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この記事では、企業の財産所得のうち支払利子についての国際比較をご紹介します。
1. 日本企業の支払利子
日本の企業は、バブル崩壊後、稼ぎである付加価値が停滞してきましたが、純利益は拡大が続きました。
近年では過去最高を更新し続けています。
企業経営においては、損益計算書において売上高 → 売上総利益 → 営業利益 → 経常利益 → 当期純利益と企業業績が記録されます。
各国共通の経済活動のフレームワークとなる国民経済計算(SNA:System of National Accounts)でも、同様に産出額 → 付加価値(国内総生産)→ 第1次所得バランス → 可処分所得→ 貯蓄という形で経済活動が記録されます。

このうち、第1次所得バランスは経常利益に相当する指標で、その前に足し引き去れる財産所得とは、営業外収益・営業外費用に相当します(ただし、企業会計では支払う配当金は当期純利益の分配となり、SNAの扱いとは大きく異なります)。
日本企業の財産所得は次のように変化してきました。

図1 財産所得 日本 非金融法人企業
国民経済計算より
日本企業の財産所得を見てみると、企業活動が大きく変化している事が読み取れます。
まず、バブル崩壊までは利子(支払)が大きく拡大し、財産所得の正味も大きくマイナスでした。
金利が高かった事もあり、企業の支払負担が大きく拡大していた事になります。
バブル崩壊後は縮小していきますが、その代わりに増えてきたのが法人企業の分配所得です。
法人企業の分配所得は、主に配当金となります。
この中には、証券投資だけでなく対外直接投資からの配当金も含まれます。
また、直接投資による収益のうち現地企業に留保される海外直接投資に関する再投資収益も拡大しています。
日本企業の財産所得が、利子主体から配当金主体へと変化している事になりますね。
2. 1人あたりの推移
ここからは、企業の支払利子の国際比較を見ていきましょう。
まずは、人口1人あたりのドル換算値からです。

図2 財産所得 利子 支払 非金融法人企業 1人あたり
OECD Data Explorerより
図2は企業の支払利子について、人口1人あたりのドル換算値の推移です。
日本はバブル期に大きく拡大し、他国と比べても非常に大きな水準に達していた事が確認できます。当時のフランスの2倍程度です。
その後は急激に減少し、近年では主要先進国の中でも最も低く、フランスの10分の1未満となっています。
日本ではかつてよりも借入が減り、低金利が続き、企業の支払利子負担がかなり少ない状況と言えそうですね。
3. 1人あたりの国際比較
もう少し広い範囲で、最新の数値を国際比較してみましょう。

図3 財産所得 利子 支払 非金融法人企業 1人あたり 2023年
OECD Data Explorerより
OECD34か国で国際比較してみると、日本は1人あたり177ドルで、非常に少ない水準となっています。
上位はルクセンブルク、アイルランド、ノルウェーなどお馴染みの国が並びますが、それらに続いてフランス、カナダが上位に入っています。
日本企業における支払利子負担の金額的な水準は、先進国の中でも極めて低い状況と言えそうです。
4. 対GDP比の推移
続いて、もう1つの比較方法となる対GDP比でも見ていきましょう。

図4 財産所得 利子 支払 非金融法人企業 対GDP比
OECD Data Explorerより
図4が企業の支払利子 対GDP比の推移です。
日本は対GDP比で見てもバブル崩壊前後で非常に高い水準に達していますが、その後大きく急低下していて、2000年頃には他の主要先進国を大きく下回るようになっています。
他の主要先進国では2023年以降大きく上昇していますが、日本は緩やかな上昇にとどまっているのも印象的ですね。
5. 対GDP比の国際比較
最後に対GDP比の国際比較をしてみましょう。

図5 財産所得 利子 支払 非金融法人企業 対GDP比 2023年
OECD Data Explorerより
図5が企業の支払利子 対GDP比の国際比較です。
日本は0.5%でOECD34か国中33番目と、先進国の中でも非常に低い水準である事が確認できます。
フランスが5.5%と日本の10倍以上で、韓国やカナダも高い水準ですね。
ドイツやイタリアでも2倍以上となっています。
6. 企業の支払利子の特徴
この記事では、企業の財産所得のうち支払利子についての国際比較をご紹介しました。
日本は特にバブル期で非常に高い水準に達していましたが、バブル崩壊により急激に縮小し、近年では先進国の中でも極端に低い水準となっています。
企業の純利益が多い要因の1つとして、低金利による利子負担の少なさがありますが、今後金利が上昇するとこれまでのように利益を確保できなくなっていくかもしれませんね。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年5月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。







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