用が無理だともう一隻採用させようとしたが次世代イージス艦には米海軍が採用したSPY6を採用したい海幕と財務省の共闘によってこれは防止された。
だがその後も代理店の三菱商事とコンサル、グローバル・インサイト・ジャパンが再び3隻目のイージスシステム搭載艦を押し込もうと画策激烈なロビー活動を展開し、更に海自のこんごう級の更新のイージス艦に全部SPY7を搭載させることを目論んでいる。
だがこれが実現すればそもそも信頼性が怪しいうえに米海軍との相互互換性がなくなる、その上定期的なアップデートごとに巨額の費用をロッキードマーチンの言い値で払うことになり、海幕は危機を募らせている、との噂。

大人の事情で商業媒体に掲載されなかった記事を、Noteで有料公開します。

馬鹿が戦艦でやってくる!

Kindleで有料記事の公開を始めました。

いずも級、22DDHは駆逐艦に非ず。 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
暴力装置 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一

東洋経済オンラインに寄稿しました。

拡大する防衛費を防衛省・自衛隊が適切に使えていない可能性。陸上自衛隊による、銃の調達や取り扱いから垣間見える「知識不足」の疑い
https://toyokeizai.net/articles/-/911653
ソニーグループが「隠れた防衛関連企業」といわれる理由、実は同社製のある汎用品がミサイルやドローンなどに欠かせないパーツになっていた
https://toyokeizai.net/articles/-/907817

過去の著作の電子版が発売になりました。
『ル・オタク フランスおたく物語』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DY1PJ1YL/
『弱者のための喧嘩術』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DY1L9SPW/


防衛破綻 – 清谷 信一


専守防衛 – 清谷 信一


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2026年3月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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