参議院自民党って何だ?

「参議院自民党」という言葉を頻繁に目にするようになったのは最近ではないでしょうか?そんな言葉があったのか、とも思いたくなりますが、意味は読んで字の如く、自民党の参議院議員です。首相が衆議院から選出され、常に選挙という緊張感を抱えながら日々、戦争のような政治をしているのに対して参議院は解散がなく、6年間の安定した地位を確保できます。二院制である以上、双方には違いがあるべきであって、私はもっと格差をつけ性格の違う参議院にした方が良いのではないか、とすら思っています。博識者や一定の社会人経験者で社会をもっと公平な立場から判断し、衆議院が時としてポピュリズムや党利党略、政治家のための政治になりやすいところをぐっと止めたり再考を促す役割です。

先の選挙で自民党が衆議院では圧勝しましたが、参議院では過半数を取れていない状態ですから、ある意味、日本の政治判断に一定のフィルターをかけ、フリーハンドにさせないという機能はまだ残っているとも言えるのでしょう。

さて、最近、参議院自民党と高市首相がしっくり来てない、という報道をちらほら目にします。多分、議員レベルでは最近の話というより、高市氏が当選した時点から始まった党内消化不良の症状がここにきて悪化してきているという感じでしょうか?

高市首相 首相官邸HPより

事の発端は公明党が連立与党ではなくなり、維新と組んだところからスタートしているとされます。要は衆議院レベルでどんどんモノを変えていくのは良いが参議院は軽視されている、という恨みです。次いで確執となったのが予算を年度内(3月31日)までに通すという高市氏の意思が参議院の中で消化されず、彼らの声を代弁するなら、「最終的には衆議院がパワーを持ち、すべてが衆議院のペースで進んでいるじゃないか?我々を何だと思っているのだ!」でありましょう。参議院不要説というのが出る所以です。

これを「しょうがない」というコメンテーターがいるとすればそれは本質をついていないと思います。議案を通せばよいのだろう、という安直な発想を日本の政治が求めているのならばそれは政治の質の低下であり、そもそも二院制を敷く意味すらなくなってしまうのです。衆議院は参議院をリスペクトすべきであるし、首相は参議院とも丁寧なコミュニケーションを取らなくてはいけないのです。

ところで、最近高市首相がぼやいているとされます。「私、忙しいのに…」と。今まで数多くの首相がいましたがどの首相も忙しかったはずですが、バランスよい公務をしてきたと思います。それこそ、休みもしっかりとり、ストレスもため込まないよう努力されてきたと思います。私は以前から指摘している通り、高市氏は独断で決めていくタイプであり、自分が実務的内容まで掌握し、自分だけで決める癖があるわけです。

よって高市氏のブレーンたちも尽くす気持ちが離れてきているようです。経済分野から本田悦朗氏、官房長官の木原誠二氏、外交の中西輝政氏、自民党幹事長の鈴木俊一氏、特任顧問の今井尚哉氏…らが我慢を強いられているとされます。彼らも業務でお仕えする立場なので反旗を翻すところには至っていませんが、このままでは何らかのきっかけでパリーンと割れるリスクが高まっていると言えます。

高市氏は勉強家なのでなかなか野党の追及に対しては崩れませんが、参議院自民党やブレーンの方々の熱い支援がなければ日本版トランプ大統領になってしまうのです。

では高市氏はなぜ、世論調査ではまだ支持率が高いのか、といえば目立った失敗をしていないからなのでしょう。というか、世間が許しているといったほうが正しいと思います。いわゆる「ひいき目」であります。ですが、内部事情を知る人や当事者、利害関係者からすれば思ったより冷たい状態になっている、そう感じています。

政治家は自分がかわいいものです。要は次の選挙で不利にならないようにするのです。戦国時代の武将が「お前、今度の戦いはどっちにつく?」という非常に現実的で打算的な選択を続けてきたのと同じで、そのうち多くの議員も「首相派でよいのかな?少し距離を置いた方が良いのかな?」という話題は当然出てくるでしょう。

私が見ている限り、片山大臣もそんなに高市氏にべったりではないと思います。彼女は財務大臣としてのバランス感覚を維持しています。一部の報道で麻生太郎氏が茂木氏を一時的に擁立し、先々は小林氏か小泉氏につなぐというストーリーが紹介されていました。どこまで核心をついているか知りませんが、面白い視点だと思います。多分、何が何でも高市氏を応援しているのは高橋洋一氏が筆頭で、本人がメディアを通じて一般大衆にアクセスしているのでわかりにくくしているかもしれませんが、彼は所詮コメンテーターでしかないのであります。

個人的には今後、高市氏は多くの重大な判断をしなくてはいけない状況にある中、そろそろ試練になると思います。目先はイラン戦争を巡るトランプ氏との距離感、食品消費税の2年間停止を止めて給付付き減税を段階的に進めるのか、中国とはどうするのか、酷い物価高になる予兆にどう対応するか、など事案山積です。高市氏が乗り切れるのかどうかは高市氏一人の手腕によるところが大きく、ブレーンがブレーンの役割を果たせないならある意味、今後、かなり不安と感じる人も出てくるかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月8日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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