年をとると、入れ歯が必要になります。歯のケアがよくないと、総入れ歯という情けない状態になります。「総入れ歯になってからでは遅い」と思われていますが、そうでもありません。総入れ歯の人にインプラントを使う治療はよくあります。方法は大きく3つあります。

1. インプラントで入れ歯を固定する
現実的に多いのはこれです。
顎に2本〜4本程度のインプラントを入れて、そこに入れ歯をパチッとはめる方式です。一般にインプラントオーバーデンチャーと呼ばれます。
特に下の総入れ歯は動きやすいので、下顎に2本のインプラントを入れて入れ歯を固定する方法は、有力な選択肢とされています。下顎の総入れ歯では、2本インプラントによるオーバーデンチャーを第一選択肢に近い治療とする考え方もあります。(PubMed)
メリットは、通常の総入れ歯より外れにくく、噛みやすくなることです。
デメリットは、入れ歯そのものは残るので、完全な固定式の歯ではないことです。
2. 4本〜6本程度で固定式の歯にする
いわゆるオールオン4やオールオン6に近い方法です。
片顎に4本〜6本程度のインプラントを入れ、その上に連結した人工歯を固定します。
これは「取り外し式の入れ歯」ではなく、基本的には歯科医院で管理する固定式の歯になります。見た目や噛み心地はかなり自然に近づきます。
ただし、費用は高くなります。片顎だけでも200万〜400万円以上になることがあり、上下ならさらに大きな金額になります。骨造成が必要なら追加費用もかかります。
3. 全部の歯を1本ずつインプラントにする
理屈の上では可能ですが、総入れ歯の人にとってはあまり現実的ではありません。
本数が多くなりすぎ、費用も手術負担も大きくなります。多くの場合は、少ない本数のインプラントで全体を支える設計にします。
できない・難しいケース
総入れ歯からインプラントにできるかは、主に次で決まります。
・顎の骨がどれだけ残っているか
・糖尿病や骨粗しょう症などの持病
・喫煙の有無
・歯周病や口腔内の清掃状態
・服薬状況、特に骨粗しょう症薬や抗凝固薬
・手術に耐えられる全身状態
・定期メンテナンスに通えるか
インプラントは外科手術なので、感染、神経損傷、副鼻腔トラブル、骨との結合不良などのリスクがあります。FDAやMayo Clinicも、インプラントには周囲組織の損傷、神経損傷、感染、インプラントの失敗などのリスクがあると説明しています。(U.S. Food and Drug Administration)
費用感
かなり幅がありますが、インプラントには保険がきかないので、入れ歯より一桁以上は高いと思ってください。目安は次のようになります。
| 方法 | 目安 |
|---|---|
| 通常の総入れ歯 | 保険なら比較的安い/自費なら数十万円 |
| インプラント2本+入れ歯固定 | 80万〜150万円前後 |
| インプラント4本+入れ歯固定 | 150万〜250万円前後 |
| オールオン4・固定式 | 片顎200万〜400万円以上 |
| 上下固定式 | 400万〜800万円以上もあり得る |
一番現実的なのは、下の総入れ歯が不安定なら、まず下顎に2本インプラントを入れて固定する方法を検討することです。全部を固定式にするより費用を抑えられ、総入れ歯の不満もかなり改善しやすいからです。
要するに、総入れ歯からでもインプラント化は可能です。ただし、いきなり「全部インプラント」にするより、少数インプラントで入れ歯を安定させる方法が現実的な落としどころになりやすいです。







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