国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(AI)が18日公表したところによると、2025年に17カ国で少なくとも2,707件の死刑が執行された。これは過去44年間で最多の件数。2024年の死刑執行件数は少なくとも1,518件だったから、前年度比で約80%の増加となる。1981年以来の最高値を更新した。

死刑執行の廃止を要求するアムネスティ・インターナショナル
AIは、実際の件数はこれよりもはるかに多いと推定している。中国では年間数千件と推定されているが、こうしたデータは国家機密とされているため、国内で実際に執行された死刑執行件数は不明だ。明確な点は、中国が依然として世界で最も死刑執行件数が多いことだ。同様に、ベトナムと北朝鮮における死刑執行件数に関する信頼できるデータも存在しない。AIは報告書の中で、2025年には両国で刑罰および国民への威嚇を目的として死刑執行が行われたと推定している。
AIによると、公表されている数字は、公式データ、推定値、死刑判決を受けた者、その親族、弁護士からの情報、メディア報道、そして場合によっては他の人権団体からの情報など、様々な情報源に基づいている。
報告書によると、少数の国々が国民を威嚇し、恐怖の雰囲気を醸成するために意図的に死刑制度を利用している。AIは「一部の国々が権力誇示と支配力の維持、そして治安の不備を隠蔽するために死刑制度を利用している」と指摘している。
昨年、世界中で記録された死刑執行件数は、特にイランでの増加により、劇的に増えた。イランでは昨年、少なくとも2,159人が処刑された。2024年には少なくとも972件の死刑執行が記録された。
イラン当局は死刑を国民に恐怖を広める武器として、また体制に異議を唱える者を罰するために使い続けている。イランでは今年1月に起きた大規模な抗議デモの後、抗議デモ参加者の数人が既に処刑されている。イランはエジプトやシンガポールなどと同様に、絞首刑による死刑執行だ。
また、AIによると、米国は47件の死刑執行を記録しており、2009年以降で最多の件数だ。トランプ米大統領は死刑制度を支持している。死刑は50州のうち20州以上で合法である。しかし、いくつかの州では、実際には死刑は執行されていない。
ところで、記録に残る死刑執行件数の2,707件のうち、薬物犯罪による死刑執行の件数はほぼ半数(1,257件)で、中国、クウェート、サウジアラビア、シンガポール、イランで行われている。AIによると、アルジェリア、クウェート、モルディブの政府は昨年、薬物犯罪への死刑適用拡大を目的とした法案を提出したという。
なお、イスラエル国会で今年に入って、テロ関与者に対する死刑適用を大幅に拡大する2つの新法が可決された。パレスチナ自治区のイスラエル軍事法廷では、こうした事件において死刑が義務付けられる。この法律は現在もイスラエル最高裁判所で審議中。批判者たちは、この法律が事実上パレスチナ人だけに影響を与えるため、人種差別的だと非難している。
ちなみに、1977年には死刑廃止国はわずか13カ国だったが、現在は113カ国に増加した。ベラルーシでは、1994年のルカシェンコ大統領就任以来初めて、2025年に新たな死刑判決が下されず、執行もされなかった。さらに、死刑執行国の総数は増加しておらず、2018年以降は年間20カ国以下。ヨーロッパと中央アジアでは、2025年に死刑判決も死刑執行も行われていない。2025年、南北アメリカ大陸で死刑を執行したのは米国のみ。米国における死刑執行の半数はフロリダ州で行われた。
参考までに、死刑制度の復活に向けた取り組みを進めている国もある。チャドとペルーは、死刑制度復活の可能性を検討する委員会を設置した。ブルキナファソは、反逆罪、テロ行為、スパイ行為などの犯罪に対する死刑制度を復活させる法案を可決した。ウガンダでは、2023年に同性愛行為に対する死刑を規定する法律が成立した。
「異邦人」の作家アルベール・カミュ(1913年~1960年)は「死刑は、単なる刑罰ではない。それは、あらかじめ計算され、組織された、犯罪に対する国家によるもう一つの犯罪である」と述べている。死刑執行の是非について依然、議論が絶えない。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年5月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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