イラン戦争合意(?)で日経平均は7万円をめざす熱狂

15日の東京株式市場で、日経平均株価は前週末比3297円高の6万9317円で取引を終え、史上最高値を更新した。上昇率は4.99%、上げ幅は過去2番目の大きさとなった。いよいよ日経平均7万円が、現実味を帯びてきた。

きっかけは、日本時間15日早朝にトランプ米大統領がSNSで表明した米国とイランの戦闘終結合意である。もっとも、これまでの経緯を考えると、タイトルに疑問符をつけたくなる。中東情勢は一夜で空気が変わる。トランプ氏の発言も、相手国や関係国の確認を待たなければならない。

市場は、疑問符より先に買いで反応

ホルムズ海峡の再開、原油価格の下落、地政学リスクの後退、米金利の低下観測。これらが一気に重なり、東京市場ではほぼ全面高の展開となった。とくにAI・半導体関連への買いは強烈だった。東京エレクトロンは一時10%高、ソフトバンクグループは13%高、イビデンは19%高、アドバンテストやキオクシアにも大きな買いが入った。

これまでの日本株上昇を引っ張ってきたのは、AIと半導体だった。生成AIブームは、データセンター、半導体製造装置、メモリー、電子部品、電源、通信インフラにまで波及している。今回の上昇では、その流れがさらに加速したかたちだ。

半導体だけでなく広い業種が買われた

原油高や物流不安で売られていた銘柄にも買いが広がった。JALやANAホールディングスなどの空運株、建設株、化学株、自動車株にも資金が流入した。ホルムズ海峡をめぐる懸念が後退すれば、燃料費、原材料費、サプライチェーン不安が和らぐ。三菱ケミカルグループや三井化学のように、ナフサ価格の上昇が重荷だった企業にも買い戻しが入った。

つまり今回の株高は、単なるAIラリーではない。中東リスク後退による「コスト低下相場」と、AI・半導体を中心とする「成長期待相場」が同時に走り出したのである。

市場では、株高に乗り遅れることへの恐怖であるFOMOが広がっている。ここまで上がるとは思っていなかった投資家ほど、慌てて買いに回る。売り方は踏み上げられ、出遅れ銘柄にも資金が向かう。こうなると相場は理屈より勢いで動く。

日経平均7万円は通過点か

ただし、こういうときこそ注意も必要だ。イランとの合意が本当に安定的なものなのか。核開発、ミサイル、親イラン武装勢力、イスラエルとの関係など、火種は残っている。市場はまず「戦争終結」を買ったが、合意の中身が曖昧なままなら、失望売りに転じる可能性もある。

また、日本株の上昇には円安、海外投資家の買い、AI関連への集中投資という要素が大きい。これが逆回転すれば、上昇が急だった分、調整も大きくなりやすい。日経平均が7万円に近づくほど、「割安な日本株」という説明だけでは足りなくなる。

株式市場は熱狂するが、経済は回復するのか

長く「停滞市場」と見られてきた日本株が、世界のリスクオン相場の中心に躍り出ている。AI革命、企業統治改革、インフレ定着、円安メリット、そして地政学リスクの一時後退。これらが重なり、日本市場に海外マネーが流れ込んでいる。

問題は、この株高が実体経済にどこまで波及するかである。株価が7万円に乗せても、賃金、投資、生産性、個人消費がついてこなければ、国民にとっては「画面の中の好景気」に終わる。逆に、企業収益の拡大が賃上げや設備投資に結びつけば、日本経済の景色は大きく変わる。

これはゴールではない。むしろ、日本株が本当にバブルなのか、それとも長期上昇相場の入り口なのかを試す局面に入ったということだ。市場はすでに楽観へ傾いている。次に問われるのは、その楽観を裏づけるだけの企業業績と経済の実力である。

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