会社が副業を認めるのは、あなたに「自由」を与えるためではない

最近、副業を認める会社が増えています。パーソル総合研究所の2025年調査によると、社員の副業を認めている企業は64.3%に達しました。正社員で実際に副業をしている人も11.0%と、調査開始以来の最高水準です。

いい時代になりました。会社員は昼間に会社で働き、夜は自宅で副業をし、休日にはスキルアップに励む。しかも企業はそれを「多様な働き方」と呼んで応援してくれるのです。

昔の会社は「副業するな」と言った

ほんの少し前まで、日本企業の多くは副業を禁止していました。「本業に集中しろ」
「会社への忠誠心が足りない」という世界です。

会社員は会社に人生を預け、その代わり会社も定年まで社員の面倒を見る。給料は年齢とともに上がり、最後には退職金も出る。だから会社は堂々と「他では働くな」と言えたのです。

ところが今、その前提が崩れました。会社は「副業してもいいですよ」。ずいぶん寛容になりましたが、これは「うちだけを頼りにしないでください」という意味です。

「自律的キャリア」という便利な言葉

最近、企業の人事資料を見ると、やたらと「自律」という言葉が出てきます。

自律的キャリア。
自律的学習。
自律的な働き方。

社員が自律するの悪いことではありませんが、この言葉は会社にとって便利です。昔なら会社が研修を用意し、配置転換を考え、社員を育てていました。今は「自律してください」となります。

そして会社の業績が悪くなれば「あなたも自律的に次のキャリアを考えてください」となるわけです。

副業解禁は終身雇用の卒業証書

もちろん副業は悪いことではありません。収入源を複数持つことはリスク分散になりますし、会社の外で自分の実力を試すことにも意味があります。むしろ今後は、副業できる人ほど強くなるでしょう。

問題は、副業解禁を単純に「会社が社員の自由を尊重するようになった」と受け取っていいのかということです。会社が社員の副業を認めるようになった背景には、企業自身が社員の人生を最後まで保証できなくなった現実があります。

昔の会社は「定年まで面倒を見るから、うちだけで働け」と言いましたが、今の会社は「いつまで面倒を見られるか分からないので、外でも働いてください」と言います。それは「そろそろ会社だけに頼るのはやめてくださいね」という、かなり丁寧な予告なのかもしれません。

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