再エネを説いてきたビッグテック、AI時代は天然ガス・原発頼み

長年、米国の巨大テック企業は風力・太陽光発電の最も熱心な支持者でした。マイクロソフトは2030年までにカーボンネガティブを実現すると宣言し、メタは企業の再エネ100%調達を掲げる国際イニシアチブ「RE100」に加盟していました。シリコンバレーは再エネプロジェクトに巨額を投じ、化石燃料に対する政治的キャンペーンにも影響力を行使してきたのです。

ところがAIの登場で状況は一変しました。これまで他者に化石燃料からの脱却を説いていた企業自身が、天然ガスをいくらあっても足りないと渇望するようになったのです。

こうした米国の企業動向について、Truth in Energy and Climateの代表を務め、ウィスコンシン州上院議員も務めたフランク・ラシー氏が、面白い記事を掲載しています。

Big Tech Loved Green Energy–Until It Needed Reliable Power

Big Tech Loved Green Energy-Until It Needed Reliable Power - The Daily Signal
For years, America's biggest technology companies were the loudest corporate cheerleaders for wind, solar, and renewable...

我が国のエネルギー政策にも影響を与えそうな記事なので、その要約を以下に紹介します。

マイクロソフトとメタの「転向」

今年6月、マイクロソフトはシェブロンと20年契約を締結した。テキサス州リーブス郡でデータセンター専用の天然ガス発電施設(通称「プロジェクト・キルビー」)を建設する計画で、想定容量は約2.7GW——大型原子炉2基分に相当する。初発電は2028年後半を予定している。

重要なのは、この発電所が「ビハインド・ザ・メーター」方式、つまりテキサス州の送電網に接続せず、データセンターに直接給電する設計になっている点だ。20年契約は「つなぎの燃料」ではなく、事実上の「結婚」に等しいと筆者は評する。

メタはさらに踏み込んだ。ルイジアナ州リッチランド・パリッシュの「ハイペリオン」キャンパスは計算能力5GW規模に拡大中で、メタはエンタジー社の新設ガス発電所約10基、合計約7.5GW分の費用を負担している。これは小規模な州一つ分の電力に匹敵する。

そして先月、メタは約10年間加盟していたRE100を脱退した。同社は依然として証書や契約を通じて年間ベースで電力使用量を再エネで「相殺」していると主張するが、それは風の止んだ深夜2時に実際に発電することとは全く別の話である。 

責めるべきではなく、直視すべき

ラシー氏は、マイクロソフトやメタを非難してはおらず、むしろ、事実を直視した判断だと評価する。

AIは24時間365日、絶え間なく電力を消費する。巨大なサーバーホールは、風が吹いているかどうかや政治家の公約など気にしない。数千億ドルもの自社資金がかかったとき、ビッグテックは多くの政策立案者がまだ避けている現実——「いつか来るかもしれない電力」と「必要な時に確実に来る電力」とでは全く別の商品である——を理解しているのだ。

企業が「サステナビリティ報告書」に何を書くかではなく、実際に金をどこに投じているかを見よというのが筆者の主張である。

原子力回帰も加速

必要とされているのは「確実な電力」であり、現在それは天然ガスを意味し、ますます原子力をも意味するようになっている。

マイクロソフトは、ペンシルベニア州のスリーマイル島原子炉を再稼働させる20年契約を結び、メタはイリノイ州のクリントン原子力発電所と20年契約を結んだ。両社とも風力・太陽光の購入は続けているが、それこそが論点だと筆者は指摘する。

AIは再エネが無価値であることを証明しているのではなく、再エネが「常時発電できない」ことを証明しているのだ。

ラシー氏はこれを車の例えで説明する——ある家族が、ガソリン代のかからない車を新しく手に入れたとする。ただし一つだけ欠点があり、その車は天候が良い日しか走らない。だから、いつでもどこへでも移動したい家族は、この車を買ったからといって、これまで使ってきた確実に動くガソリン車を手放しはしないのだ。 

すべての料金負担者を悩ませるべき問題

ここからが本題である。現在開発中のデータセンター容量のうち約4分の1が、自前の発電設備をオンサイトで建設する計画だという。追跡対象の59プロジェクトで合計約90GWに上る。つまりビッグテックは単に信頼できる電力を「買っている」だけでなく、自らのロビー活動が招いた「より不安定で高コストな」送電網から、事実上「抜け出す」ことに投資しているのだ。

一般家庭、工場、病院、農場にはそのような選択肢はない。彼らは政策が作り上げたシステム——天候依存の発電を積み増しながら、需要に応じて稼働できる石炭・原子力発電所を退役させてきたシステム——に取り残されている。料金負担者は「二つのシステム」の費用を払いながら、実際には「一つのシステム」しか得られていない。

米国の平均電気料金は2022年以降上昇を続けており、電力会社はデータセンター向けの発電所や送電網整備のために、数十億ドル規模の投資を規制当局に承認するよう求めている。もしデータセンター需要が期待通りに伸びなければ、そのコストは誰が負担するのか。

同じ基準をすべての需要家に

ラシー氏は率直に問いかける——ビッグテック自身が、確実な電力には20年契約や数十億ドル規模の投資に見合う価値があると身をもって証明しているのに、行政はその同じ論理を工場や病院、農場、家庭にまで広げようとしない。

こうしたルールを定めるのは州議会議員や規制当局である。彼らは実際に供給される容量にこそ対価を払う仕組みを作り、電力の価格を正直に設定し、まだ必要とされている発電所の退役を強制する政策を止めることができる。

ラシー氏は最後にこう締めくくる。AIが人類にもたらす最初の偉大な貢献は、コードを書くことでも質問に答えることでもないかもしれない。むしろそれは、私たちが忘れてはならなかったはずのこと——「電力は、必要な瞬間にそこにあって初めて価値を持つ」という当たり前の事実を思い出させることかもしれない、と。

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