買春の犯罪化で「美人局」が増えて反社が繁盛する

売春防止法が約70年ぶりに大きく見直されようとしている。議論の焦点の一つが、これまで処罰されてこなかった「買う側」をどう規制するかだ。

法務省の検討会が8月24日に示した報告書案では、成人同士の合意に基づく買春そのものを犯罪化することは見送られたが、買う側の「勧誘等」には何らかの規制を設ける方向が示された。

産経新聞

「警察に言うぞ」が美人局の脅迫カードになる

最も分かりやすいのが「美人局」である。最近も、15歳の女子高生を使った美人局が摘発された。

女性が男性をホテルなどに誘い込み、後から仲間の男が現れて「犯罪ですよ」「警察に行きますよ」「会社や家族に知られてもいいんですか」と迫る。そして数十万円、場合によっては数百万円を要求する。

不同意性交罪で美人局は容易になったが、買春が犯罪になれば、さらにやりやすくなる。被害者が恐喝されても、警察に駆け込めば自分も処罰されるかもしれないという状況になれば、泣き寝入りする人は当然増える。

反社にとっては夢のビジネスモデル

美人局をする側から見れば、これほどありがたい法改正もない。法務省の検討会でも、買春犯罪化の副作用として「美人局・恐喝被害の増大リスク」が指摘されている。

反社会的勢力が女性を使って組織的に美人局を行うケースや、ぼったくりグループが性風俗周辺に進出している実態も紹介されている。国が犯罪を減らすために法律を作ったはずなのに、その法律が恐喝犯の「営業ツール」になるのだ。

反社の立場から考えてみれば分かりやすい。女性をSNSで男性に接触させる。ホテルに誘導する。そこで「犯罪だ」と脅す。相手は警察に行きにくい。勤務先や家族への暴露もちらつかせる。現金を払わせれば終了である。

売春は消えず「見えなくなる」だけ

犯罪化のもう一つの問題は、市場の地下化である。買春を禁止したからといって、需要まで法律で消せるわけではない。表から見えなくなり、SNSや個人間取引、密室へ移動する可能性が高い。

そうなれば、かえって女性側の安全確認も難しくなる。合法・半合法の店舗なら、防犯カメラや従業員、第三者の目がある。しかし個人間の密室取引になれば、暴力や薬物、盗撮、人身取引などのリスクはむしろ高くなる。

もちろん児童買春や人身売買や暴力は厳しく処罰すべきだが、大人どうしの合意による取引を刑事罰の対象にする必要はない。先進国には売春を合法化した国も多く、ほとんどの国では犯罪として摘発しない。

「犯罪として禁止すればなくなる」というのは建て前で、現実には禁止された市場は地下化し、それを仕切る者が現れる。アメリカの禁酒法がマフィアを育てたのは有名な歴史である。買春犯罪化も、美人局と反社会的勢力の収益を守る法律になりかねない。

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