ザルツブルクで絶品シリア料理!マクルーベと嬉しいサプライズ

出口理佐です。

ザルツブルク音楽祭のために、旧市街で滞在していたホテルのすぐ近くに、以前から気になっていたレストランがありました。

シリア料理の「Eleven Eleven」です。

本格的シリア料理レストラン、Eleven Elevenのテラス席

店の前を何度か通るたびに、「ここ、ちょっと気になる」と思っていました。ザルツブルク音楽祭のコンサートを聴いた日のランチに、ようやく訪れてみることにしました。

茄子と牛肉に惹かれて「マクルーベ」

Eleven Elevenは、ザルツブルク旧市街のKaigasseにあるシリア料理店です。家族経営のお店で、シリア出身のAlhaddad氏がシェフを務めています。オーストリアのグルメガイド「Falstaff Streetfood Guide 2026」では100点満点中、92点を獲得しています。

オーストリアグルメ誌falstaff、2026年に92点獲得!

メニューにはフムスやファラフェル、キッベなど、中東らしい料理が並んでいます。

その中で私の目が止まったのが、「Maklubeh(マクルーベ)」19.9ユーロ。

ご飯、茄子、牛肉。

好きなものばかりの組み合わせです。これは食べてみたい、とすぐに決まりました。

最初はテラス席に座ったのですが、この日は日差しが強く、かなり暑かったので、注文したあと店内のテーブルに移動させてもらいました。

やがて運ばれてきたマクルーベは、ご飯がこんもりと盛られ、その上と周囲を大きな茄子が覆っています。

シリア料理の代表格のマクルーベ。ご飯、茄子、牛肉。牛肉のうまみが染み込んだ炊き込みご飯のよう。
最初はそのままで、お好みでヨーグルトを少しつけてみるのも良し。ヨーグルトは結構酸味が強かったです。

中を崩してみると、牛肉がゴロゴロと出てきました。

長粒米は一粒一粒がさらりとしていて、牛肉の旨味とスパイスがほどよく馴染んでいます。柔らかく火の通った茄子との相性も抜群です。添えられたヨーグルトを少し加えると、爽やかな酸味が加わって、また違った味わいになります。

これが、本当に美味しい。食べている途中、思わずお店の方に、

「This is delicious!」と伝えました。そして日本語でも、「美味しい!」

もちろん日本語は分からないと思いますが、表情で十分に伝わったのでしょう。お店の方は、とても嬉しそうにしていました。

「angel hair」って何?

マクルーベだけでも十分満足しましたが、デザートメニューに興味深いものを発見しました。

「SNOW BALL」9.9ユーロ。

シリアンアイスに「angel hair」、ミルク、ピスタチオ、そしてローズウォーターを合わせたデザートです。メニューの説明で特に気になったのが、ローズウォーター。

以前モロッコを旅行した時、ローズウォーターを作っているところを訪ね、そこで買い物をしたことがあります。懐かしくなり、「これは食べてみなくては」と注文しました。

出てきたSnow Ballを見て、まず驚きました。アイスの周りを、白く細い糸のようなものがふわふわと覆っています。これが「angel hair」。

シリア料理のデザート、エンジェルヘアー。
材料はミルク、ピスタチオ、ローズウォーター。特にローズウォーターという言葉にひかれて注文。

口に入れてみると、日本の綿あめに似ています。砂糖でできているようで、口の中に入れた途端、さっと溶けてなくなります。

そしてシリアンアイスも面白い。普通のアイスクリームとは違い、かなり粘りがあります。スプーンで引っ張ってみると、びよーんと伸びました。中にはピスタチオもたっぷり入っています。

では、楽しみにしていたローズウォーターは?

「どこにいるの?」

探してみましたが、私にはほとんど感じられませんでした。ピスタチオやミルク、甘いangel hairの中に、ひっそり隠れてしまったのでしょうか。ローズウォーターを期待して注文したので少し拍子抜けしましたが、伸びるアイスと、口の中で一瞬にして消えるangel hairという対照的な食感は、とても楽しいものでした。

初めて食べるシリアのデザートとして、大満足です。

テラス席にいたのは、まさかのウィーン・フィル

そして食事の途中、さらに思いがけない出来事がありました。ふとテラス席を見ると、どこかで見覚えのある方々が座っています。

8月23日のウィーンフィルは、ティーレマン指揮、ハーデリヒのバイオリンで、ブラームスのバイオリン協奏曲、休憩後はブラームスの交響曲第1番。
前半、ハーデリヒのバイオリンの弦がプツンと切れて、演奏中断、数分後再開。
後半の交響曲では、前方のお客さんが倒れて運びだされるという2つのハプニングがありました。びっくりです。

この日の午前中、ザルツブルク音楽祭で聴いたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーでした。つい先ほどまでステージの上で演奏していた方々です。

お食事中なので邪魔にならないタイミングを見て、

「素晴らしいコンサートでした!」

と声をかけました。

「Thank you!」

と笑顔で返してくれました。

実はこの日のコンサート、素晴らしい演奏だっただけでなく、珍しいハプニングがいくつもありました。

最大のハプニングは、ヴァイオリンのソリストの演奏中に弦が切れ、演奏が中断したこと。

さらにブラームスの交響曲では、最前列付近で体調を崩した観客が出て、周囲の観客や劇場スタッフに抱えられて退出するという出来事もありました。

ライブのコンサートでは、何が起こるか分かりません。そこでウィーン・フィルの方々に、「でも、今日は驚くことがたくさんありましたね!」

と言うと、「本当にそう!」という様子で苦笑していました。

演奏していた側にとっても、やはり忘れられない公演だったようです。ほんの少し前まで世界最高峰のオーケストラの一員として舞台に立っていた音楽家たちが、終演後には街のシリア料理店のテラスで普通にランチを食べている。

そして、そこで観客と言葉を交わす。世界的な音楽祭が開催されている一方で、街を歩けば演奏家たちの日常とふと交差する。そんな距離の近さも、ザルツブルク音楽祭の楽しさなのかもしれません。

何となく気になっていたEleven Eleven。入ってみたら、マクルーベは予想以上に美味しく、初めてのシリアンアイスには驚かされ、最後にはウィーン・フィルのメンバーとの思いがけない交流までありました。

旅先では、有名な観光地や予約して出かけるレストランだけが思い出になるわけではありません。「ちょっと気になる」そんな直感で入った一軒のお店が、忘れられない場所になることもあります。

Eleven Elevenは、私にとってそんな一軒になりました。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント