「外国人は治安を悪くするから出ていけ」。SNSを開けば毎日これ。選挙でもこれ。外国人がいなくなって貧乏になっても治安がいいほうがいいまでいう主婦もいる。ちょっと待って。大不況になってもみんな清く貧しく正直だと思ってる?
じゃあ実際どうなのか。警察庁・法務省・総務省・内閣府・出入国在留管理庁・日銀・参議院の資料を片っ端から開いて、数字を全部突き合わせました。孫引きゼロ、全部一次資料です。結論から書きます。
- 外国人を1人残らず追い出しても、刑法犯の検挙人員は5.5%しか減らない。これは人口が激減するのでその分です
- 外国人労働者を追い出したら実質GDPは3年目で▲4.8%、5年目で▲10%。コロナで日本が止まった2020年度が▲3.8%です。つまりバブル崩壊や、コロナの時と比較にならない大不況になる。
- 経済が壊れたら、バブル崩壊後と同じことが起きる。あのとき路上強盗は7.2倍、ひったくりは5.2倍になりました
- 在留外国人が1.85倍(223万人→412万人)になったこの10年で、刑法犯認知件数は3割減った
- 2025年の刑法犯がコロナ前を超えたのは詐欺のせい。詐欺を除けばコロナ前より少ない
- 在留資格別に割ると、就労目的で来ている人の犯罪率は日本人の1.08倍。技能実習を除けば0.87倍で日本人より低い。そりゃ何かしでかしたら強制送還されるから負ってきた借金も返せない。高いのは永住者・定住者など「身分に基づく在留資格」で1.99倍
- ところで大阪の犯罪率は秋田の3.20倍。ただしその差660件のうち、外国人の構成で説明できるのは9.7件=1.5%だけ
感情の話は後回しにして、数字から入ります。↓ これは殺人、強盗だけの推移。

戦後最悪の年は2002年(平成14年)。2002年末の日本の外国人登録者数は185万1,758人で韓国・朝鮮:62万5,422人が最多。外国人の比率は1.45%でいまの1/3。刑法犯の認知件数は285万3,739件でした。
当時の警察白書の「はじめに」がこれ。
(平成15年版 警察白書)
7年連続で戦後最多。しかも検挙率は2001年に19.8%まで落ちている。5件のうち4件は犯人がわからない。これが、たかだか20年ちょっと前の日本です。
同じ白書にはこうも書いてある。「285万3,739件で、140万件前後であった昭和期の約2倍となり」。昭和の倍です。
で、2025年(令和7年)はいくらか。77万4,142件。ピークの27.1%です。
4分の1近くまで減った。この間に在留外国人は過去最多を更新し続けて、2025年末に初めて400万人を超えました。外国人が3倍近くになったのに犯罪は1/4に減少。
- 2001年 19.8%(戦後最低。犯罪が多すぎて検挙できない)
- 2021年 46.6%
- 2024年 38.9%
- 2025年 38.9%(前年と同率)
ピーク時の倍です。捕まる確率が2倍になった国で、治安が崩壊していると言うのはさすがに無理がある。
ここ、わたしも最初は「別に悪くなってないでしょ」と思っていました。
でも原典を開いたら、警察庁自身がこう書いていた。
(警察庁「令和7年の犯罪情勢」令和8年2月)
コロナ前を超えている。だから「治安は悪くなっていない」と書くと、この一文だけで潰されます。ネットで反論する人はまずここを持ってくる。
じゃあ何が増えたのか。同じ資料に罪種別の内訳が全部書いてあります。

刑法犯全体の増加が+25,583件。そして詐欺だけで+40,325件。
おかしいと思いませんか。全体の増加分より、詐欺ひとつの増加分のほうが大きい。
ということは、詐欺を除けば2025年はコロナ前より少ない。計算すると71万6,352件→70万1,610件。▲14,742件、▲2.1%です(この引き算はわたしがやりました)。
窃盗にいたっては、警察庁がわざわざ本文に書いている。
(警察庁「令和7年の犯罪情勢」)
泥棒はコロナ前より減ってるんですよ。

- 特殊詐欺の被害額は2025年に約1,423億円。前年比+98.0%。ほぼ倍
- SNS型投資・ロマンス詐欺は約1,834億円。前年比+44.2%
- 詐欺全体の被害額は警察庁いわく「4,000億円を上回るなど極めて深刻な情勢」
- 匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の検挙人員は6,679人で前年比+28.4%
このトクリュウの中身が、わたしは一番こたえた。
「主犯・指示役の立場にあった者は約1割」
「20代前半が23.4%で最多、20代までの若年層が全体の約6割」
(警察庁「令和7年の犯罪情勢」)
20代までが6割。3割がSNSの募集に応募して加担。主犯は1割しかいない。残り9割は使い捨てです。
つまりいま日本の治安を悪くしているのは、スマホとSNSと、そこに吸い込まれていく日本の若者。
この統計のどこにも、外国人は出てきません。治安を悪くしているのは日本人の若者でした。
- 殺人 2024年 970件 → 2025年 976件(+6件)
- 強盗 2024年 1,370件 → 2025年 1,428件
- 放火 758件 → 706件
2019年と比べると、殺人は950件→976件、強盗は1,511件→1,428件。強盗はコロナ前より減っています。
重要犯罪(殺人・強盗・放火・不同意性交等・不同意わいせつ・略取誘拐)の合計も1万5,086件。前年比+3.2%ですが、増えているのは不同意性交等と不同意わいせつです。
なお不同意性交等・不同意わいせつは増えていますが、これについて警察庁は経済や外国人ではなくこう説明しています。「令和5年に施行された…改正刑法及び性的姿態撮影等処罰法により性犯罪に対処するための刑事法が整備されたことや、政府として性犯罪の被害申告・相談をしやすい環境の整備を強力に推進してきたことも相まって、認知件数が増加したものと推認される」。
つまり今まで泣き寝入りしていたものが数字に出るようになったということ。これを「治安悪化」と読むのは誤読です。
これがいちばん強い数字だと思う。

2015年末の在留外国人は223万2,189人。2025年末は412万5,395人。1.85倍です。
同じ10年で刑法犯認知件数は109万8,969件から77万4,142件。▲29.6%。
「外国人が増えると治安が悪くなる」が正しいなら、この10年に起きたことを説明してほしい。わたしには説明できません。
ついでに、不法残留者も減っています。

- ピークは1993年(平成5年)の29万8,646人
- 2026年1月1日現在は6万8,488人。前年比▲8.5%
- ピークの約23%(筆者計算)
在留外国人が過去最多を更新し続けているのに、不法滞在はピークの4分の1。
30年前の日本のほうがよっぽど無法地帯だったんですよ。みんな忘れてるだけで。
つまり実際に見えていないお化けをこわいこわいといっている。
まず、増えていることは認めます。隠すと信用を失うので。
- 来日外国人犯罪の総検挙件数 2025年 25,480件(3年連続増加)
- 総検挙人員 12,777人(同)
ただし、この「来日外国人」という統計、定義がとんでもないことになっています。
(令和7年版 犯罪白書 凡例)
つまり永住者94万7,125人を最初から除外している。在留外国人412万人の23%です。分子からも分母からも外れている。
警察庁が注記で示す母集団も「令和7年6月末現在…永住者、永住者の配偶者等及び特別永住者を除いた者(約349万人)」。在留外国人412万人とは別物です。
この2つを並べて「外国人412万人で犯罪2万5千件!」とやっている記事は、分母と分子が違うものを割っている。小学校の算数です。
- 令和6年の総検挙件数21,794件のうち、入管法違反が5,974件=約27%(筆者計算)
- 特別法犯8,389件にかぎれば、入管法違反が71.2%
- 内訳は不法残留3,930件、旅券等不携帯・提示拒否1,139件、偽造在留カード所持等401件
パスポートを持っていなかったという理由で日本人が検挙されることは、絶対にありません。
日本人と比較するための数字として「総検挙件数」を使った瞬間、その記事は統計として成立していない。
令和7年の来日外国人による刑法犯の罪種構成は、窃盗犯69.4%、粗暴犯8.9%、知能犯7.8%、風俗犯1.9%、凶悪犯1.7%。
令和6年の内訳を犯罪白書はこう書いています。「殺人は0.4%(60件)、強盗は0.6%(81件)」。
殺人60件。日本全体で970件のうちの60件です。
ここを書かない記事が多いんですが、わたしは書きます。書かないと反論で全部持っていかれるから。
犯罪白書に載っている事実がこれ。
(令和7年版 犯罪白書)
在留外国人が人口に占める比率は3.0%(2024年末)。検挙人員では5.5%。割ると1.84倍です(筆者計算)。
最初に疑うべきはここです。分子の検挙人員には短期滞在の外国人、つまり観光客が入っている。でも分母の在留外国人412万人に観光客は入っていない。年間4,268万人も来てるのに。
分母と分子が合っていないんだから、そりゃ高く出る。わたしもそう思いました。
で、調べたら警察白書に在留資格別の内訳がありました。
- 永住者 24.7%(最多)
- 定住者 10.8%/留学 10.8%/技能実習 10.7%
- 短期滞在(査証免除・不法滞在含む)8.1%
- 技術・人文知識・国際業務 8.1%/日本人の配偶者等 6.2%/家族滞在 4.1%/特定技能 3.8%
短期滞在は8.1%しかありません。しかもこの8.1%には査証免除の入国者と不法滞在者が含まれている。純粋な観光客はもっと少ない。
これを外して計算し直します。ついでに、分母に入っていないのに分子には入っている人たちも足しておく。不法残留者7万4,863人と、在日米軍関係者です。

- そのまま(観光客込み) 1.84倍
- 短期滞在を分子から除く 1.71倍
- 不法残留者を分母に加える 1.68倍
- 在日米軍を分母に加える 1.65倍
観光客を外しても1.65倍にしか下がりません。残念ながら、これでは説明がつかない。
もうひとつの当然の反論が「外国人労働者は若い男が多いんだから、年齢を揃えれば日本人と変わらないはずだ」。
若い男の犯罪率が高いのは万国共通ですから、これはもっともです。なので計算しました。

警察庁が公表している「人口10万人当たりの年齢層別検挙人員」を、在留外国人の年齢構成に当てはめる。要するに「外国人が日本人とまったく同じ犯罪率だったら、何人捕まるはずか」を出すわけです。
- 20〜39歳のシェアは在留外国人が61.9%、日本の総人口は23.3%。偏りはたしかに極端
- その年齢構成で期待される検挙率は、全国平均の1.26倍(筆者計算)
- さっきの1.65倍をこれで割ると、1.31倍
わたしの計算だけだと心もとないので、専門家の研究も当たりました。
- 国立社会保障・人口問題研究所の是川夕氏(年齢構成のみ調整)=約1.3倍。「実績値は推定値の約1.3倍の9,004人となった」
- 龍谷大学の津島昌寛教授(年齢と性別の両方を調整)=刑法犯で1.36倍、凶悪犯で1.30倍
わたしが別ルートで出した1.31倍と、この2つがきれいに一致しました。
つまり、観光客を外しても、年齢を揃えても、1.3倍前後は残る。「揃えれば同じになるはず」は願望でした。わたしも最初そう思っていたので、ここは素直に間違いを認めます。
ただし津島氏の分析は報道記事でしか確認できず、元になった論文の原典には到達できていません。是川氏の分析は性別を調整していない。この論点は「1.3倍前後」という幅で読むのが正確です。
その永住者の実数(令和6年2,492人、令和7年2,482人)と、警察白書の在留資格別の構成比、それから入管庁の在留資格別の在留者数。この3つを突き合わせると、在留資格ごとの犯罪率が出せます。
分子の総数は「永住者2,482人÷24.7%=10,049人」として逆算しました(筆者推計)。来日外国人7,333人がこの73.0%にあたり、残り2.3%が永住者の配偶者等。警察庁が示す母集団の定義ときれいに閉じます。
やってみました。

- 定住者 479人(日本人の3.02倍)
- 日本人の配偶者等 408人(2.56倍)
- 永住者 262人(1.65倍)
- 技能実習 236人(1.48倍)/留学 234人(1.47倍)
- 技術・人文知識・国際業務 171人(1.08倍)
- 家族滞在 117人(0.73倍)
- 特定技能 98人(0.62倍)
日本人は10万人当たり158.9人です。
特定技能は日本人の0.62倍。家族滞在は0.73倍。日本人より低い。働きに来ている人たちははっきりと犯罪率が低い。
まとめて見ると、こうなります。

- 就労目的の在留資格だけ(技人国+特定技能+技能実習)= 1.08倍
- 技能実習を除く就労資格(技人国+特定技能)= 0.87倍。日本人より低い
- 身分に基づく在留資格(永住者+定住者+日本人の配偶者等)= 1.99倍
- 短期滞在以外のほぼ全部(就労系+家族滞在+留学)= 1.11倍
技能実習を除けば、日本人より低い。高いのは「身分に基づく在留資格」の人たちです。働きに来ている外国人労働者ではない!
定住者3.02倍、日本人の配偶者等2.56倍、永住者1.65倍。
この人たちは、日系人をはじめ何年も何十年も日本に住んで、日本人と同じように働いて暮らしている人たちです。ビザで縛られていない。日本人と同じように職を失うし、同じように生活に困る。
⑨で見る「経済が悪くなると治安が悪くなる」という話と、たぶん地続きです。
つまり「外国人労働者が治安を悪くする」は、数字が逆を指している。
この計算の但し書き(4つ)。ここを読まずに数字だけ使わないでください。
① 分子の総数10,049人は筆者の推計です。警察庁が公表しているのは構成比(%)だけで、実数は永住者の2,482人しか出ていません。総数が±10%ずれれば全部の率が±10%ずれます(ただし在留資格どうしの比較は変わりません)。
② 分子には不法滞在者が入っているのに、分母には入っていません。白書が「技能実習(不法滞在含む)」「留学(就学・不法滞在含む)」と明記しています。失踪した実習生は分子にいて分母にいない。つまり技能実習と留学の倍率は実際より高く出ています。
③ 年齢構成は調整していません。就労系の在留資格は若い側に偏るので、年齢を揃えれば就労系の倍率はさらに下がる方向。逆に永住者・定住者は上がる方向です。
④ 分母は令和7年末の在留者数、分子は令和7年1年間の検挙人員で、時点がずれています。短期滞在は分母(訪日客の滞在人年)を定義できないので、この表から外しました。
警察庁が出している、日本人との唯一の直接比較がこれ。
(令和8年版 警察白書)
共犯率が3.9倍ということは、同じ1件でも捕まる人数が多いということです。5人でやれば5人検挙される。
「検挙人員」で比べると外国人が不利に出る構造がある。件数ベースならもっと縮む。ただしそれを計算した公的資料は存在しません。ここは未確認です。
今回いちばん腹が立ったのがこれ。
在留資格別の検挙人員の実数は、もう公表されていません。
(警察庁 組織犯罪対策部「国際犯罪対策に関する統計」)
在留資格別の詳細な表を載せていた単独資料は、平成27年分(2016年3月公表)を最後に打ち切られました。以降は白書の円グラフで構成比だけ。
だから「技能実習生が何人捕まったのか」を原典で言える人は、いまの日本に誰もいません。賛成派も反対派も、実数を知らずに殴り合っている。統計を出さないのが一番たちが悪い。
では外国人労働者を追い出したら失うほうを見ましょう。
2025年10月末時点の外国人労働者は257万1,037人。前年比+26万8,450人、増加率+11.7%。就業者6,828万人の3.8%です。

製造業は16人に1人、サービス業(他に分類されないもの)は12人に1人が外国人。
この人たちが明日から来ないと、工場と現場と店が止まる。止まるというのは比喩じゃなくて、物理的に止まるということです。インドネシア人に依存している漁港の操業はすぐ止まります。マグロとカツオももう獲れません。沼津の干物も食べられません。
- 2025年の就業者は前年比+47万人。うち外国人労働者の増加が+26万8,450人。日本の雇用増の57%が外国人(筆者計算)
- 人口も同じ構図。2026年3月1日時点で日本人は年91万6千人減っているのに、総人口の減少は57万人で止まっている。差の約35万人が外国人
- 生産年齢人口(15〜64歳)の減少も▲19万9千人(▲0.27%)で踏みとどまっている
- 企業側は日銀短観(2026年6月調査)の雇用人員判断DIが全産業全規模で▲37、中小企業▲39。先行きはさらに▲40、▲43
日本人だけ数えたら、この国は年間91万人ずつ人が消えています。政令指定都市がひとつ、毎年なくなっている計算です。
それを外国人が埋めている。埋めてもらっている、というのが正確か。

「外国人がいなくなったらGDPがいくら減るか」を推計した資料はないと思っていたんですが、ありました。参議院です。
『経済のプリズム』No.176(2019年5月)の補論1、山内一宏氏の分析。外国人労働者が100万人減って供給制約が起きた場合をマクロモデルで回している。
「5年目には実質GDPが3.9%引き下げられるというショッキングな結果」
(山内一宏「外国人労働者の我が国経済への影響」『経済のプリズム』No.176(参議院、2019年5月)補論1)
100万人でこれ。いま日本にいる外国人労働者は257万人です。2.571倍。
- 1年目 ▲2.0% ←バブル崩壊のときの▲1.1%を遥かに超える不景気
- 2年目 ▲2.8%
- 3年目 ▲4.8% ← コロナの2020年度▲3.8%を超える
- 4年目 ▲7.2%
- 5年目 ▲10.0%
この外挿はわたしがやったものです。参議院のモデルは100万人減が前提なので、2.571倍に引き伸ばすのは乱暴。非線形なので実際にはもっと悪いかもしれないし、多少ましかもしれない。
ただ方向ははっきりしている。わたしが最初に「たぶん▲5%くらい」と見積もっていたのは、むしろ控えめでした。参議院の試算を素直に伸ばすと、3年目で▲4.8%、5年目で▲10%になります。
犯罪は当初は総数で5.5%減る。しかし初年度からバブル崩壊とは比較にならない不況になって日本人の凶悪犯罪大爆発(バブル崩壊時でさえ路上強盗は7.2倍、ひったくりは5.2倍
あなた、本気でそのトレードやるの?
しかもコロナと決定的に違うところがある。コロナは1年で戻りました。2020年度が実質▲3.8%で、2021年度は+3.9%。ちゃんと戻ってる。
外国人がいなくなるのは、戻りません。人がいないんだから。どんどん不景気が進む。
ここまで「全員いなくなったら」で計算してきましたが、当たり前ですがそんなことは起きません。
現実に起きるのは、もっと地味で、もっとタチが悪いやつです。
- 東京大学社会科学研究所のパネル調査で、定住外国人の増加への反対は2024年35.6%→2026年56.3%(+20.7pt)
- 特定技能「外食業」は受入れ上限5万人に到達し、2026年4月13日以降の新規申請は不交付
- 特定技能の受入れ見込数は16分野合計で82万人が5年間の上限(令和6年3月29日閣議決定)
- 育成就労制度の運用開始は令和9年(2027年)4月1日の予定
忘れがちなのが、相手にも選ぶ権利があるということ。円安で、日本で稼いだ金の母国での価値は落ちました。韓国も台湾も欧州も同じ人材を取り合っている。
「出ていけ」と毎日言われる国と、そうでない国。あなたが20代のベトナム人なら、どっちを選びますか。
JICAの調査研究(2024年7月)では、目標成長率を達成するには2030年に419万人の外国人労働者が必要なのに供給は342万人で77万人足りない、2040年には97万人足りないと出ています。
※念のため書いておくと、これは「必要数と供給の差」の推計であって「減ったらGDPがいくら下がるか」の推計ではありません。因果の向きが逆なので、そこを混ぜて引用している記事はだいたい間違っています。
ここが、わたしがいちばん言いたいところ。
バブル崩壊のあと、日本の治安は本当に崩壊しました。感覚じゃなくて数字で。
- 刑法犯認知件数は平成8年から7年連続で戦後最多を更新。1999年216万件→2001年273万件→2002年285万件
- 平成元年から14年にかけて、路上強盗は7.2倍、ひったくりは5.2倍
- その5年間の刑法犯の増加約80万件のうち、街頭犯罪の増加が約50万件
- 平成14年、路上強盗の検挙人員の63.0%、ひったくりの検挙人員の68.6%が少年
- 検挙率は2001年に19.8%まで低下
同じ時期の完全失業率は1990年の年平均2.1%から2002年の5.4%へ。刑法犯のピークと失業率のピークは同じ年です。
ここで「ほら、不況が治安を悪くする」と書きたくなる。でも、そんな単純な話じゃない。
コロナで完全失業率は2.8%に上がった。11年ぶりの上昇でした。ところが同じ年、刑法犯認知件数は前年比13万4,328件(17.9%)減。4月は前年同月比23.9%減、5月は32.1%減。不況が来たのに、犯罪は激減した。
じゃあ何が効くのか。研究を全部当たりました。
- 大竹文雄・小原美紀(2010)=「失業率よりも貧困率の上昇が犯罪発生率を高める影響が大きい」
- 川島広也(2012)=「雇用状況は犯罪発生率に直接影響を及ぼさない一方で、貧困の増加が犯罪発生率を高める」。失業率の係数は統計的に有意ですらない
- Gould, Weinberg & Mustard(2002)=失業率と賃金の両方が効くが「wages played a larger role」。賃金のほうが大きい
- 大竹文雄・岡村和明(2000,『日本経済研究』)=中卒求人が10%増えると14〜15歳の少年犯罪が6.52%減る
つまり治安を壊すのは「1年の不況」じゃない。若者が何年も仕事にありつけず、働いても食えない状態が続くことです。
バブル崩壊のときも、悪化したのは崩壊の翌年じゃありません。5年後、10年後です。
そして悪さをしたのは外国人ではなく、仕事のない日本の少年たちだった。路上強盗の63%、ひったくりの68.6%。
警察庁自身もこう書いています。「窃盗犯は何らかの経済的事情を動機や背景事情として抱えていることの多い犯罪類型であることなどから、雇用情勢の変化が窃盗の認知件数の推移に与える影響は少なくない」。
外国人を追い出すとGDPが3年で5%落ちて、5年で10%落ちて、それが戻らない。若者の仕事がなくなる。そのとき何が起きるか、わたしたちはもう一度見ることになる。
整理します。
- 日本の治安は戦後最悪期の4分の1。長期では圧倒的に良くなった
- 直近4年は増えている。ただし中身は詐欺で、詐欺を除けばコロナ前より少ない
- 外国人の犯罪率は人口比では日本人より高い。年齢を揃えても1.3倍前後は残る
- でも絶対数が小さいので、全員追い出しても犯罪は5.5%しか減らない
- 一方、失う経済は3年で▲4.8%、5年で▲10%。しかも戻らない
- 経済が壊れれば、10年遅れで本物の治安崩壊が来る。路上強盗7.2倍の世界
わたしは「外国人をどんどん入れろ」と言っているのではありません。
ちゃんと議論するなら、論点は3つでしょ。
刑法犯の増加分の41.7%がここ。被害額4,000億円超。SNSの実行犯募集に20代が吸い込まれている。外国人を何人追い出しても、この数字は1件も減りません。
追い出すのではなく。日本語教育、労働環境、相談窓口、雇用主への監督、それから生活の孤立を防ぐこと。
1.3倍を1.0倍にしても全体は1.4%しか動かないけど、少なくとも「率が高いのは事実じゃないか」という不満には正面から応えられる。
都合の悪い数字を隠して「差別だ」と言うから話が噛み合わないんですよ。
AI、自動運転、ヒューマノイド、そして労働分野の規制緩和。
外国人を追い出して、自動化にも反対して、規制緩和にも反対して、それで「景気が悪い」「治安が悪い」と文句を言う。
いったいどうしたいんですかね。国ごと店じまいしたいならそう言えばいいのに、と毎回思うわけです。
数字はすべて一次資料に当たっています。孫引きはありません。原典で確認できなかったものは本文中で「未確認」と書きました。
- 警察庁「令和7年の犯罪情勢」(令和8年2月・確定値)/「令和6年の犯罪情勢」ほか各年
- 警察庁「令和7年の刑法犯に関する統計資料」(令和8年8月)図表1-1-6・図表1-2-1・図表1-5-1・図表1-5-2/「令和元年の刑法犯に関する統計資料」(令和2年8月)
- 警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢【概要版】」(令和8年4月)
- 警察庁「令和元年における特殊詐欺認知・検挙状況等について(確定値版)」
- 令和8年版 警察白書 第4章(図表4-8・図表4-10・図表4-11)/平成15年版・平成19年版・平成30年版 警察白書/警察庁 組織犯罪対策部「国際犯罪対策に関する統計」
- 法務省『令和7年版 犯罪白書』凡例・第1編第1章・第4編第9章/『令和3年版 犯罪白書の概要』
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」/「本邦における不法残留者数について(令和8年1月1日現在)」/特定技能の受入れ見込数(令和6年3月29日閣議決定)
- 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(令和8年1月30日公表)
- 総務省統計局「労働力調査」2025年平均/「人口推計」(2026年3月1日概算値・2025年8月1日確定値)/令和7年国勢調査 全国・地域等集計(令和8年5月29日公表)
- 内閣府「2024年度 国民経済計算 年次推計」(2020年基準、令和7年12月8日公表)
- 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」第209回(2026年7月1日公表)
- 山内一宏「外国人労働者の我が国経済への影響―外国人との共生社会に向けて―」『経済のプリズム』No.176(参議院、2019年5月)補論1
- JICA緒方貞子平和開発研究所/価値総合研究所「2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた調査研究―外国人労働者需給予測更新版―」(2024年7月4日)
- 大竹文雄・小原美紀「失業率と犯罪発生率の関係」OSIPP DP-2010-J-007(2010年)/川島広也「雇用状況、豊かさと犯罪」OSIPP DP-2012-J-007(2012年)/大竹文雄・岡村和明「少年犯罪と労働市場」『日本経済研究』No.40(2000年)
- Gould, Weinberg & Mustard (2002), “Crime Rates and Local Labor Market Opportunities in the United States: 1979–1997”, Review of Economics and Statistics 84(1)
- 是川夕「外国人が増加すると治安が悪化するのか? 犯罪統計による検証」日立財団 グローバル ソサエティ レビュー Vol.4
- 津島昌寛氏の分析(弁護士JPニュース 2025年12月26日)※報道ベース。元論文は未確認
ついに物欲に負けてMetaのウェラブルデバイス買いました。レイバンの第2世代。Ray-Ban Meta スマートグラス WAYFARER IPX4防水 最大48h駆動。音楽聴けるのはどうでもいいんですが動画が録れる。両手が塞がっていてもです。日本語での音声コマンド(「Hey Meta, take a video」や「動画を撮影して」など)による指示ができるから。例えば運転中に事故車見つけて撮影するとか(悪趣味w)。一番使いたいのは釣りしててヒットしたらそのまま動画を撮影したい。使ってレポートでも書くか
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2026年9月15日の記事より転載させていただきました。










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