【全米オープン予選】36歳の錦織圭、最後の四大大会は20歳の坂本怜に敗れる

日本男子テニスの歴史を変えた錦織圭が、四大大会の舞台に別れを告げた。

今季限りで現役を引退する錦織は、全米オープン男子シングルス予選決勝で、20歳の坂本怜に4-6、6-7(3)で敗れた。主催者推薦で予選に出場した錦織は2試合を勝ち抜いたが、あと1勝で届く本戦出場はならなかった。一方、坂本は初の全米オープン本戦出場を決めた。

錦織圭選手

19本のエースに屈した錦織

試合では、195センチの長身から繰り出す坂本の強烈なサービスが威力を発揮した。坂本は19本ものサービスエースを記録し、錦織を押し込んだ。

それでも錦織は簡単には引き下がらない。巧みなリターンやコースの打ち分けで対抗し、第2セットはタイブレークに持ち込んだ。全盛期を思わせるラリーも随所で見せ、両者が全力で打ち合う展開に観客から大きな拍手が送られた。

最後は坂本のパワーが上回ったが、錦織は最後まで世界ランキング4位まで上り詰めた選手の技術と勝負勘を見せた。

全米オープンは錦織にとって特別な場所

全米オープンは錦織にとって最も思い出深い四大大会だ。

2014年には準決勝でノバク・ジョコビッチを破り、アジア男子として初めて四大大会シングルス決勝に進出した。世界ランキングも最高4位まで上昇。男子テニス界を支配していたジョコビッチ、フェデラー、ナダルらと互角に戦い、日本人でも世界の頂点を目指せることを証明した。

錦織以前、日本男子が四大大会で優勝争いをする姿は現実味を持って想像しにくかった。その常識を変えた功績は大きい。

錦織を見て育った坂本が錦織を倒す

そして今回、その錦織の最後の四大大会を終わらせたのが、錦織を見て育った若い日本人だった。

試合後、2人はネット越しに抱き合った。錦織は「負けたのはうれしくないけど、怜が勝ったのはうれしい」と語り、後輩を称えた。

錦織に勝つことを目標としてきた世代が、今度は錦織を倒して世界へ進んでいく。スポーツにおける世代交代として、これほど象徴的な場面もないだろう。

「錦織の次」をつくる世代へ

試合後には全米オープン側がセレモニーを行い、錦織のこれまでの功績をたたえた。

もちろん、坂本が1試合勝っただけで「錦織二世」と呼ぶのは早い。世界4位、四大大会準優勝という錦織の実績は、日本男子テニスにとって依然として巨大な壁である。

しかし錦織が残した最大の遺産は記録だけではない。「日本人でも世界で勝てる」と次世代に信じさせたことだ。

ニューヨークで錦織の四大大会は終わった。その最後の相手だった坂本は、本戦という次の舞台へ向かう。

一つの時代が終わり、そのコートから新しい時代が始まった。

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