日本でライドシェアや自動運転が広がらない理由

内藤 忍

ロサンゼルスでは移動にはタクシーではなく、もっぱらUberを利用しました。料金も事前にわかりリーズナブル。行き先も地図で確認できますから、タクシーのように口頭で伝えて間違えることがありません。

料金は事前に確定しておりドライバーの評価も表示されていますから、劣悪ドライバーに車内でのトラブルに巻き込まれる心配も不要です。

また、ライドシェアだけではなく、自動運転のWaymoのサービスも街中で当たり前のように見かけます。

日本からの旅行者も観光気分でアプリを使って乗車し、無人でハンドルが切り替わる様子をSNSの動画に投稿していたりします。

LAのダウンタウンで比較してみましたが、料金はUberと比べて決して安いわけではなく、私が現地で予約しようとした時は2人しか乗れませんでした。また、利用できるエリアにも制約があり、ロサンゼルスのホテルから空港までにはUberしか使えませんでした。

しかし、ドライバーとの会話に気を遣う必要がなく、安全性も人間がコントロールするよりも高いと思います。

LAなどではポピュラーなライドシェアや自動運転が日本ではなかなか進まないのはタクシー業界などの政治的圧力があるからと言われます。

自動運転はそもそも認可されていませんし、ライドシェアは骨抜きです。日本のUberはライドシェアではなく実質的にはタクシーと同じです。

日本国内でこのような新しい輸送サービスの導入が進まない最も大きなハードルは規制による壁よりも日本人の安全性に対する歪んだ意識ではないかと思います。

ライドシェアに関しては、素人が運転するからタクシーよりも危険だと考えている人が多いそうです。

私に言わせればクオリティに大きなばらつきがあるタクシー運転手よりも毎回乗客に評価の点数がつけられるライドシェアのドライバーの方がよっぽど安心です。

また、自動運転も人がいないと危険だと思い込んでる人がいます。

しかし人間のドライバーが運転するタクシーであっても、事故はゼロにはなりません。統計データによれば、むしろ自動運転の方が安全性が高いとされています。

ところが自動運転で事故が起きるとメディアが大騒ぎして危険性を過大に伝えます。タクシーはそれよりも多く事故が発生しているにも関わらず報じることはありません。

もしタクシー業界が規制によって自動運転のサービス導入が進まれないのであれば、路線バスから導入してはどうでしょうか?

路線バスの運転手は、タクシー業界に人材が流れ人手不足だと聞きます。

また、路線バスであれば同じコースを走ることになりますから技術的には導入のハードルも低く、安全性の懸念も低いはずです。

政府はお金のかかる「責任ある積極財政」の前に、お金のかからない規制緩和によって日本経済の成長戦略を進めて欲しいものです。

 


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年9月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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