東京大学医学部といえば、日本の医学界の頂点である。その教授は研究者としてだけでなく、医療界全体に大きな影響力を持つ存在だ。ところが、その権威の裏側で行われていたとされるのは、高級クラブやソープランドでのセックス接待だった。
東大大学院医学系研究科の元教授・佐藤伸一被告をめぐる汚職事件について5月下旬、佐藤被告の部下と共同研究相手の理事長に判決が出た。一般社団法人「日本化粧品協会」側が、被告を高級クラブやソープランドなどで接待し、少なくとも総額約380万円を支払ったという。

会食から始まり、高級クラブからソープへ
最初は高級フランス料理店での会食だったという。ところが、それが銀座の高級クラブに広がり、やがて吉原の高級ソープランドにまでエスカレートした。報道によれば、接待は月2回のペースで行われ、1回数十万円、時には100万円を超えることもあったという。(FRIDAYデジタル)
これが民間企業の役員同士の私的な会食なら、品位の問題にとどまるかもしれないが、舞台は東京大学である。大学の研究者が、研究相手から性的サービスを含む接待を受けていたとすれば、研究の公正性や大学の信用は根本から揺らぐ。
さらに情けないのは、その中身のあまりの幼稚さである。報道では、佐藤被告が61歳の誕生日にソープランドに行ったことや、部下が帰省先から呼び戻されて吉原に直行したこと、会食の場で風俗店の感想を話していたことなどが紹介されている。日本最高峰の大学の医学部教授をめぐる事件としては、あまりにも恥ずかしい。
もちろん刑事事件である以上、佐藤被告本人については今後の裁判を待つ必要があるが、すでに関係者には有罪判決が出て、被告は控訴しない。少なくとも東大の社会連携講座や共同研究をめぐるガバナンスに重大な欠陥があったことは否定しがたい。
医学部の古い権力構造
この事件が示しているのは、大学教授という肩書に過剰な権威が集中する危うさだ。共同研究相手は、講座を閉じられることへの恐怖から、接待を断れなかったと説明している。部下もまた、医学部の上下関係の中で「先生の言うことは絶対的」だったと語っている。
ここには山崎豊子の小説『白い巨塔』の時代から変わらない、医学部の権威主義がある。教授が絶対的な権力を持ち、部下や共同研究先が逆らえない。その閉鎖的な人間関係の中で、研究費、ポスト、講座運営、企業との関係が不透明になっていく。今回の事件は、その腐敗が極端な形で表に出たものだ。
東大教授という権威を利用して、こんな接待がまかり通っていたのだとすれば、恥ずかしいのは本人たちだけではない。日本の大学医学部全体が、古い権威主義と閉鎖性をどこまで温存してきたのかが問われている。







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