ローマ教皇レオ14世は12日、7日間のスペイン・カナリア諸島への司牧訪問を終えてローマに帰国する予定だったが、教皇の搭乗予定のイベリア航空の飛行機がプレフライトチェックの段階で問題が見つかり、飛行できなくなった。そこでスペイン国王フェリペ6世は足止めされた教皇のために国王専用機を提供。教皇は予定出発時刻から3時間遅れの午後7時過ぎにやっと離陸し、ローマ・フィウミチーノ空港には12日夜11時5分に到着した。
ただし、国王専用機に搭乗したのは教皇を含む一行の一部だけ。イベリア航空は、残りのスタッフと同行したジャーナリストのローマへの帰還便を確保するため、マドリードからテネリフェ島へ代替機を派遣した。ジャーナリストと教皇使節団は、13日早朝になってローマに戻ることができた。教皇による機内での慣例の記者会見はなかった。

スペイン国王専用機に乗り換えたレオ14世、バチカンニュースから、2026年6月12日
ところで、教皇はローマへの帰国便が欠航となったことに対し、400ユーロの補償金を請求できる可能性があるというのだ。イタリアのニュースポータル「ユーロボルサ」が13日、乗客権利補償サービスを提供する「リンボルソ・アル・ヴォロ」の情報として報じた。レオ14世がその補償金をイベリア航空に実際要求したか否かは不明だ。
教皇の旅程において前例のない出来事だったが、ここでは搭乗予定の飛行機が遅れたり、何らかの出来事があった場合、旅行者が有する権利について少し学習しておきたい。6月に入り、旅行シーズンが始まろうとしているから、無駄ではないだろう。
欧州の規則によれば、正当な理由なく、かつ特別な事情がない限り、フライトが欠航となった場合、乗客はケアと金銭的な補償を受ける権利がある。
欧州におけるフライト遅延や欠航時の旅行者への補償は、航空会社ごとではなくEUの法律(EU規則261/2004号、通称「EU261法」)によって欧州一律で厳格に定められている。
EU規則261/2004号による補償基準によると、最終目的地への到着が3時間以上遅れた場合、航空会社の責任(機体トラブルなど)であれば、飛行距離に応じて一律の金銭的補償(賠償金)が義務付けられている。
飛行距離が1500Km以下の場合(短距離)、250ユーロの補償金、1,500km ~ 3,500km の場合 (中距離)、400ユーロ (例:マドリード ~ ローマなどEU域内)、3,500km 超 (長距離)の場合、 600ユーロ (例:ヨーロッパ ~ 日本)となっている。レオ14世の場合、3時間以上の遅延とテネリフェ島とローマ間の3,000キロメートル強の距離に該当するから、補償額は規定通り400ユーロとなる。もちろん、フライト料金は全額支払済みでなければならない。
上記の規則は、EU圏内の空港を出発するすべてのフライト(航空会社を問わない)、EU圏外の空港を出発してEU圏内に到着するフライトのすべての乗客(国籍問わず)に適用される。
ところで、航空会社が補償を免れるケース(例外)は、遅延の理由が「不可抗力(非日常的状況)」である場合だ、例えば、天候不良(大雪、台風など)、安全上の脅威や予期せぬ治安悪化、管制塔(ATC)の指示やストライキの場合だ。
ちなみに、遅延が長引く場合、航空会社は金銭補償とは別に、「お世話の権利(Right to care)」として、飲食、ホテル宿泊代、Eメールの通信費などを乗客に無料で提供しなければならない。これはどの航空会社でも共通の義務だ。
なお、イベリア航空が突然飛行できなかったことについて、技術的問題が挙げられているが、サボタージュ、テロ情報、教皇の突然の健康悪化説なども完全には排除できない。ただし、AIによると、「飛行機が飛行直前、技術的問題が見つかることは決して珍しくはない。特にVIPが搭乗する場合、なおさらだ」とのこと。
今回は教皇の帰国便の話に終始したが、レオ14世のスペイン訪問は大きな問題もなく、無事終わったことを付け足しておく。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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