
朝から背中が重い。
仕事のせい? いや、違う。単に背中が重いんだ。それも、妙に重い。気づくと、会議室に入る前は肩甲骨をキュッと寄せてる。誰かに声をかける前も。人と話す時も。そいつらは、気づいてない。無意識にやってる。だけど俺は気づいちゃった。いや、気づかされた。
この「できる自分を見せたい」という無意識の姿勢習慣が、全身疲労の根源だってことに。
「おヘソに戻る 〜一級建築士が見つけた重心の科学〜」(松下いづみ 著)みらいパブリッシング
このタイプ、責任感が強いんだ。性格の問題じゃなくて、体に刻み込まれてる。胸を張る姿勢が「いい姿勢」として、完全に染み込んじゃってる。学生時代から? 親の影響? 知らん。でも確実に、体が覚えてる。
問題は――ここが大事なんだ――胸を張ることじゃない。肩甲骨が寄せっぱなしになることなんだ。
背中の内側が縮んだままほどけない。肩甲骨が動かない。すると腕の動きの負担が首や肩に移る。首こり、肩こり、頭痛。当たり前。当たり前のように起きる。肩甲骨が固まると胸郭の動きまで小さくなる。呼吸が浅くなる。
その状態が続くと、体はずっと戦闘モードだ。休んでるつもりでも、脳は休めてない。でな、これが厄介なのは――健康診断には出ないんだ。数値に表れない。だから誰も気づかない。本人も気づかない。ズルズル疲労が溜まってく。それだけ。
あ、もう一つあった。肩で全部受ける奴もいる。肩上がり。ひじ張り。寒くないのに肩がすくむ。荷物持つと肩で持ち上げちゃう。
このタイプは気配りが強い。先回りする。頼まれたら断れない。だから体が無意識に「準備姿勢」になる。肩上がり、ひじ外に逃げる。当たり前だ。
でな、腕や荷物の重さを肩で支え続けるってことは――肩甲骨が働かなくなるってことだ。首と肩の筋肉が代わりに踏ん張る。ひじが外に開くと、腕の重さが体の中心から離れる。負担はさらに増える。
だから荷物が軽くてもつらい。腕上げてもないのに重だるい。そういう状態が起きる。
肩が上がった状態が続くと――脳にとっても「緊張してる体」になる。無意識の警戒が止まらない。休もうにも休めない。集中すべきことに集中できない。夕方、どっと疲れて、寝ても抜けない。イライラする。
それは気合いの問題じゃない。構造の問題だ。言いたいのはそれだけ。
で、どうするんだよ。答えは単純。意識をおヘソに下ろす。上でがんばる体から、中心で支える体へ切り替える。
おヘソを意識できると、肩甲骨は寄せるんじゃなく、下で収まって動ける。胸を張って守ってきた体は、支え方を変えるだけで楽になる。
マジだ。
責任感が強いのは素晴らしい。でもな、それを生かすには体が休まってなきゃダメだ。「できる人」を演じてる体から、真に「できる人」へ。その転換は、ほんの小さな意識の変化から始まる。
おヘソの下に、あなたの重さを落としてみろ。
※ここでは、本編のエピソードをラノベ調コラムに編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
■
日本初のClaude実用書です。発売即重版しました。
『3時間で身につくClaude活用術』(WAVE出版









コメント