石油不足の火事にガソリンをかけて消火しようとする高市政権

池田 信夫

この投稿をほめる人が多いので驚いた。

まず石油不足の緊急事態に、石油の消費を奨励する補助金を出す国があるのか。チャッピーに聞いてみた。

Q. 石油製品の「消費補助金」を出している国はあるか?

● EU・欧州

節約要請(在宅勤務・運転控え) (Business Insider)
燃料補助は農業・運輸など限定対象のみ (ザ・ガーディアン)

● 新興国
  • マレーシア:燃料価格を政府が固定・補助
  • インドネシア:価格据え置き
  • フィリピン・ベトナム・パキスタン: 消費削減 (Business Insider)

日本のように供給制約下で広範な消費補助をやっている国は先進国にはない。日本は国家備蓄があるが、節約しないと今年中に枯渇してしまう。

もともと高市首相のいうように日本のガソリン価格は産油国についで低い。今の環境での大規模補助は、火事にガソリンをかけて消火している状態。

Q. イラン戦争以降、高市政権は石油補助金をいくら出したか?

イラン戦争(2026年2月末〜)以降に限れば、すでに約1兆円規模が動いている。

■ 合計 約1兆800億円:月5000億円規模で消えていく

  • 1兆円の予備費は2カ月で消える

Q. このペースで補助金を投入すると、財政はどうなるか?

■ 国債費が急増し、長期金利が上がる

長期金利は2.5%(10年物国債)。これは日本にとってはかなり高い水準だ。この状態で国債発行を増やすと

  • 新規国債の利払いが急増
  • 既発債の借り換えでも利払いが増える
  • 財政の自由度がなくなる
■ 円安がさらに進む

通常、金利上昇は通貨高要因だが、日本の場合は少し違う。

  • 財政悪化 → 国債価格の暴落→円安
  • エネルギー輸入増 → 経常収支悪化
  • 金利上昇 → 景気悪化
■ スタグフレーション

円安160円台では

  • 原油・LNG・穀物価格が円ベースで急騰
  • ガソリン補助をやめれば一挙に価格上昇
  • 補助金を続けるのも地獄、やめるのも地獄
■ 補助金が補助金を呼ぶ
  • 補助金 → 財政赤字拡大
  • 財政悪化 → 円安
  • 円安 → 原油価格上昇
  • 原油高 → 補助金さらに必要

👉 補助金が補助金を呼ぶ自己増殖ループ

ここに来て長期金利が上がり、円が下がっているのは、このように高市首相が円安・インフレにつながる「積極財政」を軌道修正する気がないことをマーケットが見越していると思われる。政権の方向が変わらない限り、為替介入は無意味である。

 

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