私たちが受取る利子は多いのか? 家計の受取利子 国際比較

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この記事では、財産所得のうち、家計の受け取る利子について国際比較してみます。

1. 家計の利子とは?

SNA(国民経済計算)では、私たちの経済活動が国際的に共通の枠組みで、整理され、集計されています。

SNAの体系

SNAでは、各経済活動で生産された付加価値の合計であるGDPが、家計や企業などの各制度部門に分配されます。

その後、財産所得が足し引き去れ総所得である第一次所得バランスが、その後再分配を経て可処分所得が計算されます。

可処分所得の中から消費が行われ貯蓄が計算されて、その後投資が行われて足りなければ資金調達されるという流れです。

財産所得は付加価値の生産ではなく、資産の運用によって得られる所得です。

今回は、この財産所得のうち家計の受け取る利子(Interest)について国際比較していきましょう。

財産所得 日本 家計

家計の財産所得は、利子、配当、その他の投資所得、賃貸料に別れます。

受取り(プラス側)もあれば、支払い(マイナス側)もあります。

例えば、預金をしていれば銀行から利子を受け取り、住宅ローンなどでお金を借りていれば逆に利子を支払います。

家計の受取利子は1991年のバブル崩壊をピークにして大きく減少して、停滞傾向が続いています。

支払利子も同様に、当時から大きく減少していますね。

その代わりに、配当の受取が増えているのが特徴的です。

家計の現金・預金は増え続けていますので、当時から大きく金利が引き下げられたことが窺えます。

2. 1人あたりの推移

この受取利子について、国際比較をしていきましょう。

まずは、人口1人あたりドル換算値の推移からです。

国民の平均的な受取利子を、各年の為替レートで国際的な金額水準で評価した数値となります。

図1 財産所得 利子 受取 家計 1人あたり
OECD Data Explorerより

図1が主要先進国の家計の受取利子の推移です。

日本はバブル期に国際的に見てもかなり高い水準に達しますが、その後は他の主要先進国と同程度です。

近年では他国は大きく上昇していますが、日本はむしろ低下傾向が進んでいて、他国との差が開いているようです。

アメリカが圧倒的な水準に達しているのも印象的ですね。

3. 1人あたりの国際比較

最新の2023年の水準についてより広い範囲で国際比較してみましょう。

図2 財産所得 利子 受取 家計 1人あたり 2023年
OECD Data Explorerより

図2が2023年の家計の受取利子(1人あたりのドル換算値)の国際比較です。

日本は309ドルで、OECD29か国中25番目と、かなり少ないようです。国際的な金額水準で見れば、イタリアやドイツの半分未満で、アメリカの20分の1未満です。

アメリカが突出していて、ルクセンブルクの3倍以上というのも興味深いですね。

資産格差も大きい中で、富裕層の受取金利がそれだけ突出しているのかもしれません。

4. 対GDP比の推移

続いて、家計の受取金利について対GDP比でも見ていきましょう。

図4 財産所得 利子 受取 家計 対GDP比
OECD Data Explorerより

家計の受取金利について、対GDP比を見てみると、各国で低下傾向が続いてきたことがわかります。

ただし、2022年以降は日本以外では上昇しているのが興味深いですね。

特に、アメリカでも対GDP比では低下しています。

金額では上昇し、対GDP比では低下です。

5. 対GDP比の国際比較

最後に、家計の受取金利 対GDP比の国際比較です。

図5 財産所得 利子 受取 家計 対GDP比 2023年
OECD Data Explorerより

図5が家計の受取利子 対GDP比の国際比較です。

日本はGDPに対して0.9%で非常に少ない水準です。ただし、対GDP比で見ればドイツや東欧諸国などとはそれほど違いはありません。

イギリスやフランス、イタリアは先進国の中でも高めの水準で、アメリカが8.3%と突出しているのが特徴的です。

GDPの8%以上に相当する財産所得が家計に入ってきているというのはすさまじいですね。

6. 家計の受取金利の特徴

今回は、財産所得のうち家計の受取金利について国際比較してみました。

日本はかつて先進国の中でもかなり高い水準でしたが、バブル崩壊後に低金利が続いたことで、金利による収入も国際的に見れば非常に少ない状態が続いてきたことになります。

図6 家計 金融資産 現金・預金 1人あたり
OECD.Stat より

そもそも、日本の家計は資産残高で見ると極めて多い現金・預金があります。

現金を多く持っている面もあると思いますが、その多くは預金でしょう。

これだけ多額の預金があるのに、利子収入はごくわずかです。

いかに日本の金利が低いのかということも見えてきますね。

今後は日本でも金利が上がっていくと予想されているようです。

日本の家計の財産所得についても、今後は変化していくかもしれませんね。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

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