ついていいウソ、ついたらダメなウソ

黒坂岳央です。

筆者は仕事柄、色んな立場の人と話す機会が多い。YouTubeのコメント欄、記事の読者、商談相手、地域の活動、子供の学校などだ。会社員の頃はせいぜい、同僚や家族、友達くらいだったので格段に人間関係が広がった。

それにより、会社員の頃には関わることがなかった相手も増えた。もちろん、いい意味でも悪い意味でも、だ。

そして悪い意味では「バレバレのウソを堂々とつく人間」と会話することもあるのだ。会社員の頃は大企業勤務だったこともあり、あまりそのような質の低い人物はいなかった。これは自分にとって大きな変化だ。

とはいえ、自分はウソはすべてダメだとは言わない。子供に「このプレゼントは寝ている間にサンタさんが持ってきたよ」、というウソを自分もつくことがある。また、極度の不安を抱える相手に、一時的にでも落ち着きを与えるために「あなたは大丈夫、大丈夫だ」ということもある。

しかし、同じウソでも「つくべきウソ」と「つかない方がいいウソ」があるとも感じている。

Azizabonu Tojiboeva/iStock

ついていいウソは?

まずはついていいウソについてだ。その代表的なものが社交辞令である。

「またぜひ行きましょう」「おいしかったです」「お似合いですね」。これらは全員がわかった上で成立している建前であり、ウソというより社会的潤滑油に近い。「それ似合わないですね」「本当に最悪でした」こうした話は本音というより、ただの暴言に近い。

結論、許容されるウソは「迷惑をかけないウソ」だ。子供の夢を壊さないウソ、社交辞令の褒め言葉、こうしたウソは相手を喜ばせるためのものであり、特に社交辞令は言われる側も大体分かっている。

「若く見えますね」「素晴らしいですね」と言われると、リップサービスと分かっても誰しもうれしいものだ。

ついていけないウソは?

ではその一方でついていけないウソは何か?それは「自分の利益のために相手の判断材料を変えるウソ」である。

年齢・学歴・経歴・年収・人脈を盛るウソがこれにあたる。自分を大きく見せるためのウソは、長期的に信用を削る。

そしてSNSでは「ウソつきが多い」というレベルを通り越して、「正直者を見つけるのが難しい」くらいである。

名前は言わないが、実際の経歴はほぼすべてがデタラメだが、本人は「苦労を乗り越えた大成功者」というストーリー設定で人を集めて荒稼ぎしている人がいる。これと似たようなことをしている人は一人、二人ではない。「バレなきゃOK、何をしても稼いだもの勝ち」という感覚なのだろう。

こうした風潮は悲しいことではあるが、今もバレずに成功者の仮面をつけている人がいる辺り、経歴詐称のインセンティブは非常に強い。

より一般的な場面で言えば、最悪なのがミスの隠蔽だ。小さいうちに言えば修正できたものが、隠すことで手がつけられない規模になる。これはウソの中でも実害が最も大きいカテゴリーに入る。

ウソはバレていると考えた方がいい

自分の実例を話す。仕事でコミュニケーションをする機会があった。事前に別のルートからその人について情報を聞いていたのだが、いざ会話が始まり、相手が話しだした瞬間、「ん?」となった。事前に別ルートで聞いていたステータスとまったく違う。

最初は別ルート情報が間違っていると思ったが、会話しながら改めて情報を確認すると、やはり相手の言っていることがおかしい。その瞬間、「自分をよく見せるためのウソを言っている」と分かった。相手はそこに気づかず、話し続けているが自分は相手のウソが分かっている。

これは非常に居心地が悪い。相手に指摘もできないが、最初のウソの影響で相手の話が全てウソに聞こえてしまう。そしてこのような状況で思ったのは「この人は損をしている」ということだった。

本人の意図は印象を良くしたいと思ってのウソだったはずだ。しかし結果は逆で、「この人は事実と違うことを言う人間だ」というフィルターが相手にかかる。「これもあれもウソでは?」と信用できなくなる。

ウソはバレたら終わり

世の中は信用経済なので、ウソをついていることが相手にバレたら信用は終わりである。

自分は子供ではないので、相手のウソをスルーして仕事を完了させた。自分の感情でクライアントやお客様には迷惑はかけられない。だが、仕事が終わった後も心のしこりは残った。「なんであんなウソをついたのか」というもやもやは今でも残っている。

恐ろしいのはここで、嘘というのは相手にバレても本人が気づかない事が多いということだ。本人は「うまく騙せた」と思いながら、同じ行動を繰り返す。これが知らないうちに信用を削り続ける。これが最も怖い構造だ。

そして情報は思っている以上に流通する。特に同じコミュニティや業界では、誰かが知っていれば実質的に全員が知っている状態に近い。「バレていない」は多くの場合、「誰も指摘しないだけ」に過ぎない。

「あの人はウソつき」と話題になれば、もう誰もその人の話を信じなくなる。だが、本人はずっとウソを付き続ける。この状況は想像するだけで恐ろしくなる。

確かに正直者が常に得をする時代ではない。「騙しても稼いだら勝ち」と考える人が多い世の中である。

だが、自分の利益のために相手の判断材料を変える嘘は、長期的に必ず自分に返ってくる。得るものより失うものの方が大きい。

自分も子供の頃、学生時代は自分を大きく見せるしょうもないウソをつくこともあった。だが、今はやめた。ついたウソをずっと覚えている自信がないし、本音で付き合える人間関係を大事にしたいと思っている。

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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