ひろゆき氏&泉房穂氏が新党結成:妻・西村ゆか氏は「騙し討ち」と怒りの投稿

実業家でYouTuberのひろゆき氏(西村博之氏)と、元明石市長の泉房穂参院議員が新たな地域政党を立ち上げた。

名称は「ひろゆき&いずみ新党(仮)」。7月20日に設立され、27日に東京都選挙管理委員会へ政治団体の設立を届け出たという。正式名称は今後公募する方針だ。

2027年の統一地方選では、東京都内で予定されている中央、文京、台東、墨田、大田、世田谷、渋谷、豊島、北、板橋、江戸川の11区長選すべてに候補者を立てることを目指している。さらに東京都外の知事選や政令市長選などへの候補擁立も検討していると報じられており、単なる「東京ローカル」の政治団体にとどまらない構想のようだ。

「泉市政」と「ひろゆき」の異色タッグ

重点政策として掲げるのは、子ども・教育政策、住民負担の軽減、デジタル行政などだ。

泉氏は明石市長時代、子育て支援を前面に掲げて全国的な知名度を高めた。一方のひろゆき氏はITやインターネットに詳しく、SNSでは圧倒的な発信力を持つ。

既存政党の組織力ではなく、泉氏の自治体運営の経験と、ひろゆき氏のネット上の知名度を組み合わせて地方選挙を戦うという構想は、それなりに興味深い。

国政ではなく首長選から攻めるのも特徴だ。首長選ならば政党支持率より候補者本人の知名度や政策が結果を左右しやすく、ネットで候補者を集める新しいタイプの政治運動になる可能性もある。

明石での「無料化」は本当に成功モデルなのか

ただし、泉氏の明石市政をそのまま「成功モデル」として全国に展開できるかは慎重に考える必要がある。

子育てサービスの無料化には当然ながらコストがかかる。「無料」とは利用者が窓口で払わないという意味にすぎず、税金から支払われていることに変わりはない。

そして明石市が子育て予算を大幅に増やせた背景には、他の事業の見直しもあった。

泉氏自身、市長就任後に市営住宅の新築を全面的に中止したと説明している。また、20年間で600億円を予定していた下水道整備計画についても、対象を絞り込み150億円規模に縮小したとしている。つまり450億円を他に回せるようにしたというわけだ。

泉氏はこれを「無駄な公共事業を削った」と説明しており、高齢者向け予算を削って子どもに回したわけではないとも主張している。

しかし、ここには政治の本質的な問題がある。

ある政策に予算を重点投入すれば、別の政策に使える予算は減る。公共事業を削って子育て支援に回すことが正しいかどうかは、その自治体の事情によって異なる。

インフラ更新を先送りしてでも子育て支援を優先するのか。市営住宅を新しく造るより子どもの医療費を無料にするのか。それは「無料化すればみんな幸せ」という話ではなく、限られた税金をどこに配分するかという政治的な選択である。

泉市政を評価するにしても、このトレードオフを抜きに「明石ではできた。だから東京でもできる」と考えるのは危険だろう。

ところが妻には知らされていなかった?

ところが、新党は船出早々、思わぬところで話題になった。

ひろゆき氏の妻、西村ゆか氏がXで、政治団体設立について事前にほとんど知らされていなかったと明かしたのだ。

西村氏によると、7月23日にひろゆき氏から泉氏との昼食に誘われ、その席で突然、政治団体を作るという話を聞かされたという。驚いた西村氏に対して泉氏は「家族の同意が一番大切だと思うので話しあってください」と促したという。

ところが、その後も夫婦で合意しないまま新党設立が報道されたとして、西村氏は「騙し討ちにあった気分です」と不満を表明した。

さらに、

「そりゃ少子化も止まらないわ」

とまで書き込んだ。

子ども政策を重点政策に掲げる新党に対する、かなり強烈な一撃である。

子育て政策の前に「家庭内対話」?

もちろん、政治活動を始めるかどうかは最終的には本人が決めることであり、家族が政治参加そのものを決定するわけではない。

しかし、首長候補を大量に擁立し、選挙運動に関わり、場合によっては将来の国政進出まで視野に入れるとなれば、本人だけの生活では済まない面もある。少なくとも家族に事前に説明しておくのが普通だろう。

まして新党が「子ども」「教育」「負担軽減」を看板にするのであれば、妻から「話し合いがなかった」と批判されるスタートは、政治的にも少々格好が悪い。

ひろゆき氏は日頃、他人の主張の論理的な矛盾を突くことで知られている。今回は逆に、最も身近な人物から「それっておかしくないですか?」と突っ込まれる格好になった。

「泉市政の実績×ひろゆき氏の発信力」という組み合わせは、既存政党にとって侮れない存在になる可能性がある。一方で、新党が本当に地方政治を変える勢力になるのか、それともネット上の巨大な話題で終わるのかはまだ分からない。

ただ一つ確かなのは、子育て政策を訴える新党が、まず「夫婦の話し合い」という極めて身近なテーマを世間に提供してしまったことである。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント