住宅価格の高騰が続く中で、「20代の持ち家率が過去最高」というデータが注目されている。しかし、この数字だけを取り出して若年層の持ち家志向が強まっていると受け取るのはミスリードだとの見方が強い。
また間違いではないけど正確性を欠く記事。20代の持ち家率が過去最高なのはその通りだが、大体20代の二人以上世帯そのものが激減している。対2000年比なら▲74%。つまり持ち家率があがっているのは今結婚できている20代夫婦が経済上位層に偏っているだけの話。持ち家率はあがっていても持ち家世帯数は… https://t.co/GmXzNEEiwG
— 荒川和久/独身研究家/コラムニスト (@wildriverpeace) April 6, 2026
【参照リンク】住宅高騰下、20代の持ち家率が最高 にじむ早期取得の焦り 日本経済新聞
むしろ浮かび上がるのは、「家を買える20代」ではなく、「結婚して家庭を築けるだけの経済力を持つ20代」だけが購入できているという現実である。
- 総務省家計調査で、世帯主29歳以下の2人以上世帯の持ち家率が2025年に過去最高を更新したこと自体は事実である。だが、この数字はあくまで「2人以上世帯」に限ったものであり、20代全体の実態をそのまま示すものではない。
- まず、「20代で2人以上世帯を形成できている時点で、ある程度の所得や雇用の安定がある層に限られるのではないか」という指摘が目立った。そもそも分母がかなり限られており、一般的な20代像とはずれているという見方である。
- 特に重要なのは、20代の2人以上世帯そのものが2000年比で大きく減っている点である。つまり、持ち家率が上がったとしても、それは20代全体に広く持ち家が浸透したことを意味しない。結婚し家庭を持てる20代が激減する中で、その残った層が相対的に高所得者へ偏っている可能性が高い。
- このため、「持ち家率が上がった」のではなく、「持ち家を買えるようなパワーカップルしか結婚できなくなっただけではないか」という受け止め方が広がった。数字の見た目ほど明るい話ではなく、若年層の格差拡大を示しているとの解釈である。
- さらに、持ち家率の上昇とは別に、持ち家世帯の絶対数そのものは減っているのではないか、という点も大きな論点になっている。率だけを見れば上昇でも、母数が縮小していれば実数は減る。ここを示さずに「若者が家を買い始めた」と書くのは正確性を欠くという批判がある。
- 単身世帯の持ち家率が低下していることも、この見方を補強している。結婚していない若者、あるいは単身で暮らす若者の住宅取得はむしろ難しくなっており、20代全体で見れば「持ち家志向の高まり」と単純化できる状況ではない。
- 各社報道では、20代の賃金上昇率や女性の正規雇用増加、ペアローンの普及などを背景として挙げる例が多いが、SNS上では「その恩恵を受けられる層はかなり限られている」との反論が出ている。住宅取得のしやすさが広がったというより、取得できる層とできない層の分断が進んだと見るべきだ、という声である。
- そのため、今回の数字を「若者の堅実化」や「合理的な資産形成」とだけ評価するのは危うい。実際には、住宅価格の高騰や将来不安の中で、結婚も住宅購入もできる層がますます選別されている現実を映している可能性が高い。
要するに、「20代の持ち家率が過去最高」という見出しは間違いではないが、そのままでは正確性を欠く。実態として起きているのは、若者全体の持ち家化ではなく、2人以上世帯になれる20代そのものが減少し、その中で比較的裕福な層に持ち家取得が集中しているという構図である。これは明るい住宅トレンドというより、結婚・出産・住宅取得のすべてが一部の経済上位層に偏りつつあることを示すデータとして読むべきだ。

mapo/iStock







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