ソレイマニ姪をICEが拘束:第二次トランプ政権は移民政策を外交カードに

マルコ・ルビオ国務長官は5日、故イラン革命防衛隊コッズ部隊司令官カセム・ソレイマニ少将の姪にあたるハミデ・ソレイマニ・アフシャールとその娘のグリーンカードを取り消し、両者を移民・関税執行局(ICE)に拘束させたと発表した。アフシャールはイラン政権の強硬な支持者であり、アメリカへの攻撃を称賛し、米国を「大サタン」と呼んでいたという。現在、母娘は米国からの強制送還を待つ身となっている。

故カセム・ソレイマニ少将とトランプ大統領 Wikipediaより

カセム・ソレイマニとは何者か

カセム・ソレイマニは、イラン革命防衛隊の精鋭部隊であるコッズ部隊の司令官として20年以上にわたり中東全域における対外工作を指揮した、イランで最も影響力のある軍人の一人だった。イラク、シリア、レバノン、イエメンなど広範な地域でイランの代理勢力を組織・支援し、ヒズボラやイラク民兵組織への兵器供与と資金援助を統括した。米国はソレイマニを、イラクで多くの米兵を死傷させた路肩爆弾攻撃の「」と呼び、長年にわたりテロリストに指定していた。イラン国内では英雄視される一方、米国やイスラエルにとっては最大の脅威の一つとみなされていた。

2020年1月3日、トランプ大統領(第一期)の命令により、ソレイマニはイラクの首都バグダッドの国際空港近くでMQ-9リーパー無人機による空爆を受け、イラク民兵組織の幹部らとともに暗殺された。暗殺の直接的な口実は、イランの支援を受けたイラク民兵がバグダッドの米国大使館を攻撃したことへの報復とされた。この暗殺は中東に衝撃を与え、イランは報復としてイラク国内の米軍基地にミサイル攻撃を行った。ソレイマニの死はイランの軍事・外交戦略に大きな打撃を与えたとされ、トランプ大統領は最近の国民向けの演説でも「ソレイマニが生きていれば、今夜の状況は違っていただろう」と述べ、その影響力の大きさを改めて認めている。

移民政策と外交政策の融合

今回のアフシャール拘束は、単なる移民取り締まりにとどまらず、第二次トランプ政権の外交戦略と深く結びついている点で注目される。現在進行中の対イラン軍事作戦の最中に、イラン政権と縁のある人物の法的地位を剥奪したこの決定は、国内の移民政策が対外政策のメッセージ発信の手段として機能していることを鮮明に示している。

ニューヨーク・タイムズの報道によれば、トランプ政権はこうした移民政策を外交交渉の道具として積極的に活用している。強制送還された移民の受け入れ先を世界中に求めるにあたり、政権は独裁者や強権的指導者とも積極的に取引を結ぼうとしており、米国外交官はホワイトハウスからの強い圧力のもと、外国の治安部隊への資金提供、ビザ規制や関税の緩和、公衆衛生サービスへの資金援助、さらにはテロ関連の監視リストの見直しまで、あらゆるカードを交渉のテーブルに載せていると伝えられている。

イデオロギーと法的地位を問わない取り締まり

ルビオは今回の措置について、「トランプ政権は反米的な姿勢をとる外国人のテロ組織の温床となることを許さない」と述べており、グリーンカード保持者であっても政治的言動によって在留資格が剥奪されうることを明確に示した。これは、移民の法的地位が単なる入国管理の問題ではなく、外交・安全保障政策と一体化した政治的手段として運用されているという、第二次トランプ政権の際立った特徴を端的に表している。

移民政策と外交政策のこうした融合は、同盟国・敵対国を問わず、米国との関係に新たな不確実性をもたらしており、今後の国際秩序にも少なからぬ影響を与えると見られる。

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