東武鉄道で線路上の4人の作業員が特急列車に接触ないし巻き込まれるという痛ましい事故が起きてしまいました。見張り役が退避完了の旗を出したのになぜ作業員は線路上ないし、列車に巻き込まれる距離にいたのか、調査が待たれます。私、大学1年の時、警備会社でアルバイトをしていたのですが、ある時、配員不足だったのか、普段やらない鉄道保安員を急遽やらされたことがあります。それまでにやった様々な警備の現場の中で最も不安な仕事でした。現場は引き込み線が多い場所で貨車が通る線路だったのですが、線路だらけで一体どの線路に列車がやってきているのか判断が非常に難しかったのを覚えています。何度か間違えて退避の笛を吹いたものの違う線路の貨車で「ありゃ」と思ったのですが、現場監督から「事故るより安全になりすぎるぐらいのほうがいい」と励ましてくれたのは今でもよく覚えています。列車は作業員から見ると巨大な鉄の塊が高速で飛んでくるというイメージです。怖かったと思います。
では今週のつぶやきをお送りします。
ベッセント氏が動けば金とビットコインが儲かる!
アメリカで「ベッセント プット」と称されているアメリカ財務長官肝いりのアメリカ超長期債の買い戻しとその強化策で金融市場に奇妙な資金シフトが生じています。ベッセント氏が目論むのは長期債や超長期債の利回りが上昇(=債券価格の下落)が顕著となり、それを防衛するためにその買い戻しを突如発表したからです。その資金は短期債を売ることで得るのですが、市場は「財務長官は焦っている」と読み込んだのです。非伝統的なことをしているため当然ドル指数の下落も招いています。昨日も書いたようにドル信認は何処へ、ということであります。
となると変わり身の早いマネーはハードアセットと称する金とかビットコインに回るのです。理由は国家が発行する債券は極端な話、無限に発行できるけれど金もビットコインも新規発行量には限界があるからです。よって私はもう少し時間がかかると思っていた金相場の回復も急激に進んでいるのです。ましてやビットコインなど「そんなの、あったな」と忘れられていたものが復活しているわけです。ではこの超長期国債の不人気ぶりは何時まで続くのか、ですが一旦はどこかで収まるものの最終的には中間選挙、そしてその結果次第ではその後もずるずると売られる(利回り上昇)となるかもしれません。
ベッセント氏がやろうとしているのは黒田前日銀総裁がやった異次元の緩和の手法に近いものがあり、テクニカルに市場を操作しようとするものです。ベッセント氏は先般の円介入の時もそうだったのですが、市場を見くびっているところがあります。そしてトランプ氏の尻ぬぐいをするためにどんなことでもできるという点において安倍氏と黒田氏のコンビと重なってしまうのです。ベッセント氏は教壇にも立ったほどの経済や国債の専門家でありますが、市場の鼓動は市場にしか聞こえないものです。その昔ボクシングでタイトルを取ったからといって今、リングに上がっても勝てるわけじゃないのと同じです。市場は懐疑的に、かつひねくれている扱いにくい動物のようなものであります。
下がるコメ価格、去年のあれは何だったのだろう?
「令和のコメ騒動」は悪夢であったとしか言いようがありません。様々な要因があるとされますが、結局、噂が拍車をかけた気がします。つまり人間の心理に抑制力がなくったのでしょう。これはかつてのトイレットペーパー事件やコロナ時のマスク、先般のナフサも同じでそれで商売する人たちは品不足を煽ることで非現実的な架空の需給状態を作ったとみています。外国人がコメを食ったのだろうという分析もありましたが、今年は去年より来日外国人は多いのですからこの理由が当てはまるとも思えません。個人的には小泉氏が農水大臣の際、政府備蓄米の放出でヒートアップした市場を落ち着かせる効力を発揮したと考えています。
問題は今年です。間もなく新米が出ますが、市場に出回る去年のコメの価格は下落一方。また新米も生産者ベースでの取引価格が去年比で3-4割低いため、安値が安値を呼ぶ可能性はあります。特に新米が出ると2025年産のコメの売れ行きが落ちるので価格を下げざるを得ないわけで価格下落圧力はさらに続くものとみられます。では輸出すればどうか、と言われても例えばここ北米ではカリフォルニア米は5キロで2000円足らず程度ですから全くかないません。一部のアジア圏で日本のコメにこだわる市場はありますが、全体比ではかなり小さいでしょう。それに今は韓国も中国も品種改良に力を入れているので品質は大きく向上しています。

鈴木憲和農水相Xより
もう一つは日本人に輸入米でも味はそこまで損なわれないという印象を与えたことも拍車をかけました。コメの輸入量は昨年、前年比ざっくり100倍にも膨れ上がったのです。丼物などでは差がつきにくいのも事実です。もちろん、私が日本に行って光り輝く白米を食べると確かにうまいなぁと思いますが、日本米でなければ絶対ダメということもありません。コメは日本の食を支える基本中の基本だけに安易な判断もできず、かといって農家の人々の苦悩を考えると食べてあげたいと思います。食糧政策の最も難しいところでありますが、健全な生産者と健全なコメ価格を維持する方法としてコメの第六次産業化を図るなど切り口を完全に変え、生産者がより賢くなり、商業ベースの思想を取り入れ、政府がテコ入れするような仕組みが必要でしょう。JAの大改革も必須です。
行き詰まる国際間交渉、真剣勝負ここにあり
これを書く北米時間の金曜日の昼、多くの人が注目するのがアメリカとカナダの関税交渉の行方であります。本来火曜日24時が交渉期限だったのですが、トランプ氏が交渉期限2時間ほど前に「3日間延長戦!」を宣言し、多くの関係者は一息つくも、高い緊張感を伴う交渉はいよいよ本日の夜半までに結果が出そうです。感触としては合意できるような土壌は出来つつあります。私は今回の交渉もそうなのですが、国際交渉の神髄とはここにあり、というギリギリ感に日本の政権も見習ってほしいと思うのです。
なぜここまで緊迫しているかと言えば双方とも譲れないハードルがあり、それぞれの交渉カードの切り方の展開がスリリングなことはあるでしょう。当地国営メディアのCBCはこの1週間はほぼずっとこの話題がトップ記事です。エリート層ウケするカーニー首相は国民全体からの評判はイマイチなのですが、私は中銀総裁時代からその手腕は他に代替できる者はいないレベルだと思っています。トランプ氏とは真逆の性格ながらも2日連続で電話による直接交渉をし、カナダが敷く最大の敵対行為、アメリカの酒の全面販売禁止を解禁するよう各州の首相への説得工作をしています。
トランプ氏も「カナダはアメリカの一部」などと言っている場合ではなく、交渉に見事に引き込まれているのです。私から見るとカナダの現政権はこの交渉がうまく行かなければ単に政権交代となるリスクを抱えるだけでなくカナダは永遠にアメリカの配下になりかねず、それだけは絶対に避けるべく、国民の期待を一手に背負っている緊張を感じるのです。交渉はまた、どれだけロジカルに落とし込めるかが勝負であり、誰にでもきちんと説明できる透明性も必要です。この最大の山場、交渉成立なら私だって祝杯をあげたい、そんな気持ちです。
後記
私は10月から持ち株会社へ移行するため専門家チームを組成して作業の真っただ中ですが、不動産鑑定が完了し、報告を読み込んだところ、正直酷い論理構成であります。私は今回の鑑定は低めで欲しいとお願いしたのですが、低すぎるほどの数字が出てきています。ただあまりに論理破綻しているのでこれは当局の審査が入った時バトルできないと鑑定士に指摘するとあっさり非を認めました。私は鑑定士も嫌がる顧客ですが、最後当局との闘いは私が矢面に立つのです。署名された鑑定書を受領したのも私だろう、ということになるのです。ということは専門家の報告と言えども詳細の検討が必要で、私も戦わねばならないということです。鑑定料、350万円払ったから大丈夫だろうでは済まされないのがこの世界とも言えます。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年8月22日の記事より転載させていただきました。







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