やる気を待っていたら、一生読めない

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(前回:暇になったら読む、なんて嘘だ

やる気が出たら読む。これほど愚かな考え方もない。いや、愚かというのは言い過ぎか。でも、本当にそう思う。

エミール・クレペリン(ドイツの精神科医だ、念のため)が「作業興奮」という概念を提唱している。行動することで脳が興奮し、やる気が後からついてくる、という話だ。つまり、やる気があるから始めるのではなく、始めるからやる気が出る。順番が逆なのだ。

これを聞いて「知ってる」と思った人。あなたは実践しているか? 知っているのに動かない。それが人間だ(私もそうだった、偉そうなことは言えない)。

腕立て伏せの話をする。毎日30回やると決める。3日で崩れる。「今日はだるい」「明日でいい」「週末まとめてやる」——こうして三日坊主が完成する。

解決策はシンプルだ。1回だけやる。床に手をついて、1回だけ。すると2回やる。気づいたら10回やっている。これが作業興奮の正体だ。

読書も同じだ。「1ページだけ」と決める。本を開く。1ページ読む。気づいたら章が終わっている。面倒なメールも、返信ボタンさえ押せば書ける。イヤな仕事も、席に座ってパソコンを開けば始まる。人間はそういうふうにできている。

ハードルを下げること。それだけが習慣化の唯一の方法だ。「15分だけ」と言い訳をしながら開く。これでいい。

数字の話をする。1日15分を365日続けると、年間約90時間になる。1冊3時間で読める人なら、年間30冊。10年で300冊だ。

一方、同じ15分をXのタイムラインに使ったら? (私はよくやる、反省している)つながった気にはなる。でも何も積み上がらない。いいねをもらっても、3日後には忘れる。本の一節は、10年後も残る。

文化庁の調査で、1か月に1冊も読まない日本人が47.3%という数字が出ている。ほぼ半数だ。裏を返せば、読むだけで上位半分に入れる。ハードルは低い。

この差は1年後に静かに出てくる。会話の厚み、判断の速さ、文章の重さ。「あの人、なんか違う」と思われる人間は、だいたい読んでいる。派手な努力じゃない。毎日の15分だ。

集中できないなら、場所を変えればいい。これだけで解決することが多い。

自宅は誘惑の巣窟だ。冷蔵庫、テレビ、スマホ、横になれるソファ——全部が読書の敵だ。喫茶店なら違う。職場の電話も、家の雑事も届かない。適度な雑音が、むしろ思考を整えてくれる(これは本当で、無音より少し騒がしいほうが集中できるという研究もある)。

私が喫茶店で守っているルールは2つだけだ。「入る前に読む本を決めておく」「スマホの電源を切る」。……もう1つあった。注文で迷わないこと(笑)。アイスミルク、なければアイスコーヒー。これで入店から着席まで30秒で終わる。迷う時間が惜しい。

やる気を待つな。本を1ページだけ開け。喫茶店の15分が、気づけば一生モノの習慣になっている。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

速効読書』(石川和男著)青春出版社

<書籍評価レポート>

■ 採点結果
【基礎点】  40点/50点(テーマ、論理構成、完成度、訴求力)
【技術点】  20点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】  22点/25点(独創性、説得性)
■ 最終スコア 【80点/100点】
■ 評価ランク ★★★☆ 水準以上の良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】
テーマの普遍性:読書術という普遍的テーマを「忙しいビジネスパーソン」に絞り込んだターゲティングは的確。多くの読書家が実践している方法論を丁寧に体系化しており、読者の共感を得やすい構成になっている。

説得性:著者自身の税理士試験受験中の体験、中間管理職時代のエピソードなど、具体的な一次体験が論旨を支えており、抽象論に終わらない説得力がある。

【課題・改善点】
独創性の限界:読書術の書き手であれば気づく点だが、スキマ時間の活用、場所を変える効果、作業興奮の応用といった方法論は、既存の読書術書籍と酷似している箇所が散見される。先行書籍との差別化という観点では、もう一歩踏み込んだ独自視点が欲しかった。

新規性の補強:読書家・読書術著者の間では「既知の内容」と受け取られる可能性がある。一般読者への訴求力は十分だが、読書術に関心の高い層には物足りなさが残るかもしれない。また、文化庁調査など数字の引用はあるものの、データの使い方がやや表面的。もう少し深掘りすることで、論の説得力がさらに増したはずだ。

■ 総評
読書術書籍として水準以上の完成度を持つ一冊だ。多くの読書家が実践している方法論——スキマ時間の活用、場所を変えることの効果、行動が先でやる気は後からつくという逆説——を、ビジネスパーソンという明確なターゲットに向けて丁寧に整理している点は評価できる。
ただし、読書術を複数冊手がけてきた書き手の目で見ると、方法論の多くは既存書籍と重なる部分があり、独創性という点ではやや物足りなさが残る。初めて読書術に触れる読者には強く推奨できるが、読書術書籍を読み慣れた層には「既知の整理」という印象を与える可能性もある。全体として構成の巧みさが内容の既視感を補っており、書籍としての仕上がりは水準を上回っている。

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コメント

  1. 岡本マヤ より:

    【プライベートライブラリ】

    図書館がいい。

    読書を推奨するなら大きな本屋と図書館へ行けば
    絶対にサラッとまず目を通すところまではできると思う。

    私は大人になってから図書館で調べ物をするために行くようになりました。

    着物の男性袴の前紐の結びについて調べていた時。

    家紋について調べていた時。

    仕事のための調べ物の用事はサッサと終わらせて目についた物を読んだり借りたりする。
    私はよく借りて延長したりする。

    銀器についての本などはもう書店では絶版になっていたのでものすごく貴重だった。
    買うと高い本でもあったし、こういう町に大きな図書館があれば探して行ってみると新たな発見がたくさんあって人生はより豊かになると思いました。