性犯罪の被害者を救済するためにつくられた不同意性交等罪が、今度は美人局(つつもたせ)の武器として利用されるケースが増えている。

暴力団より怖い「警察に行くわよ」
2025年12月、沖縄県那覇市でデリバリーヘルス従業員の女性が恐喝容疑で逮捕された。報道によると、彼女はホテルでのサービス終了後、男性に対して「不同意で性交された。警察に訴えたら捕まるよ」などと告げ、示談金として150万円を要求し、5万円を脅し取った疑いが持たれている。(弁護士ドットコム)
実に現代的な美人局である。昔の美人局なら、ホテルを出たところで怖そうな男が現れ、「俺の女に何をした」と凄むのが定番だった。ところが令和版はもっと洗練されている。怖そうな男など必要ない。「不同意性交で警察に行くわよ」。この一言でいい。
不同意性交等罪は2023年7月に施行された。従来の強制性交等罪などを再編し、「同意しない意思を形成し、表明し、または全うすることが困難な状態」に乗じた性交などを処罰する制度である。暴行・脅迫だけでなく、飲酒、睡眠、恐怖、社会的な立場による影響など8類型が示されている。(法務省)
性犯罪の被害者を救済するという目的はいいが、性行為はたいてい密室で行われる。「同意した」「同意していない」という話になれば、第三者が客観的に確認することは難しい。その構造自体が、恐喝にはきわめて都合がいい。
「逮捕されるかもしれない」が示談金をつり上げる
ある事件では、男性が性交後に不同意性交等罪で逮捕され、最終的に1000万円近い慰謝料を支払ったという。また別のケースでは、会社経営者が「報道されれば会社がつぶれる」と考え、1000万円を超える示談金を支払ったとされる。(弁護士ドットコム)
これらが実際に美人局だったと司法的に確定したわけではないが、刑事弁護の現場でこうした懸念が出ていること自体は無視できない。
不同意性交等罪の法定刑は5年以上20年以下の拘禁刑である。会社員なら逮捕されただけで勤務先に知られる。実名報道で社会的生命を失う。裁判で争うと何年もかかるので、1000万円を払ってでも終わらせようとする。そこに美人局のビジネスチャンスが生まれる。
反社に「最強兵器」を与えてしまった
2026年6月、17歳の少女を使って男性から金銭を脅し取ったとして、男らが恐喝容疑で逮捕された。グループは男性に「警察に行くか」などと迫ったうえ、生成AIが回答した「不同意性交の示談金相場200万円程度」という画面まで見せていたという。(ITmedia)
北海道で刑事弁護に携わる中村憲昭弁護士は、もしこうした法律が反社会的勢力などの「シノギ」に使われているのであれば、制度上の問題だと指摘している。(弁護士ドットコム)
「不同意性交」という曖昧な(当事者しかわからない)概念で「疑わしきは被告人の利益に」という刑事司法の原則を破る不同意性交罪は、反社に悪用されるだけで、ほとんどメリットがない。廃止すべきだと思う。







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