保守系メディアの著名司会者タッカー・カールソンが、長年支持してきたトランプ大統領を公然と批判する動画を発表し、波紋を広げている。自他ともに認めるトランプ支持者であるカールソンが、これほど直接的かつ激烈な言葉でトランプを批判するのは極めて異例だ。

タッカー・カールソン氏動画より
イースターの朝に届いた「最も邪悪なツイート」
批判の直接的な引き金となったのは、イースター当日の午前8時3分にトランプ大統領が投稿したメッセージだ。そこには「火曜日はイランで発電所と橋を破壊する日だ。前例のないものになる」「ホルムズ海峡を開けろ、さもなくば地獄で暮らすことになる」「アッラーに感謝あれ」と記されていた。
カールソンはこのツイートを「史上最も邪悪な投稿」と断じ、「これは悪だ。美と真実を意図的に冒涜することが悪の定義であり、これはまさにそれだ」と述べた。
イースターはキリスト教の最も聖なる祝日であり、その朝に民間インフラの破壊を宣告し、イスラムの祈りの言葉で締めくくるという行為は、「イスラムを嘲弄しているだけでなく、キリスト教をも嘲弄している」とカールソンは強調した。さらにイランには100万人以上のキリスト教徒が暮らしており、「これは彼らのイースターでもある」と指摘した。
民間人殺害は「神の法」に反する
カールソンが問題視するのはツイートの品位だけではない。発電所と橋の破壊という行為そのものが、道義的に許されないと訴える。
「発電所を破壊すれば何が起きるか。保育器につながれた赤ちゃんが死ぬ。病院の患者が死ぬ。やがて人々は食料を求めて都市を離れ、難民危機が生じる」。これは国際法の問題ではなく、「神の法、道徳の法に反する行為だ」とカールソンは言い切った。
加えて、ホルムズ海峡の封鎖が続けば世界の肥料の30%、エネルギーの20%の流通が止まり、「これは大げさな話ではなく数学の問題だ。世界的な恐慌と飢饉が起きる」と警告した。
核使用への道を歩んでいる
さらにカールソンが深刻な懸念を示すのが、核兵器使用の現実的可能性だ。
保守系論客マーク・レビンがイースターの週末に放送した番組で、沖縄戦の犠牲者数を引き合いに出しながら「核兵器の使用こそが最も人道的な選択だ」と主張した。トランプ大統領自身が同番組の視聴を公に推薦していたことを踏まえ、カールソンは「これは点と点をつなぐ陰謀論ではない。一対一の直接的なメッセージだ」と断言した。
通常兵器ではホルムズ海峡を開通させることはできない。その先にあるのは非通常兵器、すなわち核兵器の使用だとカールソンは論理的に展開し、「今すぐ大統領の周囲にいる者が『ノー』と言わなければならない。命令を受けても実行しないと言わなければならない」と訴えた。
なぜキリスト教指導者たちは沈黙するのか
カールソンはこの問題を、単なる政治批判にとどめない。より根本的な問いを投げかける。
大統領の霊的顧問ポーラ・ホワイトは聖週間のホワイトハウスの式典で、フランクリン・グレアムら著名な宗教指導者を前にトランプをキリストに例える発言をした。しかし誰も異議を唱えなかった。
「これはキリスト教への冒涜だ。トランプを支持しているかどうかは関係ない。いかなる人間もイエスと比較することは許されない」。カールソン自身も就任式でトランプが聖書に手を置かずに宣誓したことを目撃していながら何も言わなかったと認め、「それ以来、ずっと気になっていた」と打ち明けた。
聖書に手を置かない理由は「信じていないから」ではないとカールソンは見る。「信じていなければ形式だけ従えばいい。手を置かないということは、中に書かれている内容──人間は神ではないという制約──を意識的に拒絶しているということだ」。
「略奪」から始まった転換点
カールソンによれば、転換点は今年1月4日だった。トランプ政権がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束し、「石油が欲しいからだ」と公言した。その後、米国の石油会社首脳らとベネズエラの天然資源の分配を協議する様子が公開された。
「窃盗だ。他人のものを力で奪うことは、万引きも銀行強盗も他国への侵略も本質的に同じだ。それは米国の法律に反するだけでなく、キリスト教の法にも反する」。この時点でキリスト教の指導者たちが声を上げるべきだったが、「ほとんど誰も何も言わなかった。そしてそれがこの事態を加速させたのかもしれない」とカールソンは指摘した。
「まだ間に合う」
カールソンはこの動画を絶望で締めくくらなかった。「まだ時間はある。次に何が来るにせよ、それを防ぐ時間はある。すべてが終わったわけではない」。
しかし、そのための第一歩は「服従」だと言う。自分の意志よりも高い法に従うこと。それこそが文明の礎であり、信仰の第一歩だと。
「大統領が宣誓の際に聖書に手を置く意味は、自分を超えた法に服従するという宣言だ。その一歩を、大統領と彼の周囲の人々が踏み出すことを祈る。今、すべてが瀬戸際にある」。
長年トランプを擁護してきた保守論客が発したこの警告が、どれほどの反響を呼ぶのか。注目が集まっている。






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