木梨憲武さん「ベンツルーフへこませ動画」切り抜きの怖さとABEMAの昭和感

4カ月前の映像が突然「炎上」

とんねるずの木梨憲武さんが、ラッパーSHOさんのゴールドのメルセデス・ベンツに乗り、ルーフをへこませた映像がSNSで拡散し、「老害」「昭和の悪ノリ」などと批判を浴びました。

問題の場面は、2026年4月25日にABEMAで配信された『木梨レコード』#30です。ゲストには元アルペンスキー選手でラッパーのSHOさんが出演し、金色のベンツを披露していました。

短い切り抜きでは、木梨がさんルーフに乗って体を動かし、SHOさんが苦笑いする姿が映っています。この部分だけを見れば、「大御所芸人が若い出演者の愛車を勝手に壊した」と受け取られても不思議ではありません。

実際にはSHO氏が「ここに座るとかっこいい」

しかし、フル動画を見ると印象はかなり変わります。

木梨さんが突然、勝手にベンツへ登ったわけではありません。SHOさん自身が「ここ座るとかっこいい」と木梨さんに勧め、番組レギュラーのAshley氏もさらに上へ行くよう盛り上げています。

SHOさんは車体について「意外と戻るんですよ」といった趣旨の説明もしており、木梨さんもへこむことを気にしながら慎重に動いていました。

つまり、短い動画から広がった「木梨さんが一方的に暴走した」という印象とは異なり、番組・出演者全体で盛り上げる流れの中で起きた出来事だったことが分かります。

SHO氏が「我慢した」も事実

もっとも、「何も問題はなかった」と考えるのも単純すぎます。

SHOさん自身もXで、収録中だったため自分が怒って帰れば誰も得をしないと考え、「男には我慢する時もある」という趣旨の心境を明かしました。実際に車はへこみ、修理費については番組側が負担しています。

SHOさんは木梨さんを車に乗せる流れには積極的に参加していたものの、結果的には想定以上の展開になり、複雑な気持ちもあったのでしょう。そのため、この一連の経緯を見ても不愉快に思った人も多いようです。

それでも、こうした前後の事情をすべて省き、「木梨が嫌がるSHO氏の高級車を勝手に壊した」と一本の物語にしてしまうのは、実際の状況とはかなり違うのかもしれません。

30秒で人を「悪人」にできる時代

今回の騒動で考えるべきなのは、木梨氏の芸風の是非以上に、切り抜き動画の危険性ではないでしょうか。

映像そのものが本物でも、前後を削れば意味は大きく変わります。相手が促した場面を削れば「強要」に見え、困った表情だけを残せば「被害者」に見せることもできます。

生成AIによるフェイク動画が警戒されていますが、本物の映像でも編集次第で別の物語を作ることができます。今回も、短い動画では木梨氏への批判が殺到しましたが、フル動画が確認されると「話が違う」という声が増えました。

ABEMA側の「昭和的なノリ」も問われる

ただし、だからといってABEMA側に問題がなかったわけではありません。そもそも出演者の高級車に乗り、へこませるところまでを「笑い」として成立させようとする番組スタッフの感覚にも、かなり旧態依然としたものがあります。

出演者同士がある程度了承していたとしても、物を壊したり、相手が困る状況を作ったりすることで笑いを取る演出は、かつてのテレビでは珍しくありませんでしたが、現在の視聴者には受け入れられにくくなっています。

しかも今回は、結果として修理費を番組側が負担する事態になりました。切り抜き動画が木梨氏だけを「悪人」に仕立てたことは問題ですが、その素材となるような場面を番組自ら作っていたことも忘れるべきではありません。

30秒の映像は事実でも、30秒に編集された「物語」が事実とは限りません。そして今回の騒動は、切り抜き動画の危うさとともに、制作現場に残る古い笑いの感覚も浮き彫りにしたと言えそうです。

ABEMA TV 木梨レコード より

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