- ベッセント米財務長官が「タカイチノミクス」を「株主寄りで、とくに労働分野の大幅な規制緩和を伴い、政府の介入が少ない」と定義した。その「労働分野の規制緩和」の中身を全部原典に当てて調べた。
- 結論から言うと、日本の解雇規制は「厳しすぎる」のではなく「値札がない」。OECDの指標では日本2.10でOECD平均2.15を下回るが、それは日本がゆるいからではなく、払って辞めてもらう制度が存在しないから、指標に点がつかないだけ。
- 独仏英には法定の解雇補償金があって事前に電卓を叩ける。日本にあるのは労基法20条の30日分の予告手当だけ。退職金は平均1,896万円あるが法定ではない。だから経営者は動けず、配転と出向と早期退職募集でごまかし、最初から非正規で埋めようとする。
- しかも解雇されたあとの受け皿が世界最低水準。失業給付は12か月目にゼロ(デンマークは2年間50%を維持)、職業訓練など積極的労働市場政策の支出は対GDP比0.125%でデンマークの12分の1、米国のすぐ上。
- 一方で外国人は412万人で過去最高。なのに世論は2年で反対35.6%→56.3%に逆転し、特定技能の外食業はすでに上限に達して新規受入れが止まった。
- 生産年齢人口は2025→2040年で1,097万人減る。65歳以上のピークは2040年ではなく2043年、75歳以上は2055年。締め切りは2040年ではなく、その先まであと30年続く。
- 外国人もダメ、ロボットもダメ(これは別記事で書きます)、解雇もダメ。じゃあ誰が働くんだ。おまえら本気で死ぬ気かという話。
- で、具体的に何をどう変えるのかまで書きました。介護の人員配置特例は省令(大臣の一存)、労政審の三者同数は政令(閣議決定だけ・国会不要)、解雇の値札は法律1本。重さは3段階で違っていて、上の2つは1円もかかりません。ALMPをOECD平均に上げても約2兆円=補正予算の11%です。
こんにちは。永江です。
この記事は「日本の労働規制の正体」の話です。同じ取材から出てきた「自動運転がなぜ進まないのか」は昨日の記事に分けました。どっちも長いので。
ロイターが2026年8月30日に出した記事。見出しは「Bessent says yen moves ‘pretty contained’ and not disorderly」。記事の後半に「SHIFT TO ‘TAKAICHI-NOMICS’」という小見出しがあって、そこにこう書いてある。
Bessent said “Takaichi-nomics” is more shareholder-friendly with substantial deregulation made especially in the workforce, which means less government intervention.
(ベッセントは、「タカイチノミクス」はより株主寄りであり、とくに労働分野における大幅な規制緩和を伴うものであって、それはすなわち政府の介入が少ないことを意味する、と述べた)
Reuters, 2026年8月30日/David Lawder, Leika Kihara。なおこの一文はロイターによる間接話法で、引用符に入った直接の発言は「I think they should just sit back and enjoy the success of Abenomics and let that run」のほう。
つまりアメリカの財務長官は、高市政権の経済政策を「株主重視+労働規制の大幅緩和+小さな政府」でいけよと。これ、高市さんがやっている積極財政とほぼ正反対ですよね。看板だけ借りて中身を勝手に入れ替えられている。www
わたしが気になったのは真ん中の「労働分野の大幅な規制緩和」のほう。バラマキより規制緩和をやれというのはわたしがずっと言ってきたことだし、日本の経済学者の多くも同じことを言っている。で、その「規制緩和」って具体的に何を緩和することなんだ?一次資料で徹底的に調べました。

↑日本の経済専門家へのアンケート。日本経済が成長するには規制改革が圧倒的で、財政出動で成長するなんて言う人は3.2%しかいない。半分は人口減ってるのに成長なんてしないよといってます。金撒けばどんどん成長するというリフレ派はかなりの異端です。
OECDが出している雇用保護指標(EPL)という国際比較がある。正社員を個別に解雇するときの規制の厳しさを0〜6点で採点したもの。日本は2.10点で、OECD平均の2.15を下回っています。ドイツ2.22、フランス2.45、イタリア2.72、オランダ2.85。日本より低いのはデンマーク、イギリス、アメリカだけ。
OECD雇用保護指標(EPR)の国際比較。日本2.10はOECD平均2.15を下回る。「そんなバカな」と思いますよね。日本は倒産寸前でもない限り解雇なんてできないのに。
指標の中身を開けたら、答えが出ました。この指標は「解雇するときに法律でいくら払わせるか」に配点の19%を割いている。そして日本にはその制度がないので、この項目は0点です。OECDの日本ノートにはこう書いてあります。
Severance pay is not legally required.
(解雇補償金は法律上要求されていない)OECD EPL Database, update 2019「Japan」https://www.oecd.org/els/emp/Japan.pdf
日本にあるのは労働基準法20条の「30日前に予告しろ、しないなら30日分払え」だけ。これは手続きの話であって、解雇の補償金ではありません。
「じゃあ退職金は?」と思いますよね。日本企業の74.9%は退職給付制度を持っていて、大卒の定年退職者は平均1,896万円もらっている。でも退職金は法定ではない。労基法89条3号の2は「退職手当の定めをする場合においては」——つまり「制度を作るなら就業規則に書け」であって、払えとは一言も書いていない。
で、他の国はどうか。
| 国 | 解雇のときに払う金 | 水準 |
|---|---|---|
| 日本 | なし(30日分の予告手当のみ) | 値札そのものが存在しない |
| ドイツ | 解雇制限法§1a | 勤続1年につき月収0.5か月分。「3週間以内に訴えない」ことが条件。裁判所の解消判決なら上限12か月分(年齢・勤続により15〜18か月) |
| フランス | 解雇補償金+barème Macron | 月額賃金×勤続年数×1/4(10年超部分は1/3)。不当解雇の賠償は勤続に応じて上限1〜20か月分を法律の表で規定 |
| 英国 | 法定リダンダンシー・ペイ | 年齢別に週給の0.5〜1.5倍×勤続年数。2026年4月6日以降は週給上限£751、総額上限£22,530 |
| 米国 | なし(WARN法は60日前の予告義務のみ) | 個別解雇は原則自由 |
ドイツの§1aを見てください。「補償金を払う。その代わり3週間以内に訴えるな」という制度です。しかもこの0.5という係数は労働裁判所の和解相場としても機能していて、経営者も労働者も事前に金額が読める。フランスのbarème Macronはもっと露骨で、勤続年数ごとの賠償額の上限と下限が法律の表になっている。
ドイツなら「勤続20年なら月収10か月分払えば終わり」と事前に電卓を叩ける。フランスは法律の表を見ればいい。
日本は「客観的に合理的な理由」という抽象的な言葉と判例があるだけで、いくら払えば終わるのかを教えてくれる制度が存在しない。実際、厚労省が2025年11月に労働政策審議会へ出した資料によれば、同じ解雇でも解決金の中央値は労働局のあっせんで23.5万円(月収1.03か月分)、労働審判で150万円(4.74か月分)、裁判上の和解で300万円(7.27か月分)。どこに持ち込まれるかで13倍違う。
だから経営者は動けない。動けないから辞めるだろうなという配置転換と出向と早期退職募集でごまかす。ごまかせないから最初から正社員を採らずに非正規で埋める。
そしてOECDの指標は、その「値札がない」状態を「規制がゆるい」と採点する。これが2.10の正体です。
ついでに言うと、賃金も下げられません。労働契約法9条が「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働条件を変更することはできない」と定めていて、最高裁は賃金や退職金の不利益変更について「高度の必要性に基づいた合理的な内容」を要求しています(大曲市農協事件・昭和63年2月16日)。
解雇できない、賃金も下げられない、払って辞めてもらう制度もない。三重の縛りです。この状態で「賃上げしろ」と言われたら、経営者は基本給ではなく賞与で出しますよ。一度上げたら二度と下げられないんだから。

失業給付の純所得代替率の期間推移(左)と、積極的労働市場政策支出の対GDP比(右)。左のグラフ。失業給付の所得代替率だけ見ると日本は59%でデンマークと同じ。「意外と手厚いじゃん」と思う。でも12か月目でゼロになります。デンマークは2年間50%を維持する。率だけ比べて「日本のセーフティネットは中位」と書いている記事があったら、それは半分しか見ていない。
右のグラフはもっとひどい。職業訓練とか再就職支援とか、いわゆる積極的労働市場政策(ALMP)にいくら使っているか。日本は対GDP比0.125%。デンマークの12分の1、韓国の3分の1以下、アメリカのすぐ上です。
よく「デンマークのフレキシキュリティを見習え」と言われる。あれは①解雇規制がゆるい ②失業給付が最大90%で2年間 ③訓練にGDP比1.54%、の3点セットで成立しています。
日本は①だけ真似た形になっている。この状態で解雇を自由化したら、それは単に人を放り出すだけです。わたしも規制緩和論者ですが、ここは正直に書いておきます。
人手が足りないなら機械を入れればいい、という話になります。その典型例が介護です。
2024年度の介護報酬改定で、特定施設について人員配置基準を3対1から3対0.9に緩和できる特例ができました。テクノロジーを入れて生産性が上がったなら人を減らしていい、という制度です。要件は5つ(委員会の設置、見守り機器等のテクノロジーを複数活用、職員間の役割分担、3か月以上の試行、データを指定権者に提出)。
全国でいくつの施設が使っていると思いますか。たったの9ヵ所です。(2025年12月3日の内閣府・規制改革推進会議のワーキンググループで議論された数字。ただしこれは業界紙報道で、厚労省の集計原典は確認できませんでした)
なぜ使われないのか。同じWGに全国介護付きホーム協会が出した資料に答えが書いてあります。
取組前後で「総業務時間・残業時間」が1分でも増加すると、加算や特例の適用とならない全国介護付きホーム協会「品質の伴った生産性向上に資する規制改革のご提案」内閣府 規制改革推進会議 第7回 健康・医療・介護ワーキング・グループ(2025年12月3日)提出資料
同じ資料によると、調査対象45事業所では利用者満足度100%改善、心理的負担100%改善、業務時間31%改善という成果が出ている。それでも総業務時間が1分でも増えたら要件不適合。直接介護の割合が1%下がっても不適合になるケースがあるそうです。
新しい機械を入れたら最初は慣れるまで時間が増えるに決まってるでしょうが。その最初の1分を許さない制度を作っておいて、「介護現場でテクノロジー活用が進まない」と言っているww
機械が入らないなら人を入れるしかない。でもそっちも詰まっています。
今や日本はこう

在留外国人は令和7年末で4,125,395人。前年比+9.5%で初めて400万人を突破し過去最高。外国人労働者も2,571,037人で過去最高。「受け入れが進んでいない」は数字としては間違いで、流入は加速しています。
問題は世論です。東京大学社会科学研究所のパネル調査——同じ人を追跡するので世代交代による見かけの変化ではない——の結果。
「日本に定住しようと思って日本に来る外国人は、もっと増えた方がよい」への反対が、2024年35.6% → 2026年56.3%。性別・世代を問わず増加し、とくに1987年以降生まれで大幅に増えている。
早稲田大学のPOPIP調査(2025年11〜12月、発送9,000名・回答3,009名)でも、「外国人が増えると治安・秩序が乱れる」という懸念は2009年 約45% → 2021年 約65% → 2025年 73%。
立命館法学の村上剛氏の研究によれば、1980〜2023年の101問の世論調査では受け入れ選好スコアの83%が中間帯に収まっていた。43年間安定していたものが、この2年で崩れたということです。
政治もそれに乗りました。2025年7月の参院選で参政党が比例得票12.55%・14議席、日本保守党が5.04%・2議席。2026年2月の衆院選では自民が316議席で圧勝しましたが、参政党も15議席を維持しています。
高市首相は所信表明(2025年10月24日)で「外国人材を必要とする分野があることは事実です」「排外主義とは一線を画しますが」と述べていて、文言としてはバランスが取れている。ただし実際に動いている中身はこうです。
| 時期 | 実施済み・決定済みの措置 |
|---|---|
| 2026年4月 | 帰化の要件を「原則として10年以上在留」に引き上げ(運用開始) |
| 2026年4月 | 在留資格「技術・人文知識・国際業務」で日本語能力要件の審査を開始 |
| 2026年4月 | 在留資格「留学」で資格外活動の実態把握を開始 |
| 2026年6月 | 改正入管法公布(JESTA創設・在留資格変更等の手数料上限引上げ) |
| 2027年4月 | 永住者の在留資格の取消事由追加・経過措置廃止・公租公課不払いによる取消開始 |
| 2027年4月 | 育成就労制度 施行 |
2026年2月末現在の受入れ数が約4万6千人、上限が5万人。出入国在留管理庁が2026年3月27日にこう公表しました。
令和8年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書交付申請は不交付、在留資格変更許可申請も原則不許可。
制度上の上限が実際に新規受入れを停止させた、確認できる最初の事例です。飲食が含まれる接客・給仕職業従事者の有効求人倍率は2.30倍。人が足りないのに、上限で止めた。
JICAの推計では、2040年に必要な外国人労働者は688万人、供給ポテンシャルは591万人で97万人足りない。前回推計と比べると需要側が+14万人なのに対し供給側が−41万人。JICAの結論は「外国人労働供給ポテンシャルの減少が、需要量の増加よりも大きい」。
つまり本当のリスクは「日本が受け入れを拒む」ことより「日本が受け入れたくても、来てもらえなくなる」ことのほうなんです。こっちのほうが怖いでしょ。
生産年齢人口と高齢者人口の推移(社人研・令和5年推計、出生中位・死亡中位)。よく「2040年問題」と言われますが、正確ではありません。65歳以上のピークは2043年で3,953万人、75歳以上のピークは2055年で2,479万人。「2025年問題」の後に第二波が来る二峰構造で、まだ30年続く。
| 時点 | 何が起きるか |
|---|---|
| 〜2026年度 | 介護職員を年6.3万人増やす必要(2040年に向けた長期ペースの約2倍) |
| 2026年内 | 雇用保険制度の在り方について「結論を得る」(骨太2026) |
| 2027年4月 | 育成就労制度 施行 |
| 2040年 | 生産年齢人口が2025年比▲1,097万人。医療・福祉就業者が全就業者の5人に1人 |
| 2043年 | 65歳以上人口がピーク 3,953万人 |
| 2055年 | 75歳以上人口がピーク 2,479万人 |
そして人手不足はマクロの需給ではなく職種間のミスマッチとして出ています。2026年7月の有効求人倍率がこれ。
| 職業 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 建設躯体工事従事者 | 7.94倍 |
| 保安職業従事者 | 6.54倍 |
| 介護サービス職業従事者 | 3.82倍 |
| 自動車運転従事者 | 2.53倍 |
| 接客・給仕職業従事者 | 2.30倍 |
| 職業計 | 1.05倍 |
| 一般事務従事者 | 0.29倍 |
建設躯体7.94倍と一般事務0.29倍で、27倍の開き。事務職は余っていて現場は壊滅的に足りない。この人たちを動かすには辞めてもらって移ってもらうしかないのに、そのための制度がこの国には存在しない。
| 穴を埋める手段 | 現状 |
|---|---|
| 外国人を入れる | 世論の反対が2年で35.6%→56.3%。帰化は10年要件に。永住は2027年4月から取消可能に。外食業はすでに上限で新規停止。しかも2040年には97万人不足で、供給側が先に細る |
| 機械に置き換える | 介護の人員配置特例は全国9ヵ所。業務時間が1分でも増えたら適用外。自動運転は3年で10地域(これは別記事で詳しく書きました) |
| 余っている人を足りない職種に移す | 解雇の値札がなく、賃金も下げられず、転職支援予算はデンマークの12分の1、失業給付は12か月でゼロ |
全部詰まってるんですよ。外国人はイヤだ。機械を入れる特例は1分の超過も許さない。解雇はできない。賃金も下げられない。そして生産年齢人口は毎年73万人ずつ消えていく。
いったいどうすればいいんだ。おまえら死にたいのか。
……で終わると何も言っていないのと同じなので、ここから「じゃあ具体的にどの法律の何条を、どう変えるのか」を書きます。調べてみたら、1円もかからずに明日から変えられるものが2つありました。
ここまで「値札がない」と書いてきましたが、それがどの条文に書いてあるのかを全部特定しました。Claudeくん、ありがとう。
ひとつめ。労働契約法16条。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。労働契約法(平成19年法律第128号)第16条
効果は「無効」の一語だけ。金額のことは一文字も書いていません。
ふたつめ。日本の法律に書いてある解雇の金額は、労働基準法20条の「30日分」がすべてです。
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。労働基準法(昭和22年法律第49号)第20条
しかもこれは「予告の代わり」であって、解雇そのものの補償ではない。日本の法律には、解雇の値札が1円も書かれていません。
| 国 | 条文 | 書いてあること |
|---|---|---|
| ドイツ | 解雇制限法 §1a 第2項 | 「補償金の額は、労働関係の存続1年につき月収の0.5か月分とする」(労働者が3週間以内に解雇無効の訴えを起こさないことが条件) |
| ドイツ | 同 §9・§10 | 裁判所が労働関係を解消して補償金を命じられる(§9)。その額は原則12か月分まで、50歳超かつ勤続15年以上で15か月分、55歳超かつ勤続20年以上で18か月分(§10) |
| フランス | 労働法典 L1235-3 | 勤続年数ごとの賠償額の上限・下限が、条文に表として埋め込まれている。勤続20年なら下限3か月分・上限15.5か月分、勤続30年以上で上限20か月分 |
| フランス | 同 L1234-9/R1234-2 | 解雇が有効でも払う補償金。勤続8か月以上で発生し、10年目までは1年につき月給の1/4、10年目以降は1/3 |
| 英国 | Employment Rights Act 1996 s.162 | 勤続年数の各年について、41歳以上だった年は週給1.5週分、22歳以上なら1週分、それ未満は0.5週分。勤続20年が上限 |
| 英国 | 上限額(gov.uk) | 2026年4月6日以降、週給の上限£751、総額上限£22,530 |
| 日本 | —— | 該当する条文が存在しない |
フランスのL1235-3を初めて見たときは笑いました。法律の条文の中に、勤続年数と月数の対応表がそのまま貼ってある。勤続1年なら1〜2か月分、10年なら3〜10か月分、30年以上なら3〜20か月分。弁護士に聞かなくても、自分で計算できます。
解雇の解決水準の比較。日本の実績中央値と、ドイツ・フランスの法定水準・実務相場。日本の労働局あっせんの解決金は、中央値で月収1.03か月分。ドイツの実務相場(勤続20年で10か月分)の10分の1です。そしてあっせんは合意成立率37.1%、使用者側の不参加が42.7%。4割の会社は、話し合いのテーブルにすら来ない。
さらに、解雇を経験した労働者の44.9%が「制度をよく知らなかった」と答えている。値札がないうえに、値札を決める場所があること自体が知られていない。
「じゃあ制度を作ればいい」という話ですが、設計図はもう4年前にできています。厚労省「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」報告書(令和4年4月12日公表、検討会は17回)。
| 論点 | 報告書が整理したこと |
|---|---|
| 名前 | 「労働契約解消金」。「本来であれば継続していたはずの労働契約上の地位を、解雇紛争の解決のために手放すことに対する利益」 |
| 法的構成 | 形成権構成(労働者の意思表示で債権が発生し、支払時に契約終了)と形成判決構成(判決確定で債権が発生)の2案を整理 |
| 算定要素 | 定型的要素=給与額・勤続年数・年齢/準定型的要素=合理的な再就職期間/評価的要素=解雇の不当性の程度 |
| 上限・下限 | 「予見可能性を高める観点から、上下限を設けることが考えられる」。ただし具体的な金額水準は一切示していない |
| 権利行使 | 訴えの提起と労働審判の申立てに限定。労働審判で解消金債権を発生させる規律を設けることは「法技術上可能」 |
| 行使期間 | 「少なくとも2年程度の期間は確保する必要がある」 |
| 条文をどこに置くか | 記載なし。議論されていない |
そして報告書の「おわりに」がこれです。
本制度導入の是非については、労働政策審議会において、本制度が果たすと予想される役割やその影響などを含む政策的観点も踏まえて、労使関係者も含めた場で検討すべきものである同報告書 p.33「おわりに」
「労政審で検討すべき」で終わり。そこから4年、労働条件分科会で解雇の金銭解決が議題に上がったことは一度もありません。2025年11月18日の第205回分科会でようやくJILPTの実態調査が報告され、2026年に新しい検討会が設置される見込みだと報じられています(日経、2025年11月)。2015年の閣議決定から数えて11年目です。
ここが今回いちばん腑に落ちたところです。わたしはずっと「労働規制を変えるのは大変だ」と一括りにしていましたが、調べてみたら重さが全然違いました。
| やりたいこと | 変えるもの | ★必要な手続き |
|---|---|---|
| 介護の人員配置基準をもっと使えるようにする | 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第175条第9項(3対1を3対0.9にできる特例の要件を定めた規定) | 省令改正。厚生労働大臣の一存でできる |
| 労働政策審議会の三者同数をやめる | 労働政策審議会令(平成12年政令第284号)第3条第1項「労働者を代表する者、使用者を代表する者及び公益を代表する者のうちから、厚生労働大臣が各同数を任命する」 | 政令改正。閣議決定だけでできる。国会審議は不要 |
| 解雇に値札を付ける | 労働契約法に金銭救済の規定を新設(16条の後か別法かは未定) | 法改正(労政審→国会) |
| 失業給付の期間を延ばす | 雇用保険法第22条・第23条(現行の法定最長は330日) | 法改正 |
| 職業訓練の予算を増やす | 雇用保険法第63条(能力開発事業)、第60条の2(教育訓練給付)、求職者支援法 | 予算措置と省令中心。法改正なしでも増額できる |
ここは強調しておきます。「労使公 各10名の同数」という労政審の構成は、法律ではなく政令で決まっています。労働政策審議会令の第3条第1項に「各同数を任命する」と書いてあるだけ。
つまり内閣が政令を改正すれば、国会審議なしで変えられる。実際、2026年1月に官邸が作った「労働市場改革分科会」は労働側1名・使用者側2名・学識等8名で、三者同数の原則が適用されていません。やろうと思えばできるんですよ。やっていないだけで。
ちなみに介護の3対0.9の特例も、告示ではなく省令です。厚生労働大臣が「1分でも増えたらダメ」という要件を書き換えれば、明日にでも直せます。
「制度を変えたら何が良くなるんだ」という話を、数字でやります。まずいま起きていることから。
| いま起きていること | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 人手不足倒産 | 2025年度441件(前年度350件)。3年連続で過去最多。うち建設業112件(25.4%)、道路貨物運送55件、老人福祉22件 | 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」2026年4月9日 |
| 企業の雇用人員判断 | 全産業・全規模で▲37(不足超)、先行き▲40。中小企業は▲39→先行き▲43 | 日本銀行 全国企業短期経済観測調査(2026年6月調査) |
| 介護の人手不足感 | 65.2%(前年度比+0.5pt)。訪問介護員は83.4% | 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」2025年7月28日 |
| 介護職員数 | 令和4年度211.9万人 → 令和5年度210.6万人と減少。必要なのは年6.3万人増 | 厚労省「介護人材確保の現状について」令和7年5月9日 |
| 介護の離職率と採用率 | 離職率12.8%(2年連続低下)に対し、採用率は16.9%→14.4%と急落 | 同 介護労働実態調査 |
| 転職したいのにできない人 | 転職希望者は約1,000万人いるが、実際の年間転職率は男性約4%・女性約6% | 内閣府「令和7年度 年次経済財政報告」 |
辞める人は減っているのに、入ってくる人がもっと減っている。それが介護の現場で起きていることです。そして人手が足りなくて潰れた会社が2025年度に441件、うち建設が4分の1。有効求人倍率が7.94倍の分野で、企業が潰れている。
日本の積極的労働市場政策の支出は対GDP比0.125%。OECD平均は0.41%(2023年)。ここに合わせるといくらかかるか。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 名目GDP(2026年4-6月期、季節調整済年率) | 689兆2,191億円 |
| 現在のALMP支出(対GDP比0.125%相当) | 約8,620億円 |
| OECD平均0.41%にした場合 | 約2兆8,260億円 |
| 追加で必要な額 | 約1兆9,640億円(約2兆円) |
約2兆円。これが高いか安いか。消費税減税と比較したら経済効果ははっきり出るんだから本来積極財政でやるべきはこっちでしょ、髙市さん。
令和7年度補正予算は17兆7,028億円ですから、その11%です。雇用保険の外側にある求職者支援制度の予算が年232.2億円(令和6年度)なので、その約85倍。EVの購入補助金(CEV補助金)が1,100億円ですから、その約18倍。
補正予算の1割で、日本の労働市場政策はOECD平均になります。
正直な但し書きを書いておきます。
Card・Kluve・Weberによる207件の研究・857個の推計値のメタ分析によれば、積極的労働市場政策の効果は短期(1年未満)0.04σ、中期(1〜2年)0.12σ、長期(2年以上)0.19σと時間とともに大きくなります。
とくに職業訓練は短期では効果がマイナスになる。訓練を受けている間は求職活動ができないからです(ロックイン効果)。効いてくるのは2年以上たってから。
つまり単年度で成果を評価する日本の予算制度と、いちばん相性が悪い政策なんですよ。「1年やって効果が出なかったので縮小します」をやると、永遠に効きません。
特定施設入居者生活介護は、事業所4,669件、定員35万600人、受給者29万7,700人(令和6年度)。
本則の3対1だと、必要な看護・介護職員は常勤換算で約99,200人。これが3対0.9になると約89,300人。差は常勤換算で約9,900人です。
介護職員に必要な年間増加数が6.3万人ですから、その約16%を、省令の要件をひとつ書き換えるだけで捻出できる計算になります。
(これは理論値です。要支援者は10対1で別立てですし、多くの施設は基準より手厚い配置をしているので、実際の削減規模はもっと小さい。ただ「1分でも業務時間が増えたら要件不適合」という条件を外すだけで万人単位の話になる、という桁感は押さえておく価値があります)
ここは正直に書きます。「解雇の金銭解決制度を入れたらGDPが何%増える」という試算は、日本の政府・研究機関を探した範囲では存在しませんでした。
近いものはあります。RIETIのディスカッションペーパー(奥平寛子・滝澤美帆・鶴光太郎、2008年)は、都道府県別の解雇無効判決の蓄積とTFPの関係を分析して、解雇規制が強いほど生産性の伸びが下がるという結果を出しています。ただし効果量は東京都と大阪府の差でTFP伸び率0.015%と、正直かなり小さい。これを根拠に「解雇を自由化すれば経済成長する」と言うのは無理があります。
もうひとつ正直に書くと、フランスでbarème Macronを入れたら裁判が減った、という因果も証明されていません。たしかにフランスの労働裁判所の新受件数は2012年の175,714件から2022年の100,863件へ42.6%減っていますが、フランス司法省自身の研究は、最大の要因を2016年の申立手続の厳格化に帰していて、barème単独の効果とはしていません。
厚労省が独仏英の有識者にヒアリングした調査(2025年11月、労政審 資料No.2-3)に、こういう記述があります。
ドイツの解消判決制度(§9・§10)は「実務上はほとんど利用されていない」。解雇訴訟は年間15万件前後あるが、その大多数は金銭解決による和解で終わっている。英国も2023年4〜12月で約7割のケースで申立てが行われなかった。
つまり法定の金銭解決制度そのものは、あまり使われていない。使われているのは「その算定式を目安にした交渉」のほうです。
これは制度が失敗しているという意味ではなく、逆です。値札があるから、裁判にしなくても話がつく。「勤続20年なら10か月分ですね」で終わる。
日本はその値札がないから、あっせんに行けば1か月分、裁判まで行けば7.27か月分、そして4割の使用者はあっせんに来ない。値札の価値は、裁判で使われることではなく、裁判にしないで済ませられることにあります。
最後に、規制緩和論の弱点を自分で書いておきます。
厚労省「令和7年版 労働経済の分析」によると、介護・建設・運輸などの社会インフラ関連職と、それ以外の職種の月額賃金差は約4.6万円。年間所得では104.5万円の開きがあります(社会インフラ関連職のほうが低い)。過去10年で非社会インフラ関連職は322万人増えたのに、社会インフラ関連職の増加は58万人にとどまっている。
年104万円安い仕事に、規制を緩めたからといって人は移りません。有効求人倍率3.82倍は「規制のせいで移れない」のではなく「その賃金では来ない」という意味です。介護報酬という公定価格が上がらない限り、ここは動かない。
だから正確に言うとこうなります。解雇に値札を付けるのは「出口」の話。ALMPを2兆円積むのは「橋」の話。でも「入口」=行き先の賃金が上がらないと、誰も橋を渡りません。3つセットでやらないと意味がない。
| # | やること | 変えるもの | ★重さ |
|---|---|---|---|
| 1 | 介護の人員配置特例の「1分でも増えたら不適合」という要件を外す | 平成11年厚生省令第37号 第175条第9項 | 省令改正(大臣の一存) |
| 2 | 労政審の三者同数をやめ、解雇の金銭解決を議題に載せる | 労働政策審議会令 第3条第1項 | 政令改正(閣議決定のみ・国会不要) |
| 3 | 解雇の値札を法定する(独の0.5係数、仏の上下限表に相当するもの) | 労働契約法に新規定。設計図は2022年4月の報告書にある | 法改正1本 |
| 4 | ALMPを対GDP比0.41%(OECD平均)に引き上げる | 雇用保険法63条の能力開発事業、求職者支援法の予算 | 予算措置。法改正は不要 |
| 5 | 介護報酬など、行き先の職種の賃金を上げる | 介護報酬改定(公定価格) | 予算と報酬改定 |
1と2には、1円もかかりません。条文を書き換えるだけです。4は約2兆円。補正予算17.7兆円の11%です。3は法律1本。設計図は4年前にできていて、経団連が公式に要求していて、独仏英は全部やっている。
そして5が、たぶん一番金がかかって、一番効きます。
経団連は公式に要求しています。2025年11月10日の「『労働移動の積極的な推進』実現に向けたアクションプラン」で「解雇無効時の金銭救済制度の創設」を優先度★★で明記。設計図は4年前にできている。独仏英は全部やっている。あとは政治判断だけです。
動かない理由は、連合の全面反対(「カネさえ払えば首切り自由の制度は必要ない」)と、労働政策審議会の労働者代表10名が全員連合系だから。そして先に書いたとおり、その「10名ずつ」は政令に書いてあるだけです。
ちなみに官邸は、すでに一度これを迂回しています。2026年1月22日、日本成長戦略本部の下に作られた「労働市場改革分科会」は労働側1名・使用者側2名・学識等8名。分科会長は厚労大臣、事務局は厚労省。2026年6月2日にとりまとめて労政審に差し戻した。やろうと思えばできる、という実例がもうある。ただしそのとりまとめに解雇の記述は一行もありませんでした。
もうひとつ、この記事では触れきれない話があります。「労働分野の大幅な規制緩和」を「解雇をしやすくすること」だと読むと、たぶん半分外す。詰まっているのは労働法より、介護保険の人員配置基準や道路運送法のような業法のほうだからです。その話は別記事に分けました。自動運転がなぜ700mしか走れないのか、という記事です。
今回いちばん腹が立ったのは、介護の「1分でも増えたら特例適用外」でした。テクノロジーを入れて利用者の満足度が100%改善して職員の心理的負担も100%改善して、それでも総業務時間が1分増えたらダメ。こんな制度を作った人は、たぶん一度も現場を見ていない。機械を入れたら最初は必ず時間が増えるんですよ。当たり前でしょ。
そして、いちばん考えさせられたのがOECDの指標でした。日本は「解雇規制が厳しい国」ではなく「解雇に値札がない国」だった。ドイツは「勤続1年につき0.5か月分払う。その代わり3週間以内に訴えるな」と法律に書いてある。フランスは勤続年数ごとの上限額が表になっている。日本にあるのは「客観的に合理的な理由」という7文字だけ。
値札がないから誰も動けない。動けないから配転と出向でごまかす。ごまかせないから非正規で埋める。非正規で埋まるから安い労働力が調達できて、機械を買う必要がなくなる。サービス業の資本装備率が米国の4分の1しかない理由の一端は、たぶんここにあります。
そして今回いちばん腹が立ったのが、「1円もかからずに明日から変えられるものが2つあった」ことです。
介護の「1分でも業務時間が増えたら特例が使えない」という要件は、平成11年厚生省令第37号 第175条第9項に書いてあります。省令です。厚生労働大臣が書き換えれば、それで終わり。国会も要らない。閣議決定すら要らない。これを直すだけで、特定施設だけで常勤換算1万人分の余裕が理論上は出る。
労働政策審議会の「労使公 各10名の同数」も、法律ではなく労働政策審議会令 第3条第1項に書いてあるだけ。政令なので、閣議決定だけで変えられます。国会審議は不要です。しかも官邸は2026年1月に、労働側1名・使用者側2名・学識等8名の分科会を作って、もう一度やっている。できるんですよ、やろうと思えば。
解雇の値札にしても、設計図は2022年4月にできていて、経団連が公式に要求していて、独仏英は全部やっている。法律1本です。ALMPをOECD平均に上げるコストは約2兆円で、補正予算17兆7,028億円の11%。CEV補助金の18倍と言うと大きく聞こえますが、補正予算の1割で、日本の労働市場政策は先進国の平均になります。
それでも4年間、審議会の議題に一度も上がっていない。外国人は412万人まで増えたのに世論は2年でひっくり返った。生産年齢人口は毎年73万人ずつ減っていく。高齢者数のピークは2043年で、まだ17年先です。
できないんじゃないんですよ。やらないだけなんです。それが今回、条文まで降りてみて分かったことでした。
【今日のどうでもいい話】
と、ここまではまともな会社の話だけど、世の中の中小零細には無労働基準法、それってなによみたいなところもたくさんある。明日から来なくていいって解雇されましたなんて人がいるがそんなことできないのよ。まずは漫画でも読んでくれ
原典確認済み:OECD雇用保護指標(SDMX APIから直接取得)/OECD各国ノート(日本・韓国)/OECDのEPL算式文書/OECD Tax-Benefit Models(失業給付代替率)/OECD Labour Market Programmes database(ALMP)/労働基準法20条・89条3号の2、労働契約法9条・10条(e-Gov法令API)/大曲市農協事件 最高裁判決文原本/ドイツ解雇制限法§1a、フランスservice-public.gouv.fr、英国GOV.UK、米労働省/厚労省 就労条件総合調査・一般職業紹介状況・介護報酬改定資料・介護職員必要数・労働政策審議会労働条件分科会の開催一覧/JILPTの解雇金銭解決実態調査/経団連「『労働移動の積極的な推進』実現に向けたアクションプラン」/連合「解雇の金銭解決制度」/内閣府 規制改革推進会議の答申・WG資料(全国介護付きホーム協会提出資料を含む)/内閣官房 日本成長戦略会議・労働市場改革分科会・「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」/首相官邸 所信表明演説/出入国在留管理庁の各公表資料/東京大学社会科学研究所プレスリリース/早稲田大学POPIP/立命館法学/JICA緒方研究所/社人研「日本の将来推計人口(令和5年推計)」/IFR/内閣官房 日本成長戦略会議 基礎資料/厚労省 第205回労働政策審議会労働条件分科会(2025年11月18日)資料No.2-1〜2-3(解決金の中央値・合意成立率・使用者不参加率・諸外国ヒアリング)/厚労省「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会 報告書」(令和4年4月12日)/ドイツ解雇制限法§1a・§9・§10(dejure.org)/フランス労働法典L1235-3・L1234-9・R1234-2(フランス労働省 code.travail.gouv.fr)/英国Employment Rights Act 1996 s.162(legislation.gov.uk)およびGOV.UK「Redundancy: your rights」/指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第175条/労働政策審議会令 第2条・第3条/厚生労働省設置法第9条/雇用保険法第22条・第23条・第60条の2・第63条/求職者支援法/内閣府「2026年4-6月期GDP速報(2次速報)」/厚労省「介護人材確保の現状について」(令和7年5月9日)/介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」/社会保障審議会介護給付費分科会 第260回 資料4(令和8年7月9日)/帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」/日本銀行 全国企業短期経済観測調査(2026年6月)/内閣府「令和7年度 年次経済財政報告」/厚労省「令和7年版 労働経済の分析」/RIETI Discussion Paper 08-J-017/Card, Kluve & Weber “What Works? A Meta Analysis”(ILO版)/フランス司法省「Les affaires prud’homales dans la chaîne judiciaire de 2012 à 2022」(2024年5月)。
報道・二次情報ベース:介護の人員配置特例「全国9ヵ所」(週刊高齢者住宅新聞2025年12月10日号。厚労省の集計原典は未確認。確実な代替指標として、上位の生産性向上推進体制加算Ⅰの算定は4,669事業所中513事業所=8.45%)/2026年に厚労省が解雇の金銭解決の検討会を設置する見込み(日本経済新聞2025年11月)/OECD平均のALMP支出0.41%(2023年)はOECDデータベースをTUAC政策ブリーフ経由で確認/2025年参院選・2026年衆院選の議席数(総務省の公式結果はExcel形式で照合できず)。
本記事における筆者の試算:①ALMPをOECD平均に引き上げる追加コスト約1兆9,640億円(名目GDP689兆2,191億円×0.285ポイント)②介護の3対0.9特例で浮く常勤換算約9,900人(受給者29万7,700人を本則3対1と3対0.9で除した差。要支援者の別立てや基準を上回る配置は考慮していない理論値)。いずれも政府の試算ではありません。
正直に書いておくこと:解雇の金銭解決制度を導入した場合の経済効果を金額で試算した日本の政府・研究機関の資料は、探した範囲では見つかりませんでした。またフランスの労働裁判所の新受件数が2012→2022年で42.6%減った件について、フランス司法省自身は最大の要因を2016年の申立手続の厳格化に帰しており、barème Macron単独の効果とはしていません。
ベッセント発言について:ロイター2026年8月30日の記事本文を確認しましたが、当該箇所はロイターによる間接話法であり、本人の逐語の直接引用ではありません。記事中でもそのように扱っています。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2026年9月9日の記事より転載させていただきました。








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