サウジのパイプライン停止で代替ルートも寸断:中東原油「二重封鎖」が日本を直撃

米国とイランの衝突でホルムズ海峡の通航が困難になるなか、中東産原油の代替輸送ルートにも危機が広がっている。サウジアラビアは11日、同国東部から紅海沿岸へ原油を運ぶ東西パイプラインがドローン攻撃を受け、稼働を停止したと発表した。さらに紅海の南側出口にあたるバベルマンデブ海峡でも、親イラン武装組織フーシが要衝に進出している。

サウジアラビアのパイプライン PeterHermesFurian/iStock

ホルムズを迂回する「生命線」が停止

攻撃を受けた東西パイプラインは全長約1200キロ。ペルシャ湾側の油田地帯から紅海沿岸のヤンブーまで原油を送り、最大で日量約500万バレルを輸送できる。ホルムズ海峡を通らずに原油を輸出できるため、米イラン衝突後はサウジにとって重要性が一段と高まっていた。

サウジ側によると、ドローンはイラク領内から飛来した。パイプラインは安全確認のため一時停止されている。ホルムズ海峡では船舶の通航が激減しており、世界の原油供給を支える「迂回路」そのものが攻撃された形だ。

原油市場も緊張している。11日の北海ブレント原油先物は1バレル104.61ドルで取引を終え、週間では8%を超えて上昇した。

紅海側にもフーシの影

問題はパイプラインだけではない。イエメンの親イラン武装組織フーシは、紅海とアデン湾を結ぶバベルマンデブ海峡に面したドゥバブや、海峡中央のペリム島に進出したと報じられている。

フーシが海峡を完全封鎖したわけではないが、船舶を攻撃できる拠点を押さえれば、紅海航路のリスクは大幅に高まる。ホルムズを避けてヤンブーへ原油を運んでも、その先の紅海まで危険になれば迂回ルートの意味は薄れる。

原油の94%を中東に頼る日本

この事態は日本にも直結する。日本が2025年に輸入した原油の約94%は中東産で、世界でも特に依存度が高い。ENEOSなど国内石油会社は米国産やカスピ海周辺などへの調達先分散を進めているが、短期間で中東原油を全面的に代替することは難しい。

当面、石油備蓄があるため、直ちに国内でガソリンが不足する可能性は低い。むしろ懸念されるのは価格だ。

原油価格上昇に加え、タンカーの保険料や運賃が上昇し、喜望峰などを回る長距離輸送が増えれば、輸入コストはさらに膨らむ。ガソリンや軽油、灯油だけでなく、航空運賃、物流、石油化学製品などを通じて幅広い物価に波及する可能性がある。

これまでホルムズ海峡が危なくなれば、パイプラインで紅海へ逃がすという「保険」があった。今回はその保険そのものが攻撃された。

日本にとって中東情勢は、遠い地域の情勢不安ではない。原油の大半を中東に依存する以上、二つの海峡と一本のパイプラインの行方は、ガソリン価格から企業収益、家計の実質所得まで左右する問題になっている。

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