国宝五城のひとつ、千鳥と准えられる松江城へ

岡山駅に来ました。金曜日の午後、半休を取って岡山駅へ。そこから新型の特急やくもに乗って優雅に山陰へ!

と思っていたんですが、仕事で思わぬトラブルが起きて山中電話しまくり。トンネルで何度も遮断されながら業務をこなしました。

ちなみに新型やくも、列車の到着案内には島根県出身のアーチスト、Official髭男dismの曲が使われてます。往路の曲は「I Love…」。突発的に発生した業務にこう叫びたくなります。

いっれ~ぎゅらぁ~!

そんなこんなでやってきたのは島根県の県庁所在地、松江市でした。松江は宍道湖の畔に温泉街が広がります。夜は束の間の休息を旅館の温泉で癒し、翌朝行動を開始します。

駅舎の右手にあるのは、足湯。

松江はJR松江駅のほかに一畑電車の松江しんじ湖温泉駅があります。両者は若干離れていて、バスでの行き来が必要。県庁など町の中心は一畑電車の駅側にあります。松江しんじ湖温泉駅の隣には足湯。電車を待つ間に足湯で日頃の疲れを取ることができます。

足湯にはお湯掛け地蔵がいました。お湯を掛けつつ、それなりに長生きできますようにと願を掛けます。

駅から20分ほど歩いて、漆黒の松江城までやってきました。平成27年、国城としては5番目に国宝として登録された城です。江戸時代初期に堀尾氏により築城され、その後松本藩から松平氏が移封され居城としてきました。築城から400年以上にわたり松江の町の発展を見届けてきました。

明治初期の廃城令の際、松江城も取り壊される予定でしたが、出雲の農商、岡崎國臣が天守を買い取ったため解体の難を逃れ、松江の歴史を今に伝えることとなりました。

松江城は別名として「千鳥城」の名があります。千鳥が羽を広げたような、千鳥破風と呼ばれる曲線を持った三角屋根を持つことからその名がついたとされる説が有力です。

なお、今は広島から松江はバスでの移動がメインですが、かつては広島駅から芸備線・木次線を経由して松江駅に至る急行列車「ちどり」がありました。今や両線とも廃線の危機に瀕していて優等列車が走っていた面影はありません。

人柱伝説を描いた図絵。

松江城は宍道湖の近くにあって地盤が軟弱なため建設には相当の苦労があったと言われています。そこで踊りが上手な美しい娘や、城に架かる橋を朝最初に渡った者などを攫って人柱に立て、生き埋めにしたという逸話も残っています。

天守を支える柱は、四面に板を張って鎹や鉄輪で留められている物が多くあります。この柱を覆う板を「包板(つつみいた)」と呼び、柱の割れ隠しなどのために施されたものと考えられています。

天守の頂上まで5層を持つ天守閣は、通し柱と呼ばれる2階分の短い通し柱を配置して天守を支える工法が用いられました。全国で城が築かれており心柱が不足したことから編み出された苦肉の策による工法です。

古くから残る城の多くは階段が急で上り下りに苦労しますが、松江城は急であるものの比較的往来はしやすかったです。それでも子供は怖いと泣いていましたが。天守に登ると松江温泉の街並みやその向こうに広がる宍道湖を一望することができました。

平成27年に国宝に指定されたことを示す国宝指定書のレプリカ。心柱がなく。通し柱や包み板など長大な木材を使わずに大規模な天守を支える工夫がなされ、当時の建築の現状を知ることができることから国宝として認定されました。

城の見学を終え、下に降りると目の前にミントカラーの洋風建築が目に入りました。こちらは興雲閣。洋風の建築物が流行した明治36年、松江市工芸品陳列所として建てられたものです。今でこそ和そのものの松江城とその隣に建つ洋風建築が並ぶことは違和感を感じますが、当時は城は古きものと軽視され、洋風建築が重用される時代だったのでやむを得なかったのかもしれません。

2階の端に位置する貴顕室は、明治40年に皇太子(のちの大正天皇)が山陰行啓をされた際に宿泊されていた場所。行啓の際にリニューアルされ、他のエリアと比べて気位の高い施工が施されました。

ベランダに出れば目の前には櫓。ここで洋館の居住者もあぁ、ここは城の中だったんだと実感することとなります。櫓や天守閣に囲まれて今も城内の敷地に根を張り続ける洋館。なんともシュールですが、時代背景を考えれば納得もできると言えましょう。皇太子はここからお手振りをしたんでしょうか。

江戸時代から松江を見守り続けた町のシンボル、松江城。松江温泉を楽しみつつ城を訪ね、400年の歴史を感じてもらいたいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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