フランスのマクロン大統領が訪日しました。これは今年はフランスが6月のG7の開催国なので慣習的に議長がそれらの国を廻って根回しや下地作りをする一環であります。ただ、個人的にはマクロン氏は中国との関係が冷淡になる中でその天秤として日本との関係をもう少し構築したいという意味と妖怪ともいえるトランプ氏を手なずけた高市氏に「いざという時はよろしく頼む」ぐらいの感じではなかったかと思います。マクロン氏とトランプ氏が今会談したら確実にぶつかるのが目に見えている中でG7会合をどうまとめるか、これはマクロン氏だけではなく、欧州首脳全員の頭痛の種かもしれません。
では今週のつぶやきをお送りします。
影響は限定的だったトランプ演説
全世界が「ある期待」をもって見守ったトランプ氏のアメリカ国民向け演説。もちろんそれは膠着状態が続くイラン戦争において戦争終結を示唆する期待でありました。が、トランプ氏は「2-3週間激しく攻撃する」と述べ、発言が場中にあった木曜日の日本の株式市場ではプラスから一気に1200円を超える下げとなりました。私が感じたのはトランプ氏は「攻撃」ではなく「口撃」の延長であり、イラン側との舌戦の何物でもない点とまもなく終結させるという点が重要なのだと見ました。これを受けたアメリカの株式市場は朝方こそ、酷い下げから始まったものの終値ではS&Pとナスダックがプラス引け、ダウもわずかな下げに留まりました。イースター休暇前で手じまいに急ぐ感じでもなく、全体の流れは変わっていないことを確認したと思います。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより
基本的に今は株式投資をやりにくい時期であります。土砂降りの中、いつか来る晴れを期待するような状況ですが、業種や地域によっては厳しい情勢が続くとみています。日本は厳しい方に入ります。一部報道ではウクライナ戦争の戦後を踏まえてロシアと経済交渉をする動きが日本政府にあるされます。日本政府の焦りとも言えます。また海外から見て投資対象としての日本は地政学的な見地の検討が先に来るため、個別銘柄がどれだけ良くても全体の盛り上がりにはつながりません。(バークシャーの東京海上の投資ケースは例外的だと思います。)
私は引き続き4月にはこの戦争の何らかの方向性が出るとみています。よって株式市場は当面は乱高下が続くと見ます。日本市場は売り手と買い手のぶつかり合いというより、常に一方通行の情報に惑わされるボラティリティの高い市場であることを念頭に置いておく必要があります。また原油高とそれに伴う物価高、そして消費需要の減退は確実に起きていくのでこのあたりがボディーブローにならなければよいかと思います。
本格的宇宙時代の幕開け
NASAの「アルテミス2」が発射されました。今回は月の周回を廻って帰還するという使命なのですが、近い将来は月面着陸を目指します。我々が小さい頃、月面着陸した映像をテレビで見た時には大興奮したものですが、それ以降、アメリカは月を目指すのを止めていました。理由はカネがかかりすぎたのです。何と言っても当時のNASAは国家予算の5%ぐらい食っていたのです。国防費並みです。それと米ソ宇宙開発競争に勝ったことで「もういいか」になったともされます。
では「Youは今更、またなぜ、月を目指すのか」と言えばかつての米ソ競争から米中宇宙開発競争に代わったことはあるでしょう。中国の宇宙へのご執心具合は非常に強く、2030年に月面着陸を目指すとしています。アメリカ人は生まれ持った開拓者精神の持ち主ですから宇宙も自らが覇権を目指すという意志は尊重したいと思います。また民間ベースではイーロンマスク氏のスペースX社の上場の準備が進んでいるようです。こちらはより商用ベースに乗る話で個人的にはスペースXが提供する衛星網でネット通信規格は宇宙からという時代が来るとみています。
日本は富士通やNECが5Gなどの基地局事業で挽回ののろしを上げているのですが、もしも近未来のネット接続が宇宙からになった場合、基地事業は構造的変化をすると思うのです。その点からするとすべてはアメリカの支配下によるデファクトスタンダードの設定ということになるのでしょう。日本は民間でロケットがまだ飛ばせないわけですが、やはりカネの掛け方、そして多面的な見地からの研究や探索、政治力、影響力が弱いのかな、という気がします。このままでは日本は何時まで経ってもアメリカの下請けにしかなれないでしょう。悔しいですね。
ソフトバンクGの錬金術
先週号の日経ビジネスの特集は「ソフトバンクグループ チーム後藤の研究」。ある意味、すごい特集です。孫正義氏ではなくCFOの後藤芳光氏に焦点を当てたところがこの特集のミソでなかなか面白い内容でした。茶化してはいけないのですが、孫氏がぶち上げて投資のコミットしてくる一方、後藤氏がそれを受けて豆腐屋の如く1兆、2兆…と資金調達をする役割になっています。
記事にもありましたが、ソフトバンクGの強みとは売る勇気を持っていることではないかと思うのです。かつてはアリババ、そして最近ではエヌビディアを売却しました。見方によっては「売らざるを得なかったのだろう」という人もいますが、孫氏にとってそれらの企業は自分の子供であり、大事な仲間という意識を持っており、まさに「泣いて馬謖を斬る」という表現が一番しっくりくるのではないかと思います。
ソフトバンクGに錬金術があるなら皆さんも学ぶべきですし、私も実は学んでいます。例えば持ち株が高値になってもじっと持ち続けるべきか悩むでしょう。私は基本的には長期保有の銘柄の場合、株価が一年にせめて10%程度、成長してくれなければ斬るようにしています。(時として売却益に対する税金が大きすぎてためらうこともあり、その場合は別のロジックを当てはめています。)私が知る投資信託の運営でも当初投資額に対して〇%の利益が出たら自動的に売るという厳格なルールが設定されています。売るのは私情が入るので本当に勇気がいることですが、むしろパーンと売り浴びせるのも案外気持ちがスッキリしてよいものです。そんな時飲むビールの味は格別ですよね。正に美酒であります。
後記
カナダから東京に着いて5時間だけ睡眠をとり、すぐに新幹線に飛び乗り、これを書く今は四国。物価も安くのんびりした田舎感があり、ある意味、癒されます。よく聞かれるのは将来はどちらに住みたいか、という質問。答えは明快にカナダ。1つはカナダの事業絡みで今年ある仕組みを実施する予定ですが、これがちょうど10年かかるので終わる時は75歳。日本は旅行したりのんびりするには良いのですが、これだけ長く海外生活が続くと海外と日本を総合的に比べて「どっちが受け入れやすいか?」という判断になるのです。決してどちらが良いかという話ではなく、年齢を重ねれば自分が慣れ親しんだ方をどうしても選びたくなるということかなと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月3日の記事より転載させていただきました。






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