教育の政治的中立性:教育者はなぜ辺野古を学習材料とするのか?

同志社国際高校の生徒らが巻き込まれた辺野古での事件に関して、なぜ反対派の船で修学旅行の実習が行なわれたのか、という点について調査が進んでいます。産経によると「名護市辺野古移設工事の現場を訪問する研修旅行が全国の私立校で相次いでいることを受け、松本洋平文部科学相は3日の閣議後記者会見で平和教育のあり方として「わが国はこれまで平和国家としての歩みを進めてきた。憲法や(特定の見方に偏らないことを規定した)教育基本法に基づいて子供たちに教育が行われることが望ましい」と述べた」とあります。

さらに「同志社国際高校(京都府京田辺市)が過去の研修旅行のしおりに抗議活動への参加を呼びかける文章を掲載していた問題に関しては『特定の見方に偏った取り扱いにより生徒の主体的な考えや判断を妨げないことが必要だ。研修旅行の内容や安全管理、適切な教育活動か否かなど京都府を通じて確認を進めている』と説明した」とあります。

同志社国際高校HPより

なぜ、文科大臣がこのようなコメントを発したかと言えば辺野古を訪れる高校の修学旅行がこんなにあったのか、と驚くべき事態だったことも背景の一因であります。沖縄に修学旅行に来る高校は年間2000校強、そして辺野古に来るのがその2割程度とされます。修学旅行の生徒全員が来るかどうかは別としても絶好の社会学習の材料として辺野古問題が取り上げられやすいわけです。

教育者はなぜ辺野古を学習材料とするのでしょうか?確かに学習材料は多いと思います。普天間がなぜダメになったのか、辺野古しかなかったのか、環境問題は?米軍にそこまでしてあげることへの沖縄県民の感情、中国と日本の外交問題、沖縄の成り立ち(特に琉球王国時代の中国との冊封関係、及び日本がなぜ琉球と関係を持ったか)、更には戦争時代の悲劇の話も本件を社会勉強として捉えるには必要なエレメントです。

ただ、これら膨大な背景や複雑な問題の中を生徒たちはどこまで熟知して現場に行くのでしょうか?そして現場で船を運航する人が反対派の方であれば当然、様々な説明はそれらの方々の立場からの意見となります。子供たちは感受性が高いですから悲惨な過去や反対派の主眼をボートの中から見せられ、語られればその影響力は絶大なものになります。

ましてや同志社国際高校の教材から反対派への同調とみられる姿勢が見つかったのは非常に残念であります。調査結果が進むのを待たねばなりませんが、個人的には京都の教育界の独自性はあると思います。

もともと日教組を背景とした教育界の左派的傾向がある中で京都は歴史的に特に人権配慮の姿勢が強く、また28年も続いた蜷川虎三元知事の改革政策とその思想が高度成長期に作り上げた社会的風土はあるのでしょう。京都そのものが歴史的に周辺府県と一定の差を意識するプライドの高さがある点でもユニークだし、天下の京都大学は左派思想が強いことはよく知られた話です。経済学でも東の一橋、西の京都と言われるほどでした。

教育の中立性は教育基本法第14条に定められており、これは厳しく指導されているため、京都を含めた教育委員会もそこは順守する姿勢を見せています。が、個々の先生の思想は完全に管理できるものではなく、また基本的には教育現場においては人権擁護、左派思想が洋の東西を問わず、強いものです。

では右派思想はどう教育界で提案されているのでしょうか?私はあまり聞いたことはありません。

カナダのトロントにはアルファという中華系団体が日本の大戦時代のことを猛烈に批判する博物館があり、そこにはクラスルームを行えるスペースがあります。どう使うのか、と館員に聞いたところ、周辺の高校などがこの博物館に来て、管内見学をした後、そこで授業を受けるのだというわけです。おどろおどろしい写真を見せられた後、そこで教育されることは短絡的に「日本は酷い国だ」という一点を引き出しやすいとも言えるのです。

辺野古の見学でも船から下船すれば「政府のやり方には無理がある」という意見は出やすいばかりか、見た事象に対する強烈な印象付けはよほどの機会がない限り、変わりにくいというのが私の知る限りでの話です。

そういう意味では修学旅行先が京都や奈良ならまだしも沖縄を選ぶこと自体がそもそも左派思想を取り込みやすいとも言えます。修学旅行で自衛隊の演習場を入れるという発想は教育者にはないかもしれません。しかし、バランス教育を目指すならどうしてそういう発想に至らないのか、という原点に立ち返らない限り解は出てこないでしょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月6日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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