
最近、AIの答えをそのまま受け入れるビジネスパーソンが増えている、という話をよく聞くようになりました。
たとえば、
「X案、Y案、Z案をAIで分析した結果、X案の成功確率が最も高いので、X案でやります」
「AIに相談したら『退職したほうがいい』とアドバイスされたので、退職します」
本来、こうした状況は自分の頭で考え抜く必要があります。
しかしそれは結構大変ですよね。
そこで自分よりも賢いと思われるAIに、思考をアウトソースしているのです。
一方でITリテラシーがあるシニア社員は、逆に上手にAIを使いこなして意志決定をしている、という話もよく聞きます。
こうした状況を、どのように考えればよいでしょうか?
AIは、何を聞いても、それなりの答えを返してくれます。
だから私たちは、何かあるとすぐAIに尋ねるようになりました。
「AIは解決策をすぐ教えてくれる。大切なのは問いである」という言葉もよく聞きます。
冒頭のAIの答えをそのまま受け入れる現象は、そうして私たちがAIに質問をどんどん投げるようになった結果かもしれません。
ここで考えていただきたいのは、問いには2種類あることです。
■一つは、「答えがある問い」です。
たとえば…
- 本日のセミナーの顧客満足度はどうだったか?
- ライバル製品と自社製品の機能を比較すると、どうなってるか?
- このやり方はコンプラ上、問題あるか?
- この素材でSNS販促をする場合、どれが最もリードを獲得できるか?
こうした問いは、様々な情報を整理すれば、答えを導き出せます。
AIは、この手の処理が得意中の得意です。
こうした問いは、前提条件を明確にしてすぐ質問し、自分が納得するまで質問を繰り返して、正解を導き出すことが必要です。
100%の正解があるので、人間の意志はあまり問われません。
むしろ、できるだけ早く回答を得ることが大事です。場合によっては自動化によって人手を介さないようにすれば、効率は圧倒的に上がります。
■もう一つは、「答えがない問い」です。
たとえば…
- 新規事業は、X案、Y案、Z案のどれで提案すべきか?
- 部下のAさんとBさんが対立中。両者言い分はもっとも。どうする?
- 部下のCさんを異動させるべきか? 今の仕事を続けさせるべきか?
- このままだと半年後に倒産確実。人員削減すべきか? 皆で頑張るか?
こうした質問には、100%の正解はありません。
実に様々な要素が複雑に絡んで、思わぬ結果になるからです。
当初は想定していない要因が、成否を握る場合もあります。
AIの言う通りにしても最適解になるとは限らないので、AIの答えをそのまま受け入れてはいけません。
ここで大事なのが、人間の意志です。
前提条件を明確にして質問するのは前者と同じですが、疑問や違和感をどんどん深掘りし、何度でもAIに質問を繰り返し、自分の違和感の正体を見極めて、さらに自分で思考を深めていく補助ツールとして活用することが必要です。
そしてAIのアウトプットはあくまで参考です。言う通りにしてはいけません。
意志決定するのは自分です。
「AIはX案がいいと言うけど、自分の直観ではZ案だ。だからZ案で行こう」でもいいのです。
冒頭の「AIの答えをそのまま受け入れる」のが正しいのは、前者の意志決定が不要な「答えがある問い」だけです。
ITリテラシーがありAIを使いこなしているシニア社員は、経験知が豊富で批判的な思考もできるので、この辺のニュアンスを掴んで、AIを使いこなす人も多いようです。
ただ暗黙知の世界でAIを使いこなしているので、そうした微妙なニュアンスをうまく言葉化して説明できない人も多いようです
一方で、そうした経験知をこれから積んでいく若手社員の場合、両者の区別がついていないことも多いのです。
「その問いは、答えがあるのか、答えがないのか?」
「答えがない場合、自分の意志は何なのか?」
これらを意識いただくと、より効果的にAI活用できると思います。
編集部より:この記事はマーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚氏のオフィシャルサイト(2026年9月22日のエントリー)より転載させていただきました。永井孝尚氏のメルマガのご登録はこちらから。







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