他人事ではないスタバの苦境:コーヒーを介した第三の居場所文化が崩れたわけ

スターバックスが虎の子の日本事業を売却するかもしれないという報道が流れています。会社側は認めていませんが、否定もしてません。スタバの内情を見る限り条件さえ合えば売却に進むとみています。

Robert Way/iStock

私はこのブログでほぼ初期からスタバのビジネスモデルは崩れ、マクドナルドと同じような苦戦を強いられると言い続けてきました。日本の方はマクドナルドのどこが悪い、と思うかもしれませんが日本のマックは次元が違うのです。北米のマックは正直、行きたいと思わせない場所であります。1年に一度ぐらいやむを得ず入ることもありますが、必ず失望して帰ります。

何故か、といえば金がない人たちがたまり場のようにしたり、従業員に店をきれいにしようという精神がないのでケチャップがこぼれ、ナプキンが空でゴミ箱が満載でもスタッフは知らん顔なのです。それをスタッフに指摘すると嫌な顔をして渋々指摘されたことだけをやるのです。スタッフの動きを見ているとマネージャーらしき人が先頭に立って動き回る一方で他のスタッフはやらされ感満載でとてもじゃないけれど自主的に動こうという意識がみられません。

スターバックスが変調をきたし始めたのはコーヒーを介した第三の居場所文化が崩れたことがあります。うまいコーヒー⇒心地よい居場所⇒ほっとする瞬間を提供するのがコンセプトでした。しかし、スタバが変わったのはノートパソコンを持ち込みヘッドホンやイヤホンで自分だけの世界に浸る人たちばかりになり店舗の空気に賑わいが無くなったことです。店には人がたくさんいるのに笑いもないし、会話もなくその場所だけ空気が冷たく凍っているような空間なのです。

スタバはそれを打開するためにロースタリーとリザーブストアというハイエンド店を展開し始めましたが、今は既存店だけで成長は止まっており、スタバの創業地であるシアトル店が昨年閉店するなどむしろ後退している感が否めません。

スタバ文化が廃れ始めたのは高級住宅地や高級な集合住宅があるところから始まっています。理由は彼らは家に自分のエスプレッソマシーンを持ち、自分の好みのコーヒー豆を買い、好きなコーヒーカップでこだわりを家で楽しめるようになったからです。つまりスタバのサービスは家庭で代替できるようになったのす。その意味ではコロナが節目になったかもしれません。

もう1つはコーヒーを持ち歩くことが廃れたと思います。考えてみてください。紅茶を持ち歩く人はあまり聞きません。コーラはどうでしょうか?見かけませんよね。ではなぜコーヒーなのでしょうか?もともとはスタバのコーヒーが深煎りで目覚めに良い⇒朝通勤途中で買うというブームを作ったのですが、毎日それを繰り返すほどアフォーダブルではなくなったということです。

私はこのブログで過去10数年間、同じことを主張しています。スタバのような巨艦のチェーン店になると一旦時の風が逆風になれば、対応できないぞ、と。スタバは今、まさにその逆風にさらされているわけです。個人的予想としては更に小さくなるとみています。バンクーバーの目抜き通り、ロブソン通りにはスタバがかつては6-7店舗あったのに今はほとんどが撤退し、代わりに個人経営のカフェが増えています。流行るとは思わないですが、個性を出そうとしている店が多く、過渡期に入っているとみています。

では最後にブログのタイトルに「他人事ではない」とつけた点に触れます。日本のビジネス文化は物まねが相変わらず強く、メディアやSNSによる流行の火付けと共に一気呵成に一つのタイプの店が増えます。例えばラーメン一つにしても博多とんこつが流行ったと思えば横浜系(家系)にシフトしてそれぞれが定番として定着しました。そこで次にチャン系とかマーラータンが流行モノ好きでトレンド先行型の消費者がブームを作っています。当然激しい生き残り戦争となります。

同様に食べ放題系も激戦であります。ホテルはこぞって導入、しかもそのクオリティは食レポ系ユーチューバーが飛びつき「旨い」「すごい」を連発するので皆さん、苦労して予約して一人1万円出していくわけです。これも流行なのであと数年ぐらいすれば淘汰されると思います。

食文化に限ったことではないのですが、文化のトレンドは必ずうねりが来るのです。その先端を行くのか、既に定番、ないし、忘れかけていたあの味を磨き直すのか、そのあたりが経営の腕の見せ所になりますが、消費者の変わり身は早いのでトレンドに乗せられないようにした方が良いと思います。いざ、ばくちのように多店舗展開するとスタバのように身動きが取れなくなることがしばしば起きるのであります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年6月15日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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