外国為替市場で再び円安が進み、1ドル160円台となっている。市場では「また政府・日銀による円買い介入があるのか」という警戒感が高まっている。

介入前の水準に戻った
ロイターは6月初め、円が1ドル160円近辺まで下落し、日本政府が投機的な動きに対して強い警告を発していると報じた。財務相も過度な変動に対して「適切に対応する」との姿勢を示しており、160円は市場参加者にとって心理的な防衛ラインになっていたが、1ヶ月半ぶりにまた抜いてしまった。

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ただ為替介入の効果は疑わしい。2024年4月から5月にかけても、政府・日銀は大規模な円買い・ドル売り介入を行った。財務省の公表資料によれば、2024年4月29日に5兆9,185億円、5月1日に3兆8,700億円、合計9兆7,885億円のドル売り・円買い介入が実施された。これは、当時の円安進行に対する強い危機感を示すものだった。(財務省)
しかし介入直後は円高に振れても、相場はもとに戻ってしまった。日米金利差や日本の貿易収支、エネルギー価格、投資家の円売り姿勢といった構造要因が変わらなければ、相場は再び円安方向に戻りやすい。為替介入の目的は相場を大きく反転させることではなく、急激な変動を抑えて安定化を図ることだ。(SMDAM)
今回も、介入があるかどうかの焦点は、160円という水準そのものより円安のスピードと投機性にある。政府は通常、特定の為替水準を防衛ラインとは明言しない。だが、短期間で急激に円安が進み、輸入物価や家計負担への悪影響が強まれば、政治的にも放置しにくくなる。
一方で、政府が介入に踏み切りにくい事情もある。第一に、単独介入では効果が限られる。アメリカがインフレ抑制を重視している局面では、ドル安を促す協調介入に積極的になるとは限らない。第二に、介入は外貨準備を取り崩してドルを売る行為であり、無制限に続けられるわけではない。ロイターは、最近の大規模介入後に日本の外貨準備が大きく減少したとも報じている。(Reuters)
FRBの利上げが焦点
根本的な問題は、やはり日米金利差である。アメリカの金利が高止まりし、日本銀行の利上げが慎重であれば、円を売ってドルを買う動きは続きやすい。ここに来てFRBが利上げするとの観測も出てきた。
野村證券は、日銀の6月利上げ期待が低下すれば、ビハインド・ザ・カーブへの懸念からドル円が160円を超えて上昇するシナリオが警戒されると指摘している。(野村証券)
円安を止めるには、金融政策の正常化、財政への信認回復、成長力の強化、エネルギー輸入依存の低下など、より地味で時間のかかる対策が必要になる。高市首相も国会で、円の信認を守るには国内投資や供給網強化など経済の基礎体力を高める必要があるとの趣旨を述べている。
では、また為替介入はあるのか。結論からいえば、160円台で円安が加速すれば、追加介入の可能性は十分にある。ただし、それは円安トレンドを根本的に変えるものではなく、あくまで投機的な急変動を抑えるための緊急措置になるだろう。
市場は財務省の口先介入、日銀の利上げ観測、米国金利の動向を見ながら、日本当局の「本気度」を試している。政府が再び実弾を撃つかどうかは、160円という数字だけでなく、その先にある「円の信認」がどこまで揺らいでいるかにかかっている。






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