
pain au chocolat/iStock
新刊を出版するにあたり、「Claude Codeについてはどうなんですか?」という質問を受けることが増えた。前回は、Claude Codeセミナーがなぜ乱立し、なぜ多くの人が惹きつけられるのか、その構造を明らかにした。

今回は、一般のビジネスパーソンが本当に必要としているものについて書く。
大半のビジネスパーソンに必要なのは「コンサルタント」である
前回、claude.aiを「コンサルタント」、Claude Codeを「常駐エンジニア」にたとえた。セミナー事業者は「エンジニアの方がすごい」と煽る。
しかし冷静に考えてほしい。あなたが今、仕事で困っていることは何だろうか。
企画書の構成が決まらない。取引先へのメールの文面が思い浮かばない。議事録が溜まっている。上司への報告資料をどうまとめるか悩んでいる。部下の評価コメントに毎回苦労する。競合他社の動向を整理したい。
これらすべてに対応できるのがclaude.aiだ。ブラウザを開いて日本語で話しかければいい。セットアップ不要。技術用語も不要。今日から使える。一方、Claude Codeでこれらをやろうとすると、ターミナルを開き、コマンドを打つところから始めなければならない。営業資料を作るのに、わざわざ黒い画面に向かう必要がどこにあるのか。
新しいツールの使い方を教える前に、今あるツールの使いこなし方を教えない。その時点で、その教育は不誠実だ。
「物足りない」の正体はツールではない
多くのビジネスパーソンがChatGPTやGeminiに感じている「期待外れ」の正体は、ツールの限界ではない。使い方の問題だ。
はっきり言おう。AIを使いこなせていない人の9割は、ツール選びではなく、質問が雑なのだ。
「企画書を書いて」と指示する。これでは、AIは何の企画書かも、誰に向けたものかもわからない。当たり障りのない文章が返ってくるのは当然だ。これが「私は食品メーカーの営業部長で、来期の新規チャネル開拓について役員会で提案する。競合3社の動向を踏まえた上で、実行計画と想定リスクを含む企画書の骨子を作ってほしい」になると、出力の精度はまるで違う。
この「指示の設計」を知っているかどうかで、同じツールでも得られる結果に天と地の差が生まれる。Claude Codeという新しいツールに飛びつく前に、今使えるツールでこの差を埋める方がはるかに合理的だ。
私が本書に書いたこと
23冊の著書を執筆し、この4年間、実務でAIを使い倒してきた。その経験から確信していることがある。AIを業務で活かす鍵は、「どのツールを使うか」ではなく、「どう使うか」にある。
最新のツールを追いかけ続ける人は、いつまでも入口で立ち止まっている。一方、一つのツールを深く使いこなす人は、そのツールが進化するたびに自分の生産性も上がっていく。
『3時間で身につくClaude活用術』で重視したのは再現性だ。読者がページを開いて、そのまま自分の仕事に適用できること。90分のセミナーでは、講師のデモを見て「すごい」と思う。だが翌日、自分のデスクに戻ったとき、何をすればいいのかわからない。高揚感は一晩で消え、業務は何も変わらない。
本書に書いたのは、その「翌日から使える」具体的な方法論だ。どの業務で、どんなプロンプトを、どう設計すれば、どんな結果が返ってくるか。高額なスクールに数ヶ月通う必要はない。まずは3時間、この土台を作ることだ。指示の設計力さえ身につければ、AIは別物になる。
Claude Codeを否定はしない。ただし順序がある
Claude Codeの存在を否定するつもりはない。技術に関心のある方が次のステップとして学ぶ価値は十分にある。claude.aiという土台がある人にとっては、Claude Codeは生産性をさらに一段引き上げる強力な選択肢になる。
ただし順序がある。コンサルタントの活用法を知らないまま常駐エンジニアを雇っても、何を指示すればいいのかわからない。まずclaude.aiを使いこなし、AIとの対話に慣れること。Claude Codeはその先だ。
Claude Codeセミナーが乱立する現象は、一つの事実を物語っている。「AIを使い始めたが、業務が劇的に変わった実感がない」という不満が、膨大な数のビジネスパーソンの中に蓄積されているということだ。
その焦燥感に、Claude Codeセミナーの広告は見事に刺さっている。しかし本当に必要なのは、新しいツールに飛びつくことではない。今使えるツールを、業務のどの場面で、どう使い倒すかを知ることだ。
その答えは、90分の無料セミナーの中にはない。数万円の有料スクールの中にもない。答えは、いま開いているその画面の中にある。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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23冊目の本を出版しました(4月13日発売)。
『3時間で身につくClaude活用術』(WAVE出版)








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