もらっても嬉しくない中央区の5,000円買い物券

内藤 忍

私が住んでいる東京都中央区が世帯全員に5000円分の共通買い物食事券を配布しています。

今週宅配ボックスに旅行会社から無地の封筒が届き思い当たる節が無いので不審に思って開けてみると、共通買物・食事500円券の10枚綴りと取り扱い店舗一覧表が入っていました。

物価上昇が続く中で区民の生活支援の一環としての自治体の政策のようですが、そのやり方に違和感を感じてしまいなんだかあまり嬉しくありません。

最大の疑問はいまだに「紙のチケット」にこだわっている点です。

持ち運びが面倒で、紛失してしまうリスクもある紙のチケットはとても不便です。また500円単位で10枚綴り。お釣りが出ないルールなので利用者もお店側もやりとりが面倒です。

しかも、この紙のチケットを全世帯に届けるために書類一式を入れるための大型の封筒を用意し、全員分の郵送費をかけて発送しています。

膨大な郵送作業の手間と配送コストが費やされているはずです。

チケットだけではなく、30ページ以上の利用できるお店の一覧表も同封されています。

5000円のチケットを区民に届けるために、1000円以上のコストがかかっているのではないでしょうか。手数料率20%は高すぎです。

その原資がすべて区民の税金であることを考えると、非効率なバラマキ手法で税金を使わないで欲しいと思ってしまいます。

また誤送などがあるとメディアに叩かれますから、間違えは許されません。あて名や住所に間違えが無いように確認を繰り返し、すべての区民に間違いなく紙のチケットを郵送で届けるための区役所の人たちの業務量は限られた時間の中でとてつもなかったと思います。

このようなアナログな手法ではなく、スマホなどでデジタルのやりとりをできるようにすべきだと意見を述べると、高齢者のような弱者に対する配慮が足りないと批判する人がいます。

しかし、マイナンバーカードやスマートフォンがこれだけ普及した世の中で、全体を最も非効率な層の基準に合わせ続けるのは健全な姿と言えるでしょうか?

むしろ今回のような事業を紙からデジタルへとシフトさせる機会として積極的に活用すれば良いのではないでしょうか。

例えば、アプリやデジタル地域通貨として支給する。対応できない高齢者などにはスマートフォンの使い方を区民センターなどで徹底してサポートするといったアプローチです。

そうすれば一時のバラマキで終わらず、区全体のデジタルインフラを一気に底上げする投資とすることができたはずです。しかもその方が圧倒的にコストを下げることができそうです。

手元にある買い物券は期限切れになったり、なくしたりしないように早めに使ってしまおうと思いますが、なぜか私がよく利用するスーパーマーケットが取扱店に入っていませんでした。

やっぱり、もらってもなんだか嬉しくない中央区の買い物券5,000円です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年5月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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