税金はどこまで必要なのか? 日本の国家運営費と国民負担を数字で考える

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介入してもすぐに戻る円安だけでなく、ここ数日は長期金利が急上昇し、日本財政への警戒の声が高まっています。

また、多くの国民が、物価高によって生活が苦しくなり、減税やインフレへの対処を望んでいます。

この状況に適切に対処するには、「大規模な歳出削減」しかありません。

しかし、歳出削減や減税を求めると、自身の利益を守りたい政治関係者などの既得権益側からは、次のような脅しのような発言をよく聞きます。

「税金がなければ、火事でも消火できず放置されるし、道路にも穴が開くぞ!消防や道路整備が無くなったら困るなら、文句を言わずにいくらでも税金を払え」
と。

SNSでも、「税金のない世界を悲惨なものとして描くイラスト」が話題になることがあります。

「税金のない世界」を悲惨なものとして描くイラスト

このイラストも同様に、次のように訴えています。

「火事、強盗、ひったくり、道路の穴や交通の混乱などは、すべて税金のおかげで対処できている。これらが放置される悲惨な世界になったら困るなら、税金に文句を言うな」

増税論者、税金称賛者や既得権益者たちは、決して、「特定団体への補助金バラマキが無くなると困るから、税金に文句を言うな」とは言いません。

つまり、彼らも、「多くの国民が必要だと思っている税金は、消防機能や治安維持、道路整備に使われる税金だ」と理解しているのです。

今回は、多くの国民が「これは必要な行政機能だ」と思うような行政サービスについて、それを維持するのに具体的にどの程度の税金が必要なのか考えてみたいと思います。

それがわかれば、「多くの国民が望んでいる必要な歳出」と「そうではない歳出(一部の人、つまり既得権益者の利益にしかなっていない無駄な歳出)」がわかります。

1. 国家・行政の最低限の機能とは?

まず、「国家・行政の最低限の機能」から考えてみましょう。

最小限の国家機能だと考えられるのが、「国防、警察、裁判」です。

この立場を主張する「最小国家主義(ミナキズム)」は、政府は個人の命や財産を守るために、「国防、警察、裁判」のみを行うべきで、他のことは民間で行うべきと考えます。

もう少し政府機能を認めるのが「古典的自由主義」の立場です。それには、上記に加え、「消防や最低限の道路インフラ管理、生活保護」を認める立場です。今回は、さらに広めに見て、ごみ処理・し尿処理、河川管理・治水・砂防・下水道・防災インフラまでを含めて考えます。

つまり、民間では代替できない(または代替が難しい)ので、政府が担うべき政府機能は、

① 最小国家の立場:国防、警察、裁判
② 古典的自由主義の立場:消防や最低限の道路インフラ管理、生活保護(+ごみ処理・し尿処理、河川管理・治水・砂防・下水道・防災インフラ)

となります。

実はこれだけで、さきほど挙げた増税論者が税金を擁護するために脅しに使う例(火事、強盗、ひったくり、橋の整備不備による川の氾濫、道路の穴や交通の混乱、ごみの放置など)をほぼカバーしています。

2.多くの国民が望んでいる必要な予算は具体的にいくらか?「国防、警察、裁判」(最小国家)の場合

それでは、具体的に必要な金額を、「現在の予算」を基準にして見てみましょう。(以下、数字は財務省・厚労省・防衛省・裁判所など公式の発表を使用しています)。

「国防、警察、裁判」に必要な予算は、各々だいたい次のようになります。

・防衛関係予算は、令和8年度で9兆353億円(約9.0兆円)
・警察は、地方財政白書ベースで警察費決算額が3兆3,211億円、警察庁の令和8年度一般会計予算が3,115億円(合わせて約3.6兆円)
・裁判所予算は、令和8年度で3,495億円(約0.35兆円)、法務省予算は8,647億9,100万円(約0.86兆円)

これらの合計は、約13.9兆円となります。

最小国家の実際の運営には、「外交予算、税務・徴税予算」も必要になるでしょうから、それらも追加します。また、日本は島国なので、海上保安庁の機能も重要です。

・海上保安庁の予算は、令和8年度で2,971億円(約0.3兆円)
・外務省は、令和8年度で8,170億円(約0.82兆円)
・国税庁は、約6,300億円台(約0.63兆円)

これらの追加項目は、合計約1.7兆円です。先ほどの約13.9兆円に追加すると、「最小国家の実務的な運営には、約15.6兆円必要」といえます。

予算の総額だけではイメージしにくいかもしれません。

そこで、「国民1人あたりではいくらの負担になるか」を計算してみましょう。

また、主な担税力を持つ大人1人あたりで見た場合の参考値として、20歳以上の人口でも考えてみます。

・日本の総人口:1億2,286万人(総務省統計局の2026年4月1日現在の概算値)

・20歳以上の人口:約1億411万人(総務省統計局・e-Statの「年齢5歳階級」データから、総人口から15歳未満人口と15~19歳人口を差し引いて概算)

先ほど計算した「約15.6兆円(最小国家の実務的な運営に必要な金額)」を、この人口で割ると、

・国民1人あたりの年間の負担:約12.7万円
・20歳以上の1人あたりの年間の負担:約15.0万円

となります。

実務的な最小国家の運営に必要な金額

実務上、海上保安・外交・徴税まで含めても、最小国家の維持費は国民1人あたり年間約12万7000円です。20歳以上の大人1人あたりでは約15万円となります。

月間で見ると、国民1人あたり約1万600円です。20歳以上の大人1人あたりでは月間約1万2500円です。

3. 多くの国民が望んでいる必要な予算は具体的にいくらか? 「上記+消防・最低限の道路インフラ管理、生活保護」(古典的自由主義)の場合

次に、上記の「国防、警察、裁判」の機能に加え、「消防や最低限の道路インフラ管理、生活保護」を含めた、古典的自由主義の立場では、いくらの税金が必要になるか考えてみましょう。

・消防費は、令和4年度決算で1兆9,873億円(約2.0兆円)
・道路は、国直轄の維持修繕だけで令和5年度4,275億円。地方の道路維持も含め、道路維持全体としては、約2.6兆円前後と仮定。
・生活保護は、令和8年度の生活保護に係る国庫負担、保護費負担金が2兆8,027億円で、国庫負担は原則4分の3なので、総額では約3.7兆円規模と推計。

上記の約15.6兆円(最小国家の実務的な運営)に、消防(約2.0兆円)、道路維持(約2.6兆円)、生活保護(約3.7兆円)を追加すると、「古典的自由主義的な国家運営には、約23.9兆円必要」といえます。

これを人口で割ると、

・国民1人あたりの年間の負担:約19.4万円
・20歳以上の1人あたりの年間の負担:約22.9万円

実務的な古典的自由主義の立場の国家運営に必要な金額

さらに、ここに「ごみ処理」と、「河川管理・治水・砂防・下水道・防災インフラ」を追加してみます。

・ごみ処理事業費は、環境省の令和6年度調査で、約2兆4,489億円。し尿処理事業まで含めた一般廃棄物処理事業全体では、約2兆6,790億円。
・河川管理・治水・砂防・下水道・防災インフラの費用は、令和8年度の配分事業費は1兆1,615億円。この中には、流域治水、河川整備、ダム、土砂災害対策、海岸保全、雨水排水施設、上下水道システムの強靱化、河川・ダム管理施設の維持管理、砂防堰堤の改築、防災・減災の高度化などが含まれます。

これらを上記の約23.9兆円に加えると、合計約27.74兆円です。

これを人口で割ると、

・国民1人あたりの年間の負担:約22.6万円
・20歳以上の1人あたりの年間の負担:約26.6万円

さらに厚めに見ると、国土交通省の公共事業関係費全体、令和8年度6兆1,078億円を参考にし、すでに記事内で道路維持として入れている約2.6兆円を差し引いた上で、防災・インフラ分として約3.5兆円を追加してみます。

国土交通省は、この公共事業関係費を活用して、防災・減災、国土強靱化、下水道管路更新、インフラ老朽化対策などを進めると説明しています。

ただし、この厚めケースは、公共事業関係費を参考にしたかなり粗い上振れ推計であり、厳密に「最低限必要な防災インフラ費」だけを切り出したものではありません。

この場合は、約23.9兆円に、ごみ処理とし尿処理費と、厚めに見積もった防災・インフラ費を加算して、合計約30.08兆円となります。

これを人口で割ると、

・国民1人あたりの年間の負担:約24.5万円
・20歳以上の1人あたりの年間の負担:約28.9万円

月間で見ると、国民1人あたり約2万400円です。20歳以上の大人1人あたりでは月間約2万4000円です。

以上をまとめると、「国防、警察、裁判、消防、道路維持、生活保護」など、多くの国民が必要な政府機能として納税に納得しそうな国家機能に加え、「ごみ処理・し尿処理、河川管理・治水・砂防・下水道・防災インフラ」まで含めても、古典的自由主義国家の運営費は、標準ケースで約27.7兆円、余裕を持って厚めに見ても約30.1兆円程度です。

厚めに見た場合でも、国民1人あたりでは年間約24万5000円です。20歳以上の大人1人あたりでみると、約28万9000円です。

月間で見ると、国民1人あたり約2万400円で、20歳以上の大人1人あたり月間約2万4000円です。

これは、「国家・行政サービス」を、「日本で安全に暮らすために必要なサブスク」だと考えれば、かなり納得できる金額だといえるのではないでしょうか?

※ ちなみに、人気の動画配信サブスクのU-NEXTは、月額2189円です。もちろん国家サービスと動画配信サービスは性質がまったく異なりますが、金額感を直感的に見るための比較として挙げます。

国家・行政サービス:2万400円(月額)
U-NEXT:2189円(月額)

4. 現在の日本は、どの程度の税負担か?

それでは次に、現在の日本の実際の予算規模を見てみましょう。

これはかなり複雑になります。

2026年度の国の一般会計予算は、一般歳出70兆1,557億円、地方交付税交付金等20兆8,778億円、国債費31兆2,758億円を合わせて、一般会計総額122兆3,092億円です。
次に、地方自治体の歳出ですが、令和8年度の地方財政計画の歳出規模は約102兆4,400億円です。 ただし国から地方への移転があるため、国と地方を単純に足すと二重計上になります。かなり粗い参考値ですが、地方交付税交付金等(20.9兆円)を引きます。
しかし、これは一般会計で「特別会計」は含みません。
一般会計と特別会計を合わせた純計では、歳出合計は約404.6兆円と巨額ですが、国債の借換や会計間取引が大きいので、総額441.7兆円をそのまま国民の負担と呼ぶことは適切ではないでしょう。国債整理基金特別会計における借換償還額を控除すると約268.8兆円になります。

非常に複雑でややこしいですね。

「国民が実際に負担している額」としては、「税金+社会保険料」を見るのが最も自然だと言えるので、今回は概算としてこれで考えてみます。

このベースでは、令和8年度の負担は約226.7兆円です。

これは、国民1人あたり年間約185万円、20歳以上1人あたり約218万円に相当します。月間では、国民1人あたり約15万4000円、20歳以上1人あたり約18万2000円です。

また、「赤字国債も将来負担である」と考えるなら、潜在的負担を見るべきで、その場合は約240.1兆円です。

これは、国民1人あたり年間約195万円、20歳以上1人あたり約231万円です。

月間では、国民1人あたり約16万2000円、20歳以上1人あたり約19万2000円です。

このように、非常に高額なことがわかります。どおりで働いても働いても、私たちの生活は苦しいはずです。

5. 国民負担率で比較すると?

さらに、国民負担率に近い形でも比較してみましょう。

国民負担率は、税金と社会保険料の負担を国民所得で割ったものです。

令和8年度の国民所得は約496.1兆円です。

厚めに見積もった古典的自由主義国家の運営費の約30.1兆円は、この国民所得比で約6.1%にすぎません。

一方、現在の日本の国民負担率は45.7%、財政赤字を含めた潜在的国民負担率は48.4%です。

つまり、国防、治安、司法、消防、道路維持、生活保護、ごみ処理・し尿処理、治水・防災インフラまで含めた基礎国家機能を維持するだけなら、現在の国民負担率の水準と比べて、はるかに低い負担で済む計算になります。

最小国家・古典的自由主義国家の数字は、厳密には公式の「国民負担率」ではなく、
仮にその国家運営費を国民所得で割った場合の国民負担率相当です。

6. まとめ:どこまで歳出削減や減税は可能?

国防、治安、司法に加え、消防、道路維持、生活保護、ごみ処理・し尿処理、治水・防災インフラまで含めても、現在予算を基準にした古典的自由主義国家の運営費は、厚めに見て約30.1兆円です。

これは国民1人あたり年間約24.5万円、20歳以上では1人あたり年間約28.9万円になります。国民負担率相当で考えると、これは約6.1%です。

一方、現在の日本の国民負担は、税金・社会保険料だけで約226.7兆円、財政赤字込みの潜在的国民負担では約240.1兆円です。国民負担率は45.7%、潜在的国民負担率は48.4%です。

つまり、国家の基礎機能そのものに必要な費用は、現在の国民負担のごく一部にすぎないのです。

差額を計算すると、「240.1兆(現在の福祉国家を支える潜在的国民負担)」ー「30.1兆(古典的自由主義的国家を支える費用)」=約210兆円です。この巨額は、少なくとも国家の基礎機能そのものに必要な費用ではありません。

つまり、現在の日本人が負担している金額の大部分は、少なくとも国防・治安・司法や、消防、道路維持、生活保護といった基礎機能そのものに必要な費用ではなく、むしろ、年金、医療、介護、各種補助金、地方交付、利払い、行政サービスの拡張などを支えるための負担だと見るべきです。

なお、古典的自由主義国家の運営費を試算する際には、公債費は含めていません。公債費は、今後の行政機能そのものではなく、過去の政府支出の後始末だからです。

ただし、現実の日本では、過去債務の利払い・償還も税負担や将来負担に影響しています。そのため、現在の国民負担を示す際には、税金・社会保険料に加え、財政赤字を含めた潜在的国民負担も参考値として示しました。

結論として、削減すべき歳出は、文字通り「山ほど」あります。

もちろん、そのすべてが直ちに廃止できるという意味ではありません。しかし、少なくとも「国防・治安・司法・消防・道路維持・生活保護」といった基礎機能そのものに必要な費用ではありません。

ここには、歳出削減と民間代替の大きな余地があります。

基礎機能以外の分野で、歳出削減、民間代替を進めることができれば、国民負担を大幅に下げ、財政への信認を回復する余地があります。

そして、今の福祉国家・大きな政府が、どれだけ大きな予算規模であり、どれだけ大きな負担を国民に強いているかわかると思います。現状に慣れている私たちは、これを「仕方ない負担」だと思い込んでいますが、実際にはほとんど「無駄」ばかりなのです。

ここでの「無駄」とは、「すべての人にとって無駄」という意味ではありません。多くの人にとって、必要不可欠ではない、民間機能でも十分代替可能だという意味です。

そして、強制的に奪われる税金が減れば、それこそ各々が必要と感じるものに寄付や支援で協力することもできます。

たとえば、生活保護以外で、医療サービスを必要とする人に支援する人もいるでしょう(今でも高額医療が必要な場合のクラウドファンディングがあります)。

また、別の人は、日本文化の保存のため、神社や寺院含めた文化財に寄付するかもしれません。

また、国家に強制的に行われなくても、たとえば、さまざまな民間による保険商品や教育サービスも登場するでしょう。

さらに重要なことは、もし税負担が大幅に下がり、税制も簡素化されれば、「税金が高く複雑なことによる納税者の負担」がほとんど無くなることです。

つまり、「税金が高いこと」だけでなく、税制が複雑であること自体が、国民の時間・人間関係・経営判断・労働意欲を奪うのです。

たとえば、経営者は、本来は消費者へのサービス向上を考えるべきですが、現状の重税で複雑な税制では、むしろ節税に励むようになります。税理士・会計処理・申告作業に多大なコストがかかるので、税金は「納める金額」だけでなく、納めるための事務負担も国民に課しているわけです。この経営コストは、当然、労働者への賃金アップの妨げになります。

労働者も、所得税、住民税、社会保険料が重くなると、収入が増えても手取りが思ったほど増えません。これはお金が取られるということだけでなく、働く意欲も削がれます。本人がもっと働いてスキルアップしたいと思っても、制度上「働かない方が得」と感じる場面が出てくるからです。
また、消費税の対応は小規模事業者が疲弊し、相続税では親族が揉める大きな原因となります。

そして国民は、「制度攻略」に時間を使うようになります。「どの補助金がもらえるか、どの所得制限に引っかかるか、どのタイミングで退職・贈与・投資すべきか」を考えることが、個人にとって合理的な生き方となります。生産・創造・サービス改善ではなく、制度の抜け道探しに知的資源が使われるのです。

このような「見えない納税コスト」という「心理的な負担」は、実は社会にとっては相当なコストになります。

「節税方法」「税金対策」なんて、何も生産性のないものなのです。

7. 現実にはどうなるか(推測)

上記の約30.1兆円は、「現在の日本の予算から、古典的自由主義国家に残す機能だけを拾い上げた場合の概算」です。

実際には、特に制度移行時には、これより膨らむ可能性が高いと考えられます。

ただし、長期的に制度を簡素化し、民営化・地方化・自己負担化を進めた定常状態では、これより下がる項目もあると思います。

① 30.1兆円より増える?

思いつくだけでも以下の3点があります。

第一に、国防費は狭義の防衛省予算だけでは済まない可能性があります。令和8年度の防衛関係予算は約9.0兆円ですが、政府の安全保障関連経費には、防衛力整備計画対象経費だけでなく、研究開発、公共インフラ、サイバー安全保障、国際協力、海上保安庁、PKO、SACO・米軍再編関連経費なども含めて議論されています。

参議院の資料でも、安全保障関連経費は「狭義の防衛関係費」と「広義の防衛関係費」に分けられ、2027年度の安全保障関連経費は11兆円程度と整理されています。

第二に、生活保護3.7兆円は、現在の年金・医療・介護制度が存在する前提の数字です。もし公的年金・公的医療保険・介護保険を急に縮小すれば、生活困窮者、とくに高齢者が生活保護側に流入する可能性があります。令和8年度予算では生活保護の保護費負担金として国庫負担2兆8,027億円が計上されていますが、これは現行制度下の数字です。

第三に、共通管理費が抜けています。たとえば会計、監査、人事、庁舎、情報システム、統計、法令整備、地方自治体との調整などです。現在の省庁別予算から機能別に拾うと、こうした「間接部門」は漏れやすいです。

ただし、福祉国家的機能を大幅に縮小すれば、その間接部門も同時に小さくなるので、丸ごと上乗せする必要があるわけでもありません。

② 30.1兆円より下がる?

下がる可能性も十分あると思います。

たとえば、規制行政・補助金行政・給付行政が大幅に縮小すれば、それに付随する審査、監督、申請、交付、監査、統計、システム、人件費も減ります。

たとえば、多くの規制を自由化すれば、それに関わる警察・裁判などの負担も下がる可能性があります。

また重要なことは、莫大で複雑な税金が無くなることで、人々の心理的なコストが下がり、より生産・創造・サービス改善に集中できる可能性が高まります。そうすれば、さまざまなイノベーションも起こりやすくなり、技術の進歩によって国家行政機能維持に必要なコストを下げやすくなります。

AIやロボットをうまく活用できれば、人件費も大幅に下げることができるかもしれません。

古典的自由主義的な国家を実現できたとして、その維持に必要な経費が、30.1兆円より上がるか下がるかはわかりません。

しかし仮に、実務上の上振れを見込んで35兆円程度と置いたとしても、現在の税金・社会保険料負担である約227兆円(財政赤字込みで240兆円)とは、規模がまったく違います。

重要なのは、国家の基本機能そのものは、現在の国民負担の「ごく一部」にすぎない、という点です。

この記事が「必要な国家機能は?」「必要な予算や税金はいくら程度か?」と考えるきっかけになれば嬉しいです。

※最後にお願いです。
この記事で使用した数字は、公開情報を元に算出しています。しかし、私は政府行政内部の人間ではありませんので、実務をしている人から見たら、「実際の数字は違う」「この項目が抜けている」などがあると思います。現実の内部の情報をお持ちのかたは、個別でご連絡いただけると幸いです。


編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2026年5月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。

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