2月の衆議院選の際、突如生まれ、船出した中道改革連合がわずか7か月で難破してしまいました。旧立憲系21名、旧公民系28名の今後の行方が取りざたされており、現状、ありとあらゆるケースの憶測が渦巻いているといっても過言ではないでしょう。2月の選挙の際の野田氏と斉藤氏のあの自信に満ちた記者会見は私は当時から同床異夢で化けの皮以外の何物でもないと思っていました。ではなぜあり得ない2つがくっついたのか、といえば斉藤氏の嫌高市姿勢、及び、野田氏の悪い癖である妙な「男気」の融合だったと考えています。

中道改革連合・小川淳也代表
野田氏の「男気」はあの有名な安倍氏と野田氏の党首討論での電撃的な解散表明が著名ですが、その流れを見事に汲んだ中道設立は野田佳彦政治の真骨頂と言ってよい不滅の業績、金字塔、マスターピースであります。(もちろん皮肉です。)
一方の公明の斉藤氏は山口那津男氏という公明党の看板党首が超長期にわたり顔役になり、創価学会と政治と自民党との関係をバランス感覚をもってドライブしてきました。その間、池田大作氏の死去、学会員の減少を通じた公明党の存在意義が薄れ、山口氏が党首を降りた時は公明党の体を維持できるのか、という状況にあったと思います。石井啓一氏が一瞬、党首を引き継ぐも選挙で落選、斉藤氏にバトンタッチされるという経緯もありました。その斉藤氏は党首のタイプではなく駆け引きがヘタだったのでしょう。自分の信義が表に出てしまい、自民党との決裂となったわけです。その点、公明党は不幸な道筋を歩んでいるとも言えます。
「生みの苦しみ」ならぬ「生んだ後の苦しみ」の最中にある中道の誤算で7か月たった今、その行方が分割か分裂とされます。分割は所属議員がそれぞれ違う党に移り中道が消えることです。これのデメリットは事務手続き上、政党交付金がすぐに出ず、10月の臨時国会には間に合いません。分裂の場合、中道という母体は残るので資金の問題は回避できるも、寒空の中、出ていく政治家が不利になるとされます。このあたりの話はもっと詳しい人がいると思うのでそちらにお任せします。
私が今日、述べたいのは野党はなぜ、野合になったのか、であります。
この答えはリベラルという言葉に集約されると考えています。話はアメリカの民主党。なぜ近年の民主党は元気がないか、と言えば民主党内部の考えが一つも統一されないからです。それこそ、極左から中道までばらばら、そしてリベラルですので誰に手を差し伸べるか、という点で基本はばら撒きであり、その重点配慮の価値観の相違が生じるのです。
その背景は今は景気が良いことにあります。リベラル思想が強い時は主に景気が悪い時で多くの人が何らかの救いの手を求めている時が多いものです。アメリカの貧富の格差が大きくなり、1対99%の議論をしていたような頃です。今のアメリカは雇用もよいし、経済成長も安定しています。故にリベラルに頼るより福音派になりメガチャーチでコンサートもどきの礼拝にでも行っている方が楽しいのであります。
日本もこの話を当てはめるとなるほどピッタリ来ます。民主党政権の時は人々の夢も希望もなく、「日本にいたくない」「年金なんて将来もらえないから払わない」「非正規雇用の悲劇」などがメディア上に踊り、最悪のムードだったのです。故にリベラル的な思想でバラマキはありがたいということであります。
その後、安倍政権は保守的な面も見せましたが、自民党式ポピュリズム政治もあり、岸田氏がそれを引き継ぎ、完成させたのであります。では石破氏はなぜ不評だったかと言えば当時は既に景気が回復期にあり、石破氏のようなリベラル思想は時代にマッチしなかったと考えています。これが岸田氏と石破氏の大きな違いだと考えています。よって今の高市氏はリベラル思想のかけらもないのに高支持率となっていると分析しています。
一方の日本の野党は基本思想は昔の社会党であり、世界に名だたる日本型社会主義をベースにしたものです。特に弱いものをどう守るか、という思想が強かったのですが、近年、あらゆる方面で政党の主義主張の区別なく社会で不十分な分野を修正していく政策が広く取られています。つまり弱い部分には素早い救いの手が伸びやすい仕組みができたのです。企業は正規雇用を増やし、賃金を引き上げ、子育てをしやすくしています。女性も高齢者も雇用の機会が圧倒的に増え、休みも取りやすくなりました。これらはほんの一例でしょう。ここまでやられると野党の出る幕が少なくなるのです。
国民民主党の大ヒットと言える税金の控除額の引き上げ「103万円の壁」のぶち抜きは素晴らしい政策だったと思いますが、次が出にくいのは日本はこの10数年、政策が実質的にリベラル寄りの中道路線だったことでもう相当やり尽くしてきた感があるからだと考えています。
よってこのままでは野党が生きる術がない、つまり野党が野党らしく共鳴できるような主張がしにくくなる、これが現状なのだと思います。もちろん、野党は必要で与党の政策や主張に対して修正を施す良きアドバイザーや調整役にはなるでしょう。ですが、与党にはなり得ない、これが今の野党が置かれている環境ではないでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月2日の記事より転載させていただきました。






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